新社会人がクレジットカードを申し込む際に気にするであろうこととして「審査に通るのかどうか」が挙げられます。例えば、このようなお悩みを抱えている人はいるはずです。
ここでの結論として「心配する必要はない」と言っておきます。ただし
- 学生時代にお金絡みのトラブルを起こしていないこと
- 審査に通りやすいクレジットカードを選ぶこと
の2つが条件です。そこで今回の記事では
- 基本的に新社会人がクレジットカードの審査に通りやすい理由
- 新社会人がクレジットカードの審査に通らない原因と対策
について、解説します。
基本的に新社会人は審査に通りやすい
今回の話の前提として頭に置いてほしいのは「基本的に新社会人はクレジットカードの審査に通りやすい」ということです。その背景について、まずは解説しましょう。
長期顧客になってくれる見込みがあるから
クレジットカード会社にとって、最も歓迎すべき顧客とは「長期に渡って安定して、自社のクレジットカードを使ってくれる人」です。クレジットカードの収益の柱の1つに、クレジットカードの決済手数料が挙げられます。
決済手数料とは、クレジットカードが使えるお店=加盟店で決済が行われる度に、加盟店からクレジットカード会社に支払われる手数料です。加盟店やクレジットカード会社が提示した条件によっても異なりますが、利用額の3%~4%程度が一般的でしょう。
クレジットカード会社にとっては、決済手数料が入ってくる機会を増やす=顧客を増やし、積極的に自社のクレジットカードを使ってもらうことが、安定した経営を行う上で非常に重要になります。
そこで問題になるのが「顧客の増やし方」です。
クレジットカード会社も、ブランドロイヤルティの向上には腐心しています。その1つの施策として、これからクレジットカードを使う年数が長いであろう新社会人を重要なターゲットとみなしているのです。
つまり
- 新社会人は重大な問題がない限り審査に通すなど、まずは「クレジットカードを使ってもらう」ことを重視する
- 利用実績や契約年数に応じてゴールド、プラチナなど上位ステータス(会員ランク)のカードを案内し、充実した付帯サービスが受けられるようにする
などして、長期に渡って安定した顧客を獲得するという狙いがあります。このような背景があるために、事実、新社会人は比較的クレジットカードの審査に通りやすいといわれているのです。
内定をもらった時点で作ってしまうとベター
新社会人はクレジットカードの審査に通りやすいのは事実です。しかし、実際に会社が始まってしまうと、最初のうちは研修や慣れない仕事で気疲れしてしまい、クレジットカードのことまで頭が回らない、というのも十分に考えられます。
そこでおすすめしたいのが「内定をもらった時点でクレジットカードを作ってしまうこと」です。おすすめするのには、次の2つの理由があります。
- 学生のうちであれば、より審査に通りやすい
- 勤務先欄に内定先を書けば「社会人になって安定継続した給料がもらえる」というアピールになる
まず「学生のうちであれば、より審査に通りやすい」について説明しましょう。クレジットカードの審査においては、学生のうちは学生本人の支払能力に加え、親権者の支払能力も重視されます。実態はどうであれ、学生は勉強をするのが本分である以上、社会人に比べると十分な支払能力を有していないことが多く、親権者の収入で生計を立てていることがほとんどであるためです。つまり、親権者がブラックリストに載っているなど、よほどの問題がなければ、審査に通ると考えていいでしょう。
また、企業から内定をもらっていて、入社予定日も決まっているのでれば、クレジットカードを申し込む際に「勤務先欄」に内定先の会社の名前を書いて構いません。内定をもらっている以上は、基本的にその会社で働くことが決定していると考えられるためです。
新社会人がクレジットカードの審査に通らない原因は?
新入社員は、クレジットカードの審査に通りやすいのは確かです。しかし、100%通るとも限らないのが実情だと覚えておきましょう。特に、次の2点に当てはまる場合は、審査に通らないことも考えられるので、注意してください。
- 学生時代にお金絡みのトラブルを起こした
- クレジットカードの選び方が悪い
それぞれについて、詳しく解説しましょう。
1.学生時代にお金絡みのトラブルを起こした
学生時代にお金絡みのトラブルを起こしていた場合、新社会人になってもクレジットカードの審査に通るのは難しくなります。
- カード請求額の延滞、滞納
- 携帯電話料金の延滞、滞納
- 奨学金返済額の延滞、滞納
- クレジットカードの利用規約違反による強制解約
2.クレジットカードの選び方が悪い
お金絡みのトラブルを起こしていなかったとしても、クレジットカードの選び方が悪かったせいで審査に通らないことも考えられます。クレジットカード会社やクレジットカードそのものの種類によって、審査の通りやすさは様々です。中には、一定の年齢・年収以上でないと申し込みすら受け付けてくれないものもあります。
もちろん、どのクレジットカードについても、具体的な審査の基準は公表されていませんが、クレジットカード会社内部の基準が設けられているのは確かなはずです。新入社員の年齢・年収では審査の通過が難しいクレジットカードをうっかり選んでしまうと、本人自体に何ら問題はなかったとしても、まず審査には通りません。そのため、下調べを綿密にするのも非常に重要になります。
【原因1】学生時代にお金絡みのトラブルを起こした
学生時代にお金絡みのトラブルを起こしていた場合、新社会人になってからしばらくはクレジットカードが作れなくなります。なぜ作れなくなるのか、そして、作れない間はどうすればいいのか、解説しましょう。
個人信用情報とクレジットカードの審査
前提として、クレジットカードを新しく作る際の流れをまずは理解しておきましょう。大まかな流れは、以下の通りです。
- クレジットカード会社に対し、フォームや書類で必要事項を提出する。この時に運転免許証などの本人確認書類も提出する
- 提出されたフォームや書類、本人確認書類および申込者の個人信用情報をクレジットカードの審査担当者が確認し、クレジットカード発行の可否を判断する
- クレジットカードの発行が可能と判断されれば、後日郵送で本体および添付書類が届く
ここで注目してほしいのが、個人信用情報です。
クレジットカード会社は、新規にクレジットカードの申し込みがあると、そのデータベースにアクセスし、申し込みをしてきた人の個人信用情報を確認するのです。
個人信用情報を確認した結果、異動情報が登録されていた場合は、新規のクレジットカードの発行は見送られます。また、クレジットカードが発行された後であっても、なんらかの理由で個人信用情報に異動情報が登録された時点で、クレジットカードの利用停止・強制解約の措置が取られるのが一般的な流れと考えましょう。
個人信用情報に異動情報として登録されるトラブル
異動情報とは「支払能力に重要な疑義を及ぼす事象」のことです。簡単に言うと「本当に支払いができるのか疑わしくなるトラブル」を指します。具体的には、次の4つのトラブルを起こした場合、異動情報として登録されるので気を付けてください。
- カード請求額の延滞、滞納を繰り返していた
- 携帯電話料金の延滞、滞納を繰り返していた
- 奨学金の返済ができていなかった
- 利用規約違反で強制解約になった
1.カード請求額の延滞、滞納を繰り返していた
学生のうちから使っていたクレジットカードについて、請求額の延滞、滞納を繰り返していた場合、個人信用情報に異動情報として登録されてしまう可能性が高いです。目安としては、61日以上の延滞になると登録されると考えましょう。
また、個人信用情報に異動情報として登録されないまでも、頻繁に延滞、滞納を繰り返すのは好ましくありません。クレジットカード会社には「この人にはクレジットカードを持たせたくない」と判断した顧客について、強制解約をする権利があるためです。
当社は、会員が次の各号のいずれかの事由に該当した又は当社が該当したと判断した場合、会員資格を取消すことができ、加盟店等に当該カードの無効を通知又は登録することがあります。
(中略)
3.会員が支払債務の履行を怠った場合。
2.携帯電話料金の延滞、滞納を繰り返していた
iPhoneなどのスマートフォンの場合、端末代金が高額であるため、分割払いという形にし、毎月の携帯電話の利用料金と一緒に払っている人は多いでしょう。しかし、これは実質的に、ローンを組んでいるのと同じと考えてください。そのため、携帯電話の利用料金に端末代金の分割払い分の支払いが含まれていたにも関わらず、延滞、滞納を繰り返していた場合は、個人信用情報に異動情報として登録される恐れがあります。
3.奨学金の返済ができていなかった
学校(大学、短期大学、専門学校など)に通うために、奨学金を借りていた場合は、延滞・滞納には注意が必要です。長期間の延滞・滞納があった場合も、個人信用情報に異動情報として登録されてしまいます。
4.利用規約違反で強制解約になった
延滞、滞納をしていなかったとしても、クレジットカード会社が定める利用規約に違反していた場合、クレジットカードが強制解約されてしまうこともあり得ます。うっかりやってしまいがちですが、重大な利用規約違反になるものをいくつか紹介しましょう。
- 家族や友だちなど「自分以外の誰か」にクレジットカードを貸した
- クレジットカード裏面の署名欄に名前を書いていなかった
- 換金する目的で新幹線のチケットなどを購入し、実際に換金していた
【対策】デビットカードやプリペイドカードを検討しよう
もし、個人信用情報に異動情報が登録されていた場合、最長で10年間はクレジットカードが作れなくなってしまいます。その場合、クレジットカードの代わりに使えるキャッシュレスの支払い手段を確保しておく必要があるでしょう。
審査が必要ないという点でおすすめなのが、デビットカードとプリペイドカードです。
【原因2】クレジットカードの選び方が悪い
本人に何らお金のトラブルがなかったとしても、審査に落ちてしまうことはやはりあります。その場合の問題点として考えられるのが「クレジットカードの選び方が悪い」ことです。つまり「自分の現状に見合っていないクレジットカードを申し込んだため、審査通過の基準を満たすことができなかった」と考えましょう。
ステータスと審査難易度の関係
一般的に、クレジットカードの審査の通りやすさ=審査難易度は、ステータスに左右されます。
一言でまとめると「会員ランク」のことです。多くのクレジットカード会社が、クレジットカードのステータスとして
- 一般
- ゴールド
- プラチナ
- ブラック
の4つを用意しています。
お客様のだけどアメックスのクリスタルカード(透明カード)はじめてみた…。年間使用金額が1000万超えてブラックカードですよね、しかも自営で10年とか、でもクリスタルはその二、三倍…。
— nakanakana (@nakanakana2) March 25, 2013
そして、ステータスが上がれば上がるほど、付帯サービスが充実しますが、年会費が高くなるとともに、会員資格を付与する基準も厳しくなるのです。ゴールドであれば、20代でも申し込める場合が多いですが、それでも「本人に安定継続した収入があること」を前提にしているのが基本と考えましょう。
新社会人のうちは一般カードで十分
新社会人のうちは、給料が低い場合がほとんどである上に、ステータスの高いカードの審査に通る可能性も低いです。そのような背景を考えると、一般カードを持っていればまずは十分と考えましょう。しかし、一言で一般カードといっても「どんな会社が発行しているのか」によって、審査難易度は若干異なります。詳しく解説しましょう。
将来のステータスを重視して選ぶならプロパーカード
後述する提携カードに比べると、審査難易度は高いといわれています。
プロパーカードの多くは、長期に渡って利用してくれる顧客を想定し、ゴールドやプラチナ、ブラックなどのステータスが高いクレジットカードを用意しています。将来的にステータスの高いクレジットカードを持ちたいと思うなら、まずはプロパーカードの一般カードを作り、そこから利用実績を積み上げていくのが賢いやり方です。
審査の通りやすさで選ぶなら提携カード
一方、将来ステータスの高いクレジットカードを持つことをそれほど重視していないのであれば、提携カードを選んでもいいでしょう。
クレジットカードを発行する目的が「商品・サービスの利用」であるため、プロパーカードに比べると、同じステータスであっても審査難易度は低いのが特徴です。