主婦の人がクレジットカードを申し込む場合、限度額がどうなるかは「なんらかの仕事をしているかどうか」でだいぶ変わってきます。つまり、専業主婦であれば、名目上は本人の年収は0であるため、配偶者=ご主人の年収や支払能力にウエイトを置いて決定されるのです。一方、兼業主婦であれば、本人の年収や支払能力に基づき決定されるので、ほとんど通常のクレジットカードの審査と変わりません。
そこで今回の記事では
- クレジットカードの限度額の決まり方
- クレジットカードの限度額を上げる方法
の2点について、専業主婦の場合と兼業主婦の場合とに分けて解説しましょう。
専業主婦のクレジットカードの限度額の決まり方
最初に、専業主婦の人のクレジットカードの限度額の決まり方について、考えてみましょう。
配偶者の収入、支払能力に基づき決まる
この質問に一言で答えると
が答えになります。クレジットカードの申し込みをする際、職業を「専業主婦」とすると、年収は0円として扱われるのが一般的です。
配偶者がブラックリスト入りしていると厳しい
専業主婦にとっては、使えるお金が「配偶者が仕事をしてもらっているお金」であるため、配偶者の年収が低かったら、限度額も低くなるのが当然です。加えて、配偶者が過去にクレジットカードの支払を延滞・滞納していたなど、問題を起こしていた場合は、クレジットカード自体が作れない可能性があります。
実際は10万円~30万円の間になる場合が多い
クレジットカード会社やクレジットカードの種類、果ては配偶者の年収や支払能力によっても左右される部分はありますが、専業主婦がクレジットカードを申し込んだ場合、最初に提示される限度額は、10万円から30万円の間で落ち着く場合が大半のようです。これには、法律の規定も関係しています。
割賦販売法における「包括クレジットに関する例外措置」とは
クレジットカードをはじめとした割賦販売の取り扱いを規定する法律に、割賦販売法があります。その中には、消費者の保護に支障を生じるおそれがない場合には、簡単な調査でクレジットカードの審査を行うことができるという規定も設けられているのです(包括クレジットに関する例外措置)。この規定の中では、クレジットカードの限度額が30万円までであれば、過剰な債務や延滞などを確認する簡易な審査でクレジットカードを発行することができるとされています。
クレジットカード会社の立場からすると、たとえ専業主婦本人が支払えなかったとしても、配偶者に対して請求すれば支払ってもらえる可能性が高いです。そのため、専業主婦本人に重大な問題がないかをまずは見極めれば十分と考えられます。それなら、簡易審査で間に合うのも事実です。
一時的な限度額の引き上げなら可能
- 海外旅行に行く予定がある
- 引っ越しをするので家具を買いそろえないといけない
- 結婚式を挙げる
など、一度にまとまったお金が出ていく用事がある場合に、クレジットカードの限度額を一時的に引き上げることは、専業主婦であっても可能です。このようなケースも、先ほど触れた「包括クレジットに関する例外措置」の中に盛り込まれています。
審査で断られるケースとは
一時的な限度額の引き上げについては「いつ、どんな目的で、いくらぐらい使うのか」を伝えれば、審査に通る場合が大半です。しかし、状況次第では断られるケースもあるので注意してください。例として、以下のケースが考えられます。
- 延滞、滞納を繰り返している
- 短期間に一時的な限度額の引き上げを何度も繰り返している
- リボ払い、分割払いの利用残高がある
専業主婦がクレジットカードの限度額を上げる3つの方法
専業主婦がクレジットカードの限度額を上げるには、どうしたらいいのでしょうか。自分自身に年収がない以上「全体としてクレジットカードで支払いができる金額を上げる」という前提で考えなくてはいけません。無理なく実践できる方法として
- 良いクレヒスを積み上げる
- 別にクレジットカードを作る
- 高額の支払いをしたい場合は家族カードを使う
の3つを考えてみました。
1.良いクレヒスを積み上げる
クレジットカード会社にとっての良い顧客とは「毎月継続してクレジットカードを利用してくれ、しかも、延滞や滞納はしない顧客」です。裏を返せば、この条件さえ満たせれば、専業主婦であっても、利用限度額が上がる可能性は大いにあります。
延滞、滞納は厳禁
子どもの時から「約束された日時は守る」ことをしつけられて育った人はきっと多いはずです。クレジットカードの利用においてもこれは全く同じで、指定された引き落とし日に銀行口座の残高が不足することがないよう、細心の注意を払いましょう。こまめに利用明細をチェックするよう心掛けてください。
毎月少しでもいいので使うこと
専業主婦である場合、自分が自由に使えるお金はそう多くないかもしれません。しかし、毎月発生する支払いなどをクレジットカードで済ますだけでも、利用実績としてカウントされます。クレジットカード会社にとっては「自分のところのクレジットカードをコンスタントに使ってくれる顧客」が本当に欲しい顧客です。クレジットカード会社に良い顧客と思ってもらえるよう「作ってはみたものの、まったく使っていない」クレジットカードにならないよう気を付けましょう。
2.別にクレジットカードを作る
海外旅行に行くなどの理由で、クレジットカードで支払いをできる金額に余裕を持たせたい場合は、いっそ別にクレジットカードを作ってしまうのも1つの手段です。新しく別のクレジットカードに申し込む際の注意点をまとめました。
全体で3枚程度に収まるようにしよう
大手クレジットカード会社のJCBが毎年行っている「クレジットカードに関する総合調査」によれば、クレジットカードの平均保有枚数は3.0枚とのことです。
専業主婦の人がクレジットカードを持つ場合も、3枚程度であれば管理しやすいので、全体として3枚以内に収まるようにして選ぶといいでしょう。
Visaは必ず1枚持っておきたい
クレジットカードにはそれぞれ、国際ブランドのマークがついています。国際ブランドとは「決済システムを提供する会社」のことで、マークは「このクレジットカードはどの決済システムを利用しているか」を表しているものです。2020年4月現在、以下の7つが7大国際ブランドと称されています。
- Visa(ビザ)
- Mastercard(マスターカード)
- JCB(ジェー・シー・ビー)
- American Express(アメリカン・エキスプレス)
- Diners(ダイナース)
- Union Pay(ユニオンペイ、銀聯カード)
- Discover(ディスカバー)
このうち、日本を含めた世界各国でシェア1位(取引額ベース)を誇るのは、Visaです。言い換えると、日本はもとより、世界中のどこの国にいっても使える場合がほとんどなので、1枚は持っておきましょう。
2枚目のカードも年会費無料のもので十分
一般的に、クレジットカードの年会費は、付帯しているサービスやステータス(会員ランク)に比例しています。つまり、サービスが豊富になり、ステータスが高くなればなるほど、年会費も高くなるということです。しかし、専業主婦の人が持つという前提であれば、年会費が無料のものでも十分役割は果たせます。
今は、年会費が無料のクレジットカードであっても、ポイント還元率が高かったり、付帯サービスが充実していたりするものもたくさん出てきました。「年会費が無料だからサービスも貧弱だし、ポイントも貯まりにくい」というわけではありません。
申込ブラックには注意
別のクレジットカードに申し込む場合は「前回クレジットカードを申し込んだ時からの間隔」に注意しましょう。新しくクレジットカードに申し込みをすると、その事実は個人信用情報に記載されます。
記載は半年間残るので、短期間に頻繁にクレジットカードの申し込みを繰り返していると「この人はお金に困っているからクレジットカードを頻繁に申し込んでいる」と思われかねないのです。あくまで目安ですが
- 半年間に2枚:重大な問題がなければ審査に通ることが多い
- 半年間に3枚:審査に通る可能性はかなり低くなる
- 半年間に4枚以上:審査に通ることはまずない
と考えておきましょう。
3.高額の支払いをしたい場合は家族カードを使う
専業主婦の人が自分自身のクレジットカードの利用だけで、利用限度額を一気にあげるのはかなり難しいのも事実です。クレジットカードを利用して高額の支払いをする予定がある場合は、家族カードを使うことも検討しましょう。
家族カードなら年収0でも問題はない
家族カードとは、クレジットカード会員の申し出により発行される、家族が利用するための追加カードのことです。本来、クレジットカードは、クレジットカード会社が申し込みをした本人の支払能力を審査した上で、一定の水準を満たしたと判断した場合にのみ貸与するものです。
そこで、クレジットカード会員本人の家族が利用できるよう、クレジットカード会社に申し出ることで家族が利用するための追加カード=家族カードを発行しているのです。
家族カードについては、発行の可否の判断はあくまで「クレジットカード会員本人の支払能力や利用状況」に基づいて行われます。
兼業主婦のクレジットカードの限度額の決まり方
一方、兼業主婦の場合、クレジットカードの限度額の決まり方は、専業主婦とは全く異なります。詳しく解説しましょう。
働き方によって決まる
一口に兼業主婦と言っても
- 自宅で在宅ワークをしている
- 配偶者の扶養を外れない範囲でパート、アルバイトをしている
- 派遣社員、契約社員として働いている
- フルタイムの正社員として働いている
など、働き方は様々です。当然、利用限度額も働き方や年収によって左右されます。配偶者の扶養を外れない範囲であれば低めになるし、フルタイムの正社員であれば高くなるのも事実です。また、自宅で在宅ワークといっても、それなりに報酬をもらっているなら「自営業」として評価され、利用限度額が高くなることもあるでしょう。
扶養範囲内であれば「専業主婦」として申し込むのも1つの手段
配偶者の扶養を外れない範囲でパート、アルバイトとして働く場合、推定年収は100万円以下である以上、利用限度額が高くなりにくいのも事実です。このようなケースの場合は、あえて職業を「専業主婦」として申し込むのも1つの手段でしょう。
兼業主婦がクレジットカードの利用限度額をあげる2つの方法
兼業主婦がクレジットカードの利用限度額を上げるには、一体何をすればいいのでしょうか。無理なく実践できる方法として
- 1枚のクレジットカードに支払いをまとめる
- 1枚のクレジットカードを長く使い続ける
の2つについて解説しましょう。
1.1枚のクレジットカードに支払いをまとめる
クレジットカードの利用限度額を上げるには、良いクレジットヒストリーを積み上げるのが非常に大事です。つまり
- それなりの金額を毎月使ってくれている
- 延滞、滞納はしない
の2点を満たすのが必要になります。兼業主婦であれば、仕事に使う服や化粧品、自分の趣味のための出費は自分の給料から出しているという人も多いはずです。そのような「自分のためだけの支出」は1枚のクレジットカードにまとめてしまいましょう。
2.1枚のクレジットカードを長く使い続ける
クレジットカード会社の立場から考えた場合、良い顧客とみなされる条件として「自分の会社のクレジットカードを長く使い続けてくれる人」が挙げられるでしょう。良い顧客とみなしてもらえれば、利用限度額の増額などの便宜を図ってくれる確率もぐっと高まるはずです。自分のライフスタイルに合ったクレジットカードをしっかりと選び、長く使い続けていくのをまずは目指しましょう。
ゴールド、プラチナなどの上級会員を狙うなら利用実績がものをいう
将来的にゴールドやプラチナなど、上位のステータス(会員ランク)のクレジットカードを持ちたいと考えている場合も「1枚のクレジットカードを長く使い続ける」のは重要になります。
クレジットカード会社は、ゴールドやプラチナなど、上位のステータスのクレジットカードの顧客を獲得するための手段として「実際に自分の会社のクレジットカードを使い続けている人」に向けて、案内を出すことが多々あるためです。自分の会社のクレジットカードを使い続けている以上、支払能力に問題がないかどうかの見極めはしやすいことから、経営上のリスクも提言できます。