コカ・コーラの「マルチマネー対応自販機」がクレジットカードでのコンタクトレス決済に対応。今さら聞けないコンタクトレス決済の知識を解説

この記事は2020年4月のサービス開始の発表を報じたものです。各ブランドのタッチ決済の名称とダイナースクラブの対応状況は、2026年10月17日に各社の公式ページで確認した内容へ改めています。

日本コカ・コーラ株式会社は、同社が国内に約17万台設置している「マルチマネー対応自販機」において、Visa、Mastercard、JCB、American Expressの国際ブランドの非接触型決済サービス(タッチ決済、コンタクトレス決済)の扱いを、2020年4月1日から開始することを明らかにしました。

サービス開始によりできるようになること

サービス開始によりできるようになること

出典:コカ・コーラの「マルチマネー対応自動販売機」でVisa・Mastercard・JCB・American Expressのタッチ決済(コンタクトレス決済)サービスに対応|JCBのプレスリリース

woman
で、どんなことができるようになるんですか?
teacher
簡単に言うと、SuicaとかPASMOとかの電子マネーと一緒で、自販機に当てるだけで支払いができるようになりますよ。

今回のサービス開始により、Visa、Mastercard、JCB、American Expressが付帯したクレジットカードのうち、コンタクトレス決済に対応したものを自販機にかざせば、暗証番号の入力もサインを書くこともせずに、飲み物が購入できてしまいます。

teacher
手順は以下の通りです。たぶん、小さいお子さんでもできますよ! 
  • 「マルチマネー対応自販機」で好きなドリンクを選ぶ。
  • 自販機に設置されているリーダーで支払い決済先を選ぶ。
  • 非接触対応のカード(クレジット・デビット・プリペイド)をリーダー・ライターにタッチする。
サービス開始によりできるようになること

出典:コカ・コーラの「マルチマネー対応自動販売機」でVisa・Mastercard・JCB・American Expressのタッチ決済(コンタクトレス決済)サービスに対応|JCBのプレスリリース

teacher
ちなみに、コンタクトレス決済に対応したクレジットカードが使えるかは、このマークがあるかないかで見抜けます。自動販売機だけじゃなくて、他のお店でも試してみてくださいね。
サービス開始によりできるようになること

出典:タッチ決済

今更聞けないコンタクトレス決済を徹底解説

woman
へー、便利そうですね。でも、どうしてコンタクトレス決済が出てきたんですか?
teacher
ちょっと話すと長くなりますけど、いいですか?

今回紹介した4つの国際ブランドは、コンタクトレス決済のサービスを、日本を含めた世界各国で展開しています。




発表当時、ダイナースクラブは日本国内でタッチ決済に対応していませんでした。その後2020年12月にカードデザインの刷新と同時にダイナースクラブ コンタクトレス(タッチ決済)を搭載しており、現在は対応しています。

各ブランドの現在の名称と案内ページは次のとおりです。

国際ブランド タッチ決済の名称 公式の案内
Visa Visaのタッチ決済 Visaのタッチ決済ご利用方法
Mastercard Mastercardのタッチ決済(Tap & Go) Mastercardのタッチ決済
JCB JCBのタッチ決済(JCBコンタクトレス) JCBのタッチ決済
ダイナースクラブ ダイナースクラブ コンタクトレス(タッチ決済) ダイナースクラブ コンタクトレス(タッチ決済)

ダイナースクラブの案内では、2025年4月1日時点で39都道府県164の交通機関でもタッチ決済での乗車ができるとしています。自販機の支払いから始まった使い道は、この6年で交通機関まで広がりました。

1. リーダーにタッチ
レジや自販機の読み取り機に、カードかスマートフォンをあてる
2a. 15,000円以下
サインも暗証番号も不要。ここで支払いが終わる
2b. 15,000円超
カードを挿して暗証番号を入力するか、サインをする
タッチ決済の支払いの流れ。金額の境目は原則15,000円で、Visaの案内に基づく(2026年10月17日に確認)

一定金額(原則15,000円)以下であれば、暗証番号の入力やサインの記入なしで利用できる大変便利なシステムですが、そもそも、なぜこのような支払方法が出現したのでしょうか?

このことを理解するためには

  • クレジットカードのIC化を巡る現状
  • IC化だけでは犯罪を抑止できない理由

について理解する必要があります。

カードの情報の読み取り方と、盗み取りへの強さ
方式 読み取り方 カードを店員に渡すか 盗み取りへの強さ
磁気ストライプ 端末のスリットに通す 渡すことが多い 記録が固定で、読み取り機に仕掛けをされると複製できてしまう
ICチップ 端末に挿して暗証番号を入力する 自分で挿すことが多い 複製が難しく、暗証番号も要る
タッチ決済 読み取り機にかざす 渡さない ICチップと同じ国際規格(EMV)の技術を使い、手から離さずに済む

Visaは、タッチ決済について「いつものVisaと同様に世界基準のセキュリティ技術(EMV)により高度な安全性を確保しています」と案内しています。

クレジットカードのIC化を巡る現状

クレジットカードには、磁気ストライプやICチップが搭載されています。簡単に言うと、これらの部品にクレジットカード会員の情報を記録し、支払ができるようにするということです。従来は、ICチップは搭載されておらず、磁気ストライプのみが搭載されていました。

woman
(女性)そういえば、私が大学生の時に作ったクレジットカードにICチップなんてなかったです。

磁気ストライプは安価で、大量生産に向いていたことから、クレジットカードにおける情報記録用の部品として、古くから用いられてきました。

参照:古月敏之「磁気カード規格と基本的なシステム構成」

しかし、クレジットカードの読み取りを行う端末に、特殊な仕掛けをすれば情報を抜き取れてしまうため、抜き取った情報を悪用して偽造カードを作る「スキミング」という犯罪が横行し、深刻な社会問題になりました。

少々古いデータですが、1997年度から2013年度の偽造カードによる被害額は以下のように推移しています。2004年までは、年を追うごとに偽造カードによる犯罪が増えていったのがわかるはずです。

クレジットカードのIC化を巡る現状

出典:一般社団法人日本クレジット協会「クレジットカード不正利用被害の集計結果について」

日本に限って言えば、2002年ころから新規に発行されるクレジットカードについては、ICチップの搭載を行うクレジットカード会社が出現していました。そのため、2005年からは偽造カードによる被害額は減少に転じています。

しかし、100%のIC化がスムーズに進んだわけではありません。経済産業省が2017年4月に行った調査によれば、クレジットカードでの支払いを受け付ける店舗を運営している企業のうち、約7割が「IC化への対応について、未着手である」と答えていたのです。

ようやく、2018年6月に改正割賦販売法が制定され、2020年3月末までに、加盟店への決済端末のIC化を完了させることが義務付けられたのが現状でした。

IC化だけでは犯罪を抑止できない理由

諸外国でも、磁気ストライプを搭載したカードのスキミングによる偽造カードの横行が、深刻な社会問題になっていました。ヨーロッパやアメリカでは、政府や公的機関などが旗振り役となってクレジットカードのIC化を強力に推し進めてきたのです。

もちろん、ICチップを搭載したところで、スキミングが100%防止できるわけではありません。しかし、本来は本人しか知らないはずの暗証番号が正しくないと、決済も通らないため、犯罪の抑止には役立っているはずです。

しかし、クレジットカードが出現したころにはなかった方法で、犯罪が行われるようになってきたのです。それは「なりすまし」です。

簡単に言ってしまうと、クレジットカードの会員氏名、番号、セキュリティコード、有効期限を盗み出し、インターネット経由で物を買い、転売する犯罪を指します。この手口の場合は、ICチップや磁気ストライプから情報を盗み出す必要はありません。もっと言ってしまうと、クレジットカードの表面に書いてある情報だけで犯罪が成立してしまうのです。

今回紹介したコンタクトレス決済の場合、クレジットカードを自分の手から離すことなく、端末に触れば決済が完了するので、セキュリティ上も非常に優れています。

最近では、さらにセキュリティを高めるために、クレジットカードの表面に会員氏名や番号が全く書いていないクレジットカードも現れました。書いていなければ、盗み見される可能性も低いためです。

今後、セキュリティの観点からどのようにサービスが変化していくのかは、注意深く見守っていく必要があるでしょう。

teacher
ちなみに、日本のクレジットカードだと三井住友カードが既に表面に何も書いていないカードの発行に踏み切りました。コンタクトレス決済ももちろん使えますよ!

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