経理担当者必見!領収書の扱いも含め、クレジットカードを経営に役立てる4つのコツをFPが伝授します

woman
最近、子どもの手がかからなくなったんで、久しぶりに経理の仕事を始めたんです。パートですけどね。
fp
両立大変かもしれないけど、すごいですよ!あれ?浮かない顔してどうしたんですか?
woman
うちの会社、経費をクレジットカード払いにする人多いんですけど、領収書出してくれない人多くて……仕事進みません!

会社、もしくは個人事業主が経費をクレジットカード払いにするのは、珍しくありません。利用明細書を通じて記録を残せるので、積極的に導入する人・会社も増えています。しかし、領収書の扱いも含め、クレジットカードならではの事情に精通していないと、スムーズに扱うことができないので、気を付けましょう。

ポイント1.「領収書がもらえると限らない」と覚えておく

ポイント1.「領収書がもらえると限らない」と覚えておく
fp
実はですね……クレジットカード払いだと、いつも領収書がもらえるわけじゃないんですよ。
woman
???どういうことですか?

領収書の定義

領収書とは、金銭を支払ったという事実を証明するための書類(証憑書類)です。印紙法上の金銭または有価証券の受取書に該当します。

クレジットカード払いで領収書が必須でない理由

ここで、クレジットカード払いの一連の流れについて、おさらいしましょう。基本的には、以下の流れで行われます。

  1. 加盟店で、クレジットカード会員が買い物をする。
  2. クレジットカード会社は、加盟店からの請求に基づき、クレジットカード会員の利用分を立て替え払いし、手数料を受け取る。
  3. クレジットカード会社は、一定期間の利用額を集計し、クレジットカード会員に請求を行う。
  4. 所定の引き落とし日に、クレジットカード会員の銀行口座から、請求金額が引き落とされる。
fp
この流れをよく読んでみてもらえますか?加盟店って、お客さんからお金は受け取ってないですよね?
woman
……あっ、ほんとだ!

やり取りにもあるように、お客さん=クレジットカード会員は、店=加盟店に対し、直接お金を支払いません。

つまり、金銭を支払ったという事実がない以上、領収書を発行する義務もないのです。

クレジットカード払いの場合の領収書の注意点

woman
クレジットカード払いだと、領収書が必ずもらえるわけじゃないんですね……目からうろこです。でも、私、この前、「クレジットカード利用」と書かれている領収書見ましたよ?
fp
あれ、お店が好意でやってくれているものなんですよね。ちょっと詳しく解説しますね。

「クレジットカード利用」と書かれているかチェック

比較的高額な買い物を現金でしたときに、受け取ったレシートに切手のようなものが貼られているのを見たことがある人は多いでしょう。切手のようなものは「収入印紙」と言います。

つまり、収入印紙を貼ることで、

  • この文書が偽造されたものではないことを担保する
  • 担保する代わりに税金を支払う

という仕組みが出来上がっています。

収入印紙を貼らなくてはいけない文書は、法律(印紙税法)で定められていますが、領収書もその1つに含まれるのです。具体的にいくらの収入印紙を貼らなくてはいけないのかは、次の表を参考にしましょう。

記載された受取金額 収入印紙の額
5万円未満 非課税
5万円以上100万円以下 200円
100万円を超え200万円以下 400円
200万円を超え300万円以下 600円
300万円を超え500万円以下 1千円
500万円を超え1千万円以下 2千円
1千万円を超え2千万円以下 4千円
2千万円を超え3千万円以下 6千円
3千万円を超え5千万円以下 1万円
5千万円を超え1億円以下 2万円
1億円を超え2億円以下 4万円
2億円を超え3億円以下 6万円
3億円を超え5億円以下 10万円
5億円を超え10億円以下 15万円
10億円を超えるもの 20万円
受取金額の記載のないもの 200円

出典:No.7141 印紙税額の一覧表(その2)第5号文書から第20号文書まで|国税庁

しかし、以下の図のように、領収書であっても、クレジットカード払いであることがはっきりわかれば、収入印紙を貼る必要はありません。

「クレジットカード利用」と書かれているかチェック

出典:クレジット販売の場合の領収書|国税庁

印紙税法上の「代金に係る金銭又は有価証券の受取書」には当たらないためです。

裏を返せば、たとえクレジットカード払いだったとしても、そのことがはっきりわからなければ、印紙税法上の「代金に係る金銭又は有価証券の受取書」と判定される可能性があります。
この場合、「過怠税」といって、ペナルティが領収書を作った側=加盟店に課せられてしまいます。

fp
気づいた時点で、一度連絡すると親切ですね!

ポイント2.領収書の代わりになるものを保管する

ポイント2.領収書の代わりになるものを保管する
woman
領収書がもらえるとは限らない、ということなら、何か代わりのものが必要ですよね。
fp
代わりに使えるもの、実はありますよ。

クレジット売上票はOK、利用明細書は??

クレジットカードで決済をした場合、クレジット売上票を受け取るのが一般的です。実は、このクレジット売上票は、領収書の代わりに使えます。国税庁のホームページに、次のような記載があるので、見てみましょう。

クレジットカード会社がそのカードの利用者に交付する請求明細書等は、そのカード利用者である事業者に対して課税資産の譲渡等を行った他の事業者が作成・交付した書類ではありませんから、消費税法第30条第9項に規定する請求書等には該当しません。
しかし、クレジットカードサービスを利用した時には、利用者に対して課税資産の譲渡等を行った他の事業者が、「ご利用明細」等を発行しているのが通常です。
この「ご利用明細」等には、1 その書類の作成者の氏名又は名称、2 課税資産の譲渡等を行った年月日、3 課税資産の譲渡等に係る資産又は役務の内容、4 課税資産の譲渡等の対価の額、5 その書類の交付を受ける者の氏名又は名称が記載されていることが一般的であり、そのような書類であれば消費税法第30条第9項に規定する請求書等に該当することになります。

出典:カード会社からの請求明細書|国税庁

分かりやすくまとめると、

  • 請求明細書=利用明細は領収書の代わりにならない
  • クレジット売上票は、領収書の代わりになる

ということです。

fp
クレジット売上票を必ず持ってきてもらうよう、お願いしておきましょう!

もちろん、クレジット売上票が何等かの理由で手に入らなかった場合は、請求明細書を頼りに経理処理をすることもできます。実務上、

  • いつ、どこで、誰に支払ったのか
  • 業務を進める上で不可欠な支出か

がわかるのが重要視されるためです。

fp
具体的にどうすればいいかは、税理士さんに確認してくださいね!

関連書類の保存期間は?

なお、個人でも会社=法人であっても、経費の支払いの際の領収書や領収書の代わりになる書類は、7年間保管しておかなくてはいけません。

また、請求明細書は、領収書の代わりにはなりませんが、領収書や領収書の代わりになる書類を保管している限りは、一緒に保管しておいたほうがいいでしょう。

ポイント3.法人カードを使う上でのルールを決める

ポイント3.法人カードを使う上でのルールを決める
woman
経理やっていても知らないこといっぱいありますね……ありがとうございます。ところで先生、うちの会社、法人カード導入したばっかりで、ルール作りが大変です。自分のクレジットカード使う人もまだいますし。どうすればスムーズに進められるか、アドバイスしてくれますか?
fp
次の点に気を付けてくださいね。

個人カードを使ってもかまわないけど……

大前提として、知っておいてほしいことがあります。個人カードを使って会社の経費を支払い、立て替えた分を請求すること自体は、問題ありません。現金で会社の経費を支払い、立て替えた分を請求することと何ら変わりがないからです。

しかし、クレジットカードでの支払いでポイント還元があった場合、考えなくてはいけないことがあります。「そのポイントは誰のものなのか」という点です。

例えば、以下の場合は注意が必要でしょう。

  • 会社の就業規則で「経費立替によるポイントは会社に帰属する」旨が定められている
  • 社宅、高額備品を購入し、多額のポイント還元を受けた
  • 定期的に発生する出張費、経費を個人のカードで払っている

これらの場合、ポイントは会社に帰属するものと判定される可能性が出てきます。

よって、

  • 会社役員であれば「役員賞与」
  • 従業員であれば「給与」

に該当し、所得税の課税対象となる可能性があります。また、「業務上の支出を利用し、ポイントを不当に得た」という理由で、業務上横領の罪に問われることもあるのです。

トラブルを回避するためには、

  • 就業規則を整備しておく
  • 「〇〇円以上は事前承認が必要」など、ルールを整備しておく
  • 定期的に発生する出張費、経費は会社で支払いを行う

など、あらかじめ体制を整備しておくのをおすすめします。

経費精算のルールを決めておこう

woman
先生、聞いてくださいよ……この前、半年前の出張の領収書を出してきた人がいたんです。「おいおいおい、遅すぎでしょ……」とため息出ちゃいました。
fp
……(相当メンタルやられてるな)……それは遅いですね。あまりに遅すぎると、いろいろ問題なんですよ。

大前提として、知っておいてほしいことがあります。

「年度をまたいでしまった場合、経費精算は基本的にできない」ということです。

分かりにくいかもしれないので、例を使って説明しましょう。

例)
決算日が12月31日の会社で、翌年の2月10日に従業員が10月30日付の領収書を経理に提出。
この場合、経費精算は基本的にはできない(行う場合、修正申告が必要になる)。
fp
つまり、支払うべき税金の額が、変わってきてしまうんですよね。税理士さんに相談した上で、修正申告の手続きをとることになります。

このように、あまりに経費精算が遅い場合、思いがけないトラブルを及ぼすこともあります。

防ぐためには、

  • 領収書は翌月末日までに提出、など、ルールを明文化しておく。
  • 経費精算システムを導入する。
  • 必要に応じ、経費立替の多い職種の社員には法人カードを交付する。

など、スムーズに経費精算が行える体制づくりを欠かさないようにしましょう。

できる限り領収書を発行してもらおう

先ほど触れたように、クレジットカード払いの場合は、加盟店に領収書を発行する義務はありません。しかし、ダメもとでもいいので、「領収書もお願いできますか?」と頼んでみましょう。

税務調査が入った場合、証拠として示せるからです。
woman
税務調査って……うちの会社、そんな変なことしてないですよ。
fp
落ち着いてください!悪いことしたから税務調査、ってわけじゃないですよ!

税務調査対策になる

税務調査とは、納税者の税務申告が正しいかどうかを確認するための調査のことです。税務調査は、その背景により、次の2つにさらに分かれます。

任意調査 脱税の疑いなどがなく、事前に調査に赴く旨の連絡があった上で行われるもの。
ただし、質問に対する黙秘や虚偽の申告に対しては、罰則が科される恐れがあるので注意が必要。
強制調査 悪質な脱税の隠蔽工作が行われていたり、脱税額が1億を超えるなど、巨額である場合に、裁判所の令状を得た上で行われるもの。
国税局査察部=マルサが担当する。
fp
悪いことしたから税務調査、というのは、「強制調査」のことと考えてくださいね。

税務調査では、税務署の担当者が自宅や会社に来て、領収書や帳簿などを調べます。証拠は多ければ多いほど有利であるのは言うまでもありません。

できる限り領収書はもらうとともに、

  • なぜその支出をしたのか
  • 食事会など、飲食に関連する支出の場合、誰が同席していたのか

などを、具体的に説明できるようにしておきましょう。

fp
メモでもいいので、残しておくのをおすすめします!

領収書がない場合の方法も知っておこう

業務に関連する支出にも関わらず、領収書が交付されない取引ももちろんあります。

  • バスに交通系ICカードで乗った場合
  • 取引先の人に買ってあげた自動販売機の飲み物代
  • 喫茶店で打ち合わせをし、割り勘で支払った飲料代
  • 取引先、社員の家族に対するお祝い金や香典

これらの支出をした場合は、出金伝票を作成しましょう。

出金伝票には、

  1. 支払いをした日付
  2. 支払いをした相手の名称
  3. 支払った金額
  4. 支払いの目的や品物・サービスの内容

の4項目が書いてあれば大丈夫です。

利用明細も併せてチェックしよう

特に、法人カードを導入している会社で注意してほしいことがあります。提出された領収書や領収書の代わりになるものだけでなく、利用明細も併せてチェックしましょう。

法人カードを導入する大きな意味の1つとして、経費精算を楽にすることが挙げられます。しかし、法人カードで支払ったからといって、すべてが経費として認められるとは限らないのです。

経費とは、企業が事業を営み、利益を生み出していくためにかかる費用のことを言います。

つまり、この定義から外れるものは、経費として計上できません。

利用明細には、クレジットカードを使った

  • 日時
  • 場所
  • 金額

が書いてあります。領収書と突き合わせて、矛盾する点があれば、必ず確認しましょう。

ポイント4.法人カードを厳選する

ポイント4.法人カードを厳選する

最後に、ここまでの内容を踏まえて、法人カードの選び方についても触れておきましょう。

申込が簡単にできるか

法人カードの場合、クレジットカード会社や種類にとっては、登記簿謄本や決算書の提出を義務付けていることがあります。

裏を返せば、厳密な信用調査が求められるため、これらの書類を提出しなくてはいけないのです。
  • 創業したての企業の経営者
  • 中小・小規模事業者

であれば、登記簿謄本・決算書の提出が必須でない法人カードを選びましょう。

国際ブランドも重要

また、どの国際ブランドが付帯しているかも、使い勝手に大きく影響します。国際ブランドに特にこだわりがないなら、おすすめしたいのはVisaです。

取引額ベースで世界シェア1位のブランドであるため、日本国内のみならず、世界中の様々な場所で使えます。

おすすめカードの例

以上を踏まえて、ここでお勧めしたいのが、「三井住友ビジネスカード for Owners」です。三井住友カードで受けられる基本的なサービスに加えて、ビジネス用ならではのサービスが受けられます。一例を紹介しましょう。

ビジネスサポートサービス 備品、レンタカーの手配、社員の引っ越しなどに使えるサービスが受けられる。
アスクル、日産レンタカー、タイムズカーレンタル、アート引越センターなどを、優待価格で利用可能。
福利厚生代行サービス 契約宿泊施設、スポーツクラブ、人間ドック等の提携施設を割引価格で利用できる。

申込にあたっては、登記簿謄本や決算書は必要ありません。

一般、ゴールドであれば満20歳以上から、プラチナでも満30歳以上から申し込めます。

三井住友ビジネスプラチナカード for Owners

三井住友ビジネスプラチナカード for Owners
カード分類プラチナカード
国際ブランドVisa、Mastercard®
申込方法-
発行スピード-
年会費(税込)55,000円
年会費備考※WEB明細書サービスのご利用で年会費1,100円割引
ポイント還元率(下限)0.50%
ポイント還元率(上限)7%
交換可能マイルANAマイル(5ポイント=3マイル、500ポイント以上500ポイント単位、※ANAカード会員の方の場合)
ETCカード年会費(税込)0円
電子マネーチャージiD(専用)利用
海外旅行傷害保険/死亡後遺障害(最大)10,000万円(自動付帯:10,000万円)
国内旅行傷害保険/死亡後遺障害(最大)10,000万円(自動付帯:10,000万円)
ショッピング保険/国内利用(最大)500万円
「審査」「発行期間」口コミ平均DATA
審査通過率
審査通過/申込者数
ショッピング
限度額平均
キャッシング
限度額平均
カード発行
までの日数平均
対応
満足度

三井住友ビジネスカード for Owners ゴールドカード

三井住友ビジネスカード for Owners ゴールドカード
カード分類ゴールドカード
国際ブランドVisa
申込方法-
発行スピード-
年会費(税込)11,000円
年会費備考※マイ・ペイすリボの登録+年1回以上のリボ払い手数料の支払いで年会費半額
※WEB明細書サービスのご利用で年会費1,100円割引
ショッピング総利用枠(上限)300万円
ポイント還元率(下限)0.50%
ポイント還元率(上限)2.50%
交換可能マイルANAマイル(5ポイント=3マイル、500ポイント以上500ポイント単位、※ANAカード会員の方の場合)
ETCカード年会費(税込)550円
電子マネーチャージiD(専用)利用、楽天Edy、WAON(オートチャージ可)
海外旅行傷害保険/死亡後遺障害(最大)5,000万円
国内旅行傷害保険/死亡後遺障害(最大)5,000万円
ショッピング保険/国内利用(最大)300万円
「審査」「発行期間」口コミ平均DATA
審査通過率
審査通過/申込者数
ショッピング
限度額平均
キャッシング
限度額平均
カード発行
までの日数平均
対応
満足度

三井住友ビジネスカード for Owners クラシック(一般)カード

三井住友ビジネスカード for Owners クラシック(一般)カード
カード分類一般カード
国際ブランドVisa
申込方法-
発行スピード-
年会費(税込)1,375円
年会費備考※マイ・ペイすリボの登録+年1回以上のリボ払い手数料の支払いで年会費無料
※WEB明細書サービスのご利用で年会費550円割引
ショッピング総利用枠(上限)150万円
ポイント還元率(下限)0.50%
ポイント還元率(上限)2.50%
交換可能マイルANAマイル(5ポイント=3マイル、500ポイント以上500ポイント単位、※ANAカード会員の方の場合)
ETCカード年会費(税込)550円
電子マネーチャージiD(専用)利用、楽天Edy、WAON(オートチャージ可)
海外旅行傷害保険/死亡後遺障害(最大)2,000万円
国内旅行傷害保険/死亡後遺障害(最大)-
ショッピング保険/国内利用(最大)-
「審査」「発行期間」口コミ平均DATA
審査通過率
審査通過/申込者数
ショッピング
限度額平均
キャッシング
限度額平均
カード発行
までの日数平均
対応
満足度
100%(1/1)20万円10万円14.0日5.0

法人クレジットカードについては、こちらの記事でも詳しく解説しています!

まとめ

法人クレジットカードを導入すると、支払いを一元化できるので、管理がぐっと楽になります。しかし、領収書の扱いも含め、細かいルールを作り、絶えず見直す努力が必要なのも事実です。

  • 税理士など、専門家の協力を仰ぐ
  • ルールを守るよう、従業員の協力を仰ぐ

など、工夫もこらしましょう。


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