海外でクレジットカードを使うと、為替レートのほかに海外事務手数料が上乗せされます。長く「2.20%前後」が相場でしたが、2024年から2025年にかけて主要なカード会社が相次いで引き上げました。いまは3.6%台から3.8%台が中心です。古い数字のまま比較すると、10万円の買い物で1,600円以上見誤ります。ここでは各社の公式告知に書かれている料率と改定時期を並べます。
先に押さえる要点
- 三井住友カードはクレジットカード(Visa・Mastercard)の海外事務処理手数料を2.20%→3.63%(税込)に改定。2024年11月1日以降に同社に到着した売上から適用しています。
- 楽天カードは2.20%→3.63%(税込)。2025年3月1日からで、Visa・Mastercard・JCB・American Expressで共通です。
- セゾンカードはVisa・Mastercardを税込2.20%→税込3.85%、JCBを2.15%→3.85%、AMEXを2.00%→3.85%に改定しています。
- JCB発行のカードは、公式FAQで「基準レートに1.6%を加えた換算レート」と案内されています。同じJCBブランドでも発行会社が違えば料率は違います。
- 換算されるのは利用日ではありません。JCBは「JCBが海外の加盟店などに支払い処理を行った日」を換算日とし、通常は利用日から約3〜10日後としています。
- 三井住友カードは海外キャッシュサービスには海外事務処理手数料がかからないと明記しています(別途利息はかかります)。
2024年から2025年にかけて何が変わったか

| カード会社 | 対象 | 改定前 | 改定後 | 適用時期 |
|---|---|---|---|---|
| 三井住友カード | クレジットカード(Visa・Mastercard) | 2.20%(税込) | 3.63%(税込) | 2024年11月1日以降に同社へ到着した売上から |
| デビットカード(Visa) | 3.05%(税込) | 3.63%(税込) | ||
| 楽天カード | Visa・Mastercard・JCB・American Express共通 | 2.20%(税込) | 3.63%(税込) | 2025年3月1日から |
| セゾンカード | Visa・Mastercard | 2.00%(税込2.20%) | 3.50%(税込3.85%) | 2024年9月18日告知 |
| JCB | 2.15% | 3.85% (JCBの1.6%+同社の2.25%・税込) |
||
| AMEX | 2.00% | 3.85% |
三井住友カードは改定の理由について「昨今の海外におけるクレジットカード取引の環境変化、および海外取引に関連するコスト増加などにより、現状の海外事務処理手数料の維持が困難な状況となっております」と説明しています。楽天カードも「昨今の海外での事務コストの動向など」を挙げており、各社ともほぼ同じ理由です。
同じ国際ブランドでも、発行会社が違えば料率は違います。セゾンのJCBブランドカードの3.85%は、公式の注記によれば「JCBが定める1.6%と当社が定める2.25%(税込)」の合計です。つまりブランド側の取り分と発行会社の取り分が別々に乗っています。「JCBだから1.6%」とは限らない理由がここにあります。

請求額はどう決まるか

三井住友カードは公式ページで、100ドルを1ドル150円で換算した場合の手数料を次のように示しています。改定前は100ドル×150円×2.20%=330円、改定後は100ドル×150円×3.63%=544円です。同じ買い物で214円の差が出ます。
気をつけたいのは、換算に使われるレートが利用日のレートではないことです。JCBの公式FAQは「JCBが海外の加盟店などに、お客様のご利用代金の支払い処理を行った日が換算日となります」「通常、ご利用日から約3〜10日後が換算日となります」と説明しています。旅行中に見た為替レートで計算しても、請求額とは一致しません。
2.20%なら2,200円、3.63%なら3,630円、3.85%なら3,850円。旧料率のつもりでいると1,400〜1,650円ほど多く請求されます。
2.20%なら11,000円、3.63%なら18,150円、3.85%なら19,250円。長期滞在や留学では無視できない金額になります。
還元率1%のカードで3.63%の手数料を払うと、差引で2.6%前後の持ち出しです。還元率だけでは判断できません。
三井住友カードはデビットカード(Visa)も3.63%に統一し、海外ATM利用時は海外事務処理手数料が加算されると案内しています。

店頭で「日本円で払いますか」と聞かれたら
海外の店舗やATMで、決済のときに「現地通貨」か「日本円」かを選ばされることがあります。日本円を選ぶと、その場で日本円に換算された金額が表示されるため、いくら払うのかが分かりやすく感じられます。ただし、このときのレートを決めているのは店舗側またはその決済端末を提供している事業者であり、カード会社の換算レートではありません。
カード会社の換算は、これまで見てきたとおり「換算日の基準レート+海外事務手数料」で計算されます。JCBは基準レートを公式サイトで公開しており、実際に適用された換算日と換算レートは会員向けWEBサービスや利用代金明細書で確認できると案内しています。つまり、あとから検証できるのはカード会社の換算のほうです。店頭で提示された日本円の金額が有利かどうかは、その場で表示されるレートを見て判断するしかありません。
どちらを選んでも、カード会社の海外事務手数料がかかるかどうかは決済の通貨によって変わります。日本円建てで処理された場合の扱いは会社ごとに異なるため、迷ったときは現地通貨を選び、あとから明細で換算内容を確認するほうが、条件を後追いできる分だけ確かめやすくなります。
なお、海外のATMで現地通貨を引き出す場合も、カード会社の手数料がかかることがあります。三井住友カードはデビットカードについて「デビットカードでの海外ATM利用時は、海外事務処理手数料が加算されます」と明記しています。クレジットカードの海外キャッシュサービスについては、同社は海外事務処理手数料がかからないとしたうえで、キャッシングである以上は利息が発生します。手数料と利息のどちらで負担するのかが違うだけで、無料になるわけではありません。
負担を抑えるために確認すること
会員規約か、カード会社のお知らせページで確認します。同じ国際ブランドでも発行会社ごとに違うため、ブランドのロゴだけでは分かりません。
店頭で日本円建ての決済を提案されることがあります。その場合は店側が決めたレートが使われます。提示されたレートを確認してから選んでください。
三井住友カードは海外キャッシュサービスに海外事務処理手数料がかからないと明記しています。ただし利息は別にかかるため、返済までの日数で比べる必要があります。
海外用に料率の低いカードを1枚用意するという考え方もあります。2枚目のカードの選び方もあわせて検討してください。
楽天カードは海外事務手数料の改定と同時に、別の手数料も新設しています。同じお知らせのなかで、支払日までに返済できなかった場合の「回収事務手数料」として275円(税込)を請求すること、2025年2月分の支払日から適用することが案内されています。海外利用とは別の話ですが、同じ改定の告知に含まれているため、あわせて確認しておいてください。
よくある質問
海外事務手数料とは何ですか
三井住友カードの定義では「外貨によるカード決済が行われた際、海外取引に関する事務処理費用として弊社が設定する手数料」です。国際ブランドが決める分と、カードを発行した会社が決める分があり、その合計が請求に上乗せされます。
免税店や日本語のサイトでも海外扱いになりますか
判断の基準は決済通貨と加盟店の所在地で、店の言語ではありません。日本語のサイトでも海外の事業者が決済していれば海外利用として扱われます。個別の判定はカード会社の明細で確認してください。
手数料が一番安いカードはどれですか
この記事で公式に確認できたのは、三井住友カード3.63%(税込)、楽天カード3.63%(税込)、セゾンカード3.85%、JCB発行カードは基準レートに1.6%を加える方式、という範囲です。ほかのカード会社については確認していないため、順位づけはしていません。自分の候補カードについて、各社の公式ページで料率を確かめてください。
いつの為替レートが使われますか
カード会社が海外の加盟店などへ支払い処理を行った日のレートです。JCBは通常、利用日から約3〜10日後が換算日になるとしています。実際の換算日と換算レートは、会員向けWEBサービスや利用代金明細書で確認できると案内されています。
キャッシングなら手数料はかかりませんか
三井住友カードは「海外キャッシュサービスについては、海外事務処理手数料がかかりません」と明記しています。ただしキャッシングには利息がかかります。繰上返済までの日数で総額が変わるため、手数料がゼロだから安いとは限りません。
改定はすべてのカードに適用されますか
例外があります。三井住友カードは「Amazon Mastercardは本改定の対象となりません」と注記し、別ページを案内しています。自分の持っているカードが対象かどうかは、カード会社のお知らせで確認してください。
この記事で参照した一次情報
- 三井住友カード「外貨でのショッピングご利用に伴う海外事務処理手数料改定のご案内」 https://www.smbc-card.com/mem/cardinfo/24/cardinfo4010839.jsp(手数料の定義、改定前後の料率、計算例、適用時期、海外キャッシュサービスの扱い、Amazon Mastercardの除外)
- 楽天カード「各種サービスにおける手数料改定および徴収に関する詳細」 https://www.rakuten-card.co.jp/info/news/comission/20241217/(海外事務手数料2.20%→3.63%、2025年3月1日適用、4ブランド共通、回収事務手数料275円)
- セゾンカード「外貨でのショッピングご利用に伴う海外事務処理手数料改定のお知らせ」 https://www.saisoncard.co.jp/customer-support/information/240918/(国際ブランド別の改定前後の料率、JCBの内訳)
- JCB「海外でJCBカードを利用した場合の換算日・換算レートを教えてほしい。」 https://j-faq.jcb.co.jp/faq/show/412(基準レートに1.6%を加える換算、換算日の考え方と目安日数)
料率は改定されることがあります。申し込みや海外での利用の前に、各カード会社の最新の公表内容を確認してください。











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