キャンセル・プロテクションの対象カードと補償限度額|2025年の3つの変更を公式告知で確認

2025年9月30日のビジネス2券種終了、2025年12月15日の保険会社交代と限度額引き上げ、2026年6月30日の請求期限を時系列で並べた図

キャンセル・プロテクションは、アメリカン・エキスプレスのカードで支払った旅行やコンサートに行けなくなったとき、キャンセル費用を補償するサービスです。ただし2025年のうちに、対象カード・補償限度額・引受保険会社の3つが動きました。古い解説をそのまま読むと、いま使えない券種を前提にしてしまいます。公式の告知で現在の姿を確認します。

2025年に変わった3つのこと

  • ビジネス・ゴールドとビジネス・プラチナは2025年9月30日で終了しました。10月1日以降に発生したキャンセル事由は対象外です。
  • 2025年12月15日から引受保険会社が東京海上日動火災保険からChubb損害保険へ交代しました。
  • 同じ日から補償限度額が引き上げられ、「年間」ではなく「1回のキャンセル事由あたり」の上限になりました。
  • いまの対象は10券種で、限度額は80万円または50万円です。

いま対象になっているのは10券種

公式ページのカード別補償内容の一覧に載っているのは、次の10券種です。限度額は2025年12月15日以降にキャンセル事由が発生したものに適用される額です。

カード 2025年12月14日までに事由発生 2025年12月15日以降に事由発生
プラチナ・カード
ANAアメリカン・エキスプレス・プレミアム・カード
50万円 80万円
アメリカン・エキスプレス・グリーン・カード
アメリカン・エキスプレス・ゴールド・カード
アメリカン・エキスプレス・ゴールド・プリファード・カード
アメリカン・エキスプレス・スカイ・トラベラー・プレミア・カード
ヒルトン・オナーズ アメリカン・エキスプレス・プレミアム・カード
Marriott Bonvoy アメリカン・エキスプレス・プレミアム・カード
ANAアメリカン・エキスプレス・ゴールド・カード
デルタ スカイマイル アメリカン・エキスプレス・ゴールド・カード
10万円 50万円
アメリカン・エキスプレスの公式告知「キャンセル・プロテクション 一部内容変更について」の画面。対象カードごとの補償限度額が変更前と変更後で並んでいる
出典:アメリカン・エキスプレス「『キャンセル・プロテクション』一部内容変更について」(2026年9月21日に表示を確認)。

下の8券種は10万円から50万円へ、5倍に上がっています。上の2券種は50万円から80万円です。プラチナ・カードと下位の券種の差は5倍から1.6倍に縮まりました。年会費の差を補償額で説明しにくくなった、という読み方もできます。

ビジネス・ゴールドとビジネス・プラチナは対象から外れた

2025年9月16日更新の告知で、ビジネス・ゴールド・カードとビジネス・プラチナ・カードのキャンセル・プロテクションが終了すると発表されました。境目は「キャンセル事由の発生日」です。

アメリカン・エキスプレスの公式告知「キャンセル・プロテクション 一部の対象カード、サービス終了のお知らせ」の画面。終了対象のビジネス2券種と補償対象の可否の表が出ている
出典:アメリカン・エキスプレス「『キャンセル・プロテクション』一部の対象カード、サービス終了のお知らせ」(2026年9月21日に表示を確認)。
キャンセル事由発生日 補償対象
2025年9月30日まで 対象
2025年10月1日以降 対象外

2025年9月30日までに発生した事由については、申告の締切が2026年3月31日(火)と定められています。すでに過ぎているため、ビジネス2券種でのキャンセル・プロテクションの請求は事実上終わったと考えるのが実際的です。

ビジネス系のカードを法人の経費でお持ちの方が「アメックスならキャンセル代が出る」と覚えていると、そのままでは当てが外れます。対象カードの一覧に自分の券種があるかを、申し込む前ではなく予約する前に見てください。

「年間の上限」から「1回あたりの上限」へ

金額の引き上げよりも実務で効くのは、上限の数え方が変わったことかもしれません。告知に挙げられた変更点は3つです。

図:2025年12月15日に変わった3点

1

通院の扱い

キャンセル事由が傷害での通院の場合の補償限度額を、その他の事由の場合と同額に変更しました。

2

上限の数え方

年間の補償限度額から、1回のキャンセル事由あたりの補償限度額に変更しました。

3

金額

支払うキャンセル費用の補償限度額を引き上げました。

旧来は年間の枠だったので、1年のうちに2回キャンセルすると2回目は残枠しか出ませんでした。いまは事由ごとに枠が立つため、同じ年に複数回のキャンセルがあっても、それぞれで上限まで請求できることになります。通院の扱いも見逃せません。以前は入院より通院のほうが低い限度額でしたが、その区別がなくなりました。

補償されるのはカードで払った6種類のサービス

対象は「対象のアメリカン・エキスプレスのカードでお支払いしたものに限る」と明記されています。そのうえで、次の6つが挙げられています。

区分 公式ページの記載
旅行契約 国内/海外旅行契約に基づくパッケージツアーなどのサービス
宿泊 旅館、ホテルなどの宿泊施設の提供およびそれに付帯するサービス
輸送 航空機、船舶、鉄道、自動車などによる旅客の輸送
宴会・パーティー 宴会、パーティー用に供する施設の提供およびそれに付帯するサービス
趣味・教養 運動、教養などの趣味の指導、教授または施設の提供
興行 演劇、音楽、美術、映画などの公演、上映、展示、興行

公演チケットやジムのレッスン料まで入るのが、旅行保険との違いです。逆に、現金や他社カードで払ったもの、対象カード以外で払ったものは入りません。旅行代金の支払い手段をどのカードにするかで、この補償の有無が決まります。海外旅行そのものの保険は別の仕組みで、海外旅行傷害保険の使い方で扱っています。

自己負担額は「1,000円か10%の高いほう」

公式ページのカード別補償内容には、どの券種にも同じ自己負担額が書かれています。「1,000円」または「キャンセル費用の10%に相当する額」のいずれか高い額です。つまり、キャンセル費用が1万円を超えると自己負担は定額ではなく比例で増えます。

キャンセル費用 10%に相当する額 自己負担額(高いほう) 補償される額の目安
5,000円 500円 1,000円 4,000円
10,000円 1,000円 1,000円 9,000円
30,000円 3,000円 3,000円 27,000円
100,000円 10,000円 10,000円 90,000円
500,000円 50,000円 50,000円 450,000円

1万円が分かれ目です。それ未満なら1,000円、それ以上なら1割が自分の持ち出しになります。補償される額の目安の列は、限度額の範囲内であることと、ほかの控除がないことを前提に引き算しただけの数字です。実際の支払額は規定集の定めによります。

出張によるキャンセルには別の縛りがある

キャンセル事由のうち、業務命令による出張だけは扱いが違います。公式ページには2つの注記が置かれています。

業務命令による出張によるキャンセルは、カード会員/家族カード会員あたり年間1回の支払いが限度です。また、勤務先の役員または個人事業主など、自ら業務命令による出張を出す権限がある場合は補償対象外とされています。

限度額が1回あたりに変わったあとも、この出張の回数制限は年間1回のまま書かれています。役員や個人事業主が外れるのは、自分で出張を決められる立場だと事由を作れてしまうためと読めます。会社員でも、自分の裁量で出張を入れられる役職の方は規定集の定義を確認しておいたほうが確実です。

プラチナ・カードの注記にはもう一つ、同行予定者の扱いがあります。「カード会員/家族カード会員など」にはカード会員・家族カード会員のほか、同時に予約した同行予定者を含み、配偶者は同行予定者に含まないと書かれています。家族分をまとめて予約する場合の数え方が券種で違うため、家族カードの仕組みとあわせて確認してください。

旧規定のぶんは2026年6月30日で打ち切られる

引受保険会社が替わったため、いつ発生した事由かによって適用される規定が分かれています。過去のキャンセルについて請求を考えている場合は、期限が二重にかかります。

図:どの規定が適用され、いつまでに出せばよいか

〜2025.9.30

ビジネス・ゴールド/ビジネス・プラチナはここまでが補償対象。申告の締切は2026年3月31日で、すでに経過している。

〜2025.12.14

東京海上日動火災保険の規定が適用される。入電(受付)の締切は2026年5月29日。

2026.3.24〜

東京海上日動火災保険の規定が改定された。補償金請求書と申請書類の提出期限が明示された。

2026.6.30

この日までに請求書類の提出がない、または不備がある場合は審査の対象外となり補償金は支払われない。提出済みの書類も当日をもって破棄され、返却されない。

2025.12.15〜

Chubb損害保険の規定が適用される。限度額は80万円または50万円で、1回のキャンセル事由あたりの上限。

「不備がある場合」に、過去に受け付けた申請書類で追完がなされていないものが含まれると明記されています。途中で止まっている請求があるなら、2026年6月30日は実質的な最終期限です。

請求の手順

手続きの入口は電話です。公式ページも「入電(受付)締切日」という言い方で期限を示しており、書面の郵送ではなく連絡の受付日を基準にしています。

1

キャンセルが決まったらカード会社へ連絡する

締切は書類の到着日ではなく入電(受付)日で管理されています。書類がそろっていなくても、まず連絡します。

2

自分の券種が対象かを確認する

ビジネス2券種は2025年10月1日以降の事由が対象外です。対象カードの一覧で券種名を突き合わせます。

3

どの規定が当たるかを事由の発生日で判断する

2025年12月14日までなら東京海上日動火災保険、15日以降ならChubb損害保険の規定です。限度額が変わります。

4

指示された書類を集めて送る

旧規定のぶんは2026年6月30日までに不備のない状態で提出する必要があります。

5

自己負担額を差し引いた額を受け取る

1,000円かキャンセル費用の10%のいずれか高い額が引かれます。

カード会員向けに案内される任意加入の保険とは別物です。混同しやすい案内についてはカード会員に届く無料保険の案内で整理しています。券種ごとの年会費と特典の関係はアメリカン・エキスプレス・ゴールド・カードとアメックスのプラチナカードでそれぞれ扱っています。

この記事で確認できなかったこと

  • 券種ごとの入院・通院・出張といった事由別の内訳額。公式ページのカード別補償内容は画像とタブで組まれており、文字として取り出せませんでした。規定集での確認が要ります。
  • Chubb損害保険の規定における免責事由の詳細。変更点の告知には限度額と通院の扱いしか書かれていません。
  • 2026年9月時点で、プラチナ・カード以外の券種に同行予定者の規定が置かれているかどうか。注記が確認できたのはプラチナ・カードだけでした。
  • ビジネス2券種の会員に代替の補償が用意されたかどうか。終了の告知には代替の記載がありません。
  • キャンセル費用そのものの水準。旅行会社や宿泊施設の取消料は各社の約款によるため、この記事では扱っていません。

確認した一次情報


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