主婦がクレジットカードでキャッシングを利用するには?
結論から言うと、兼業主婦(外で仕事をしていたり、在宅ワークをしていたりする、配偶者の扶養から外れる範囲で働いている主婦(夫)の人)であっても、専業主婦(外で仕事や在宅ワークをしていない、もしくはしているが、配偶者の扶養に入る範囲で働いている主婦(夫)の人)であっても、クレジットカードでキャッシング=お金を借り入れること自体は可能です。具体的にどんな方法が使えるのか、見てみましょう。
1.自分のクレジットカードのキャッシング枠を使う
主婦が自分のクレジットカードにキャッシング枠を設定すれば、その範囲内でお金の借り入れを行うことができます。
2.家族カードのキャッシング枠を使う
配偶者のクレジットカードの追加カードとして家族カードを発行してもらい、その家族カードにキャッシング枠を設定して使うこともできます。
3.配偶者貸付を利用する
一部のクレジットカード会社では、キャッシングにおいて配偶者貸付を導入しています。配偶者貸付とは配偶者の同意を得て、自分と配偶者の年収を合算してその3分の1までの融資枠を得ることです。つまり、主婦本人に収入がなかったとしても、配偶者に収入があればお金を借りることができる制度と考えましょう。
1.自分のクレジットカードのキャッシング枠を使う
自分のクレジットカードのキャッシング枠を使う方法について、利用するための基本的な流れおよびメリット・デメリットについて考えてみましょう。
利用するための流れ
クレジットカードのキャッシング枠を使って、キャッシングをする手順は以下の通りです。
- 自分のクレジットカードにキャッシング枠がついているかどうか確認する(ついていなければクレジットカード会社に連絡して審査の上、付与してもらう)
- 銀行、コンビニなどのATMに行き、操作して実際に借り入れを行う
メリット
この方法のメリットは、以下の通りです。
1.審査に通ればすぐに使えるようになる
この方法の場合、クレジットカードにキャッシング枠を設定してもらえさえすれば、すぐにそのクレジットカードを使ってお金を借りられるようになります。かなり手軽であることがメリットです。
デメリット
一方、次のようなデメリットもあります。
1.専業主婦だと審査に通らない可能性が高い
クレジットカードでのキャッシングは、言い換えると「クレジットカードを使ってお金を借りること」です。そのため、法律(貸金業法)の規制を受けます。貸金業法には総量規制と言って「年収の3分の1以上の貸し付けをしてはならない」という規定があるため、年収が少なければ少ないほど、クレジットカードでのキャッシングで借りられる金額の上限も少なくなるのです。
総量規制はなぜ生まれた?
総量規制の規定が設けられた背景には、「多額の借り入れをし、返済ができずに困っている債務者(多重債務者)がいる」という問題がありました。そこで、クレジットカード会社や消費者金融などの貸金業者による過剰な貸し付けを防止し、債務者を保護するために、総量規制の規定が設けられたのです。
2.気軽に借りる癖がついてしまうこともある
クレジットカードでのキャッシングは、とにかく手続きが簡単です。「こんな簡単な操作でお金が借りられてしまうのか」と思う人も少なくないでしょう。しかし、その手軽さ故に気軽に借りる癖がついてしまう人もいるのです。「自分は浪費家だ」と自覚しているなら、手を出さないほうがいいのは言うまでもありません。
2.家族カードのキャッシング枠を使う
クレジットカードは、本来「クレジットカード会社が申し込みをした人の支払能力を審査した上で、クレジットカード会社が貸与するもの」です。そのため、クレジットカードの券面に記載された名前の本人しか利用できません。
しかし「家族の分の支払いも同じ銀行口座から行いたい」などの事情がある場合は、家族カードを追加発行してもらうことで、家族も使えるようになります。家族カードを利用するための流れ、メリットとデメリットについて解説しましょう。
利用するための流れ
家族カードでのキャッシングを利用するための流れは、以下の通りです。
- キャッシング枠を設定した家族カードを発行してもらう(もしくは、すでに家族カードが発行されているなら、クレジットカード会社に連絡し、キャッシング枠を付与してもらう)
- 銀行やコンビニのATMに行き、操作してお金を引き出す
メリット
この方法のメリットについて考えてみましょう。
1.手続きが済めばすぐに使えるようになる
家族カードにキャッシング枠を付与してもらうことは、クレジットカードの本会員(ここでは配偶者)の利用状況に問題がなければ、案外スムーズにいく場合がほとんどです。手続きが済めばすぐに使えるようになるうえに、操作も簡単なのは大きなメリットでしょう。
デメリット
一方、以下のようなデメリットもあります。
1.家族とのトラブルの引き金になる
この方法を使うにあたって考えなくてはいけないのは
- 家族カードにキャッシング枠を付けてもらうには、本会員である家族(配偶者)の同意が必須である
- キャッシングで利用した分は、本会員への請求額とまとめて、本会員が支払い元として設定した銀行口座から引き落とされる
の2点です。
まず、前者についてですが、家族カードにキャッシング枠を付ける際は、本会員に対しても確認が行われます。仮に、本会員(配偶者)に対して秘密にして進めようと思っても、いずれは発覚してしまうのです。その時に相手がどう出るかは、個々の状況次第ですが、反対されたらこの方法は使えません。
また、後者についてですが、家族カードでの利用分は、本会員への請求額とまとめて、本会員が支払い元として設定した銀行口座から引き落とされます。当然、利用明細にも「いつ、どこで、いくら使ったか」が細かく出るため、内容次第では相手の反感を買いかねません。
3.配偶者貸付を使う
配偶者に安定継続した収入があるなら、配偶者貸付を使うのも1つの手段です。この方法を利用する上での流れおよびメリット・デメリットについて解説しましょう。
利用するための流れ
配偶者貸付を利用するための流れは、以下の通りです。
- クレジットカード会社に配偶者貸付を利用する旨を伝え、必要な書類を用意する
- クレジットカード会社は書類が到達した時点で審査を行い、配偶者貸付の利用の可否を判断する
- 利用が可能となったら、融資が実行される
メリット
配偶者貸付のメリットは、以下の通りです。
1.配偶者に収入があれば借りられる
本人が専業主婦であるなどの理由で収入がなくても、配偶者に安定継続した収入があれば、配偶者貸付は利用できます。配偶者貸付を利用した場合、上限額は配偶者の年収と本人の年収を合算して計算されるためです。ただし「借り入れできる総額は年収の3分の1まで」(総量規制)という決まりがあるため、他社からの借り入れがある場合は、その金額を控除して計算されます。
具体的な計算例を見てみよう
配偶者貸付を利用する場合、どのように借り入れできる上限額が決まるか見てみましょう。次のような夫婦がいたとします。
- 夫(会社員)の年収は750万円、妻は専業主婦であるため年収は0円
- 他社からの借入額は夫が30万円、妻はなし
この場合、配偶者貸付により借り入れできる金額の上限は次の数式で求められます。
デメリット
一方、配偶者貸付には以下のようなデメリットがあります。
1.いくら借りられるかは配偶者の収入に左右される
配偶者貸付の特徴は「本人と配偶者の収入を合算し、融資可能額が計算される」ことです。言い換えれば、配偶者の収入次第で、いくら借りられるかどうかが決まります。
2.手続きに時間がかかる
配偶者貸付を利用するためには、貸金業法の規定に基づき、所定の書類を提出した上で審査を受けなければいけません。当然、そろえるべき書類も多くなるし、審査にも時間がかかります。なお、そろえなくてはいけない書類は以下の通りです。
配偶者貸付申込書
クレジットカード会社所定のものを使いましょう。
収入証明書
配偶者および本人(収入がある場合)のものを用意しましょう。以下のものが利用できます。
- 給与所得の源泉徴収票
- 給与明細書
- 所得税の確定申告書
- 納税通知書
- 年金証書
- 年金通知書
婚姻関係証明書
住民票の写しを提出すれば大丈夫です。
3.配偶者とのトラブルの引き金になる
お金が絡むことなので、慎重に進めないといけないのは配偶者貸付でも同じです。まず、大前提として「配偶者貸付は配偶者の同意がないと進められない」ことを頭においておきましょう。配偶者の収入を証明する書類が必要になりますが、これは配偶者本人しか基本的には手に入れられません。
主婦がクレジットカードのキャッシングを使わないほうがいい理由
これまで説明してきた通り、主婦(とくに専業主婦)であっても、クレジットカードを使ってキャッシングをすること自体は可能です。しかし、実際のところは「なるべくなら使わない方がいい」ものであるのは間違いありません。その理由を次の6つの側面から解説しましょう。
- 安定継続した収入がないので返済計画が狂いがちである
- 他のクレジットカードの申し込みに通りにくくなる
- 本人の収入を基準にすると審査に通らないことが多い
- 配偶者とのトラブルの火種になる
- ショッピング枠が低くなる場合がある
- 不正利用された場合でも補償はされない
1.安定継続した収入がないので返済計画が狂いがちである
兼業主婦の人はともかく、専業主婦の人に気を付けてほしいのが「自分自身に安定継続した収入があるわけではない」ということです。当然、配偶者の収入に頼って返済を行う流れになりますが、配偶者の収入を常に自分のためだけに使えるとは限らないのです。借りた当初は余裕があったとしても
- 配偶者の勤務先が倒産したり、配偶者がリストラにあったりした
- 自分や配偶者、その他の家族が病気やケガで働けなくなった
- その他、まとまったお金が必要になる出来事があった
などの理由で、返済に回すお金が確保できなくなる可能性はあるでしょう。自分でお金を確保する手段がない以上、返済計画も狂いがちになります。
2.他のクレジットカードの申し込みに通りにくくなる
クレジットカードでキャッシングを行うと、その履歴も個人信用情報に記録されます。
新しくクレジットカードに申し込むと、クレジットカード会社の審査担当者は個人信用情報機関のデータベースにアクセスし、申し込みをした人の個人信用情報がどのようになっているかを確認します。その際、キャッシングをしていることがわかると「もしかしたらこの人はお金に困っているのかもしれない」という疑念を抱く場合もあるのです。
3.本人の収入を基準にすると審査に通らないことが多い
日本の法律(貸金業法)には「年収の3分の1以上の貸し付けを行ってはいけない」という決まり(総量規制)があります。クレジットカードでのキャッシングや、消費者金融のカードローンなどは、この規定の対象となる商品です。
つまり、特に専業主婦の人の場合は、年収が0円であることも少なくないので、そもそもクレジットカードでのキャッシングが利用できないのです。
4.ショッピング枠が低くなる場合がある
クレジットカードにキャッシング枠を付けた場合、それは潜在的な借金とみなされます。キャッシングでは、銀行やコンビニのATMからすぐにお金を借りられるためです。そのため、返済ができなくなるのを防ぐという意味で、キャッシング枠が付されているクレジットカードについては、ショッピング枠を低くするという判断をするクレジットカード会社もあります。
5.不正利用された場合でも補償はされない
クレジットカードには、不正利用された場合の補償制度が設けられています。しかし、これはあくまで「ショッピング枠を用いて不正利用が行われた場合」を前提としたものです。落としたクレジットカードが誰かに拾われ、暗証番号を見破られてATMからキャッシングをされたとしても、補償が受けられない場合がほとんどなので気を付けましょう。
Q.暗証番号を使用する取引(キャッシング利用含む)で、不正利用があった場合は補償の対象となりますか?
A.原則、補償対象とはなりません。
ただし、状況調査のうえ、故意・過失が原因の被害でないと判断した場合は、この限りではございません。
出典:カード不正利用(不正使用)発生時の補償について|クレジットカードの三井住友カード
6.配偶者とのトラブルの火種になる
「金の切れ目は縁の切れ目」ということわざがあります。昔の人がそうやっていうくらい、金銭トラブルは人間関係を崩壊させる重大な原因の1つであるのは間違いありません。夫婦であってもこれは同じです。
最初はパートナーが同意してくれたとしても、後になって「やっぱり納得できない」と言い出すことだってもちろんあるでしょう。返済が滞ったりしたら、余計にトラブルに発展しやすくなるはずです。