政府が全国共通のマイナンバーを活用した新ポイント発行へ。実は、マイナンバーカードを持っている人は11.5%だけ!

新聞報道によれば、政府がマイナンバー(個人番号)カードを活用し、2020年度に実施するポイント制度の概要が、9月1日に明らかになったとのことです。この報道について、2019年9月時点でのマイナンバーカードの普及率も踏まえ、取得率の向上における課題について考えてみました。

ニュースの概要

ニュースの概要

今回の報道の要点をまとめると、

  • 2019年10月1日からの消費増税対策として、一部自治体が独自に発行する「自治体ポイント」の拡充を検討していた。
  • しかし、これを変更し、全国共通の施策とするのが柱となる。
  • 民間のスマートフォン決済事業者と幅広く連携し、利用者がスマホに入金すると地域を問わず使えるポイントを国費で上乗せする。
  • 2019年10月から開始予定。
  • ポイント付与率は25%(現金2万円に対し5,000円分を上乗せ)が有力。
  • 本人認証・ポイント管理にはマイナンバーのシステムを使うため、カードの取得が必須。

ということです。

自治体ポイントとは?

類似の制度として、すでに自治体ポイントを一部の地方自治体が導入しています。

自治体ポイントとは、

  • クレジットカードのポイント、航空会社のマイレージ等を、
  • 自分の好きな自治体のポイントに交換し、
  • 地域の商店街、オンラインショップでの買い物に充てる

制度のことです。

ただし、2019年9月現在、自治体ポイントを導入している自治体がごくわずかなうえ、使える場面も限られています。そのため、多くの人が、ど実際に自治体ポイントの恩恵にあずかっているとは言い難いようです。

マイナンバーカードをめぐる現状

マイナンバーカードをめぐる現状

今回、このように「マイナンバーカードを持っている人にはポイントを大幅に付与する」という大胆な施策を打ち出した背景の1つとして考えられるのが、「マイナンバーカードの取得率」です。2019年9月現在のマイナンバーカードの取得率を踏まえ、現状と課題について考えてみましょう。

マイナンバーカードの取得率

2018年7月時点では、マイナンバーカードの交付状況は、次のようになっています。

区分人口(H30.1.1時点)交付枚数(H30.7.1時点)人口に対する交付枚数率
全国127,707,25914,672,46211.50%
特別区9,396,5971,434,27015.30%
政令指定都市27,445,7823,395,84112.40%
市(政令指定都市を除く)79,815,6688,790,70011.00%
町村11,049,2121,051,6519.50%

出典:マイナンバーカードの市区町村別交付枚数等について(平成30年7月1日現在)

全国ベースでの人口に対する交付枚数率は、11.5%となっています。つまり、実際は地域ごとにばらつきはあるものの、マイナンバーカードを持っている人は10人に1人程度しかいないということです。

マイナンバーカードをめぐる政府と国民の思惑

このように、マイナンバーカードの取得率は芳しいとは言えません。

そこで、

  • なぜ、政府はマイナンバーカードを普及させたいのか
  • なぜ、マイナンバーカードを取得しない人のほうが多いのか

について、考えてみましょう。

政府がマイナンバーカードを普及させたい理由

政府がマイナンバーカードを普及させたい大きな理由として、

  • 社会保障の公平性の実現
  • 行政の利便性向上・運用効率化

の2点があげられます。

出典:マイナンバーカードの普及とマイナンバーの利活用の促進に関する方針(案)

これを読んでいる人の中には、「消えた年金問題」を覚えている人も多いかもしれません。

簡単にまとめると、

  • 2007年5月に国民年金等の公的年金保険料の5000万件にものぼる納付記録漏れ問題が発覚した。
  • 原因の1つは、1997年から運用を開始した「基礎年金番号」による加入記録の一元管理。
  • 結婚による苗字の変更や単純な入力ミスが原因で、データの不整合が生じた。

事件を指します。

この事件がきっかけになって、 2012年2月14日「行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用などに関する法律案」(通称マイナンバー法案)が制定されました。その後、2016年1月からマイナンバー制度が施行され、今にいたります。

類似の制度として、アメリカの社会保障番号(ソーシャル・セキュリティーナンバー)があります。アメリカでは、銀行口座の開設、家・アパート購入または賃貸時の手続きなど、あらゆる契約・取得・申請の場面において必要になる番号です。

マイナンバーカードを取得したくない理由

先ほど触れたように、マイナンバー制度自体は始まってからしばらくたっていますが、マイナンバーカードの取得率は芳しくないのも事実です。一体、なぜ取得しない人のほうが多いのでしょうか?

2018年10月に内閣府が行った「マイナンバー制度に関する世論調査」をもとに考えてみましょう。この中で、マイナンバーカードを取得しない理由についての質問が設けられています。結果は以下のようになりました。

理由比率
取得する必要性が感じられないから57.60%
身分証明書になるものは他にあるから42.20%
個人情報の漏えいが心配だから26.90%
紛失や盗難が心配だから24.90%
申請手続が面倒だから21.30%

出典:内閣府「マイナンバー制度に関する世論調査」の概要

最大の理由は、「取得した必要性を感じられない」という点にあるようです。

そのほか、個人情報の漏洩を心配する声も多くみられました。

ニュースに関する考察

マイナンバーカードの取得率が低い理由の1つが、「取得する必要性を感じられない」である以上、

  • マイナンバー制度を広く知らしめること
  • マイナンバーカードを取得するメリットを感じさせること

が、取得率向上のために解決すべき課題なのでしょう。課題を解決するためには、「マイナンバーカードを取得したうえで、入金すると、高い付与率でポイントがもらえる」というメリットを打ち出すのは有効かもしれません。

しかし、2019年9月2日現在、その他の詳細が明らかになっていないため、実際にマイナンバーカードの取得に動く人がどれだけいるのかは、まったくわからないでしょう。注意深く動向を見守っていきたいと思います。