マイル、という言葉を聞いたことがある人は少なくないはずです。でも、
と聞かれても、正確な答えを返せない人も、同じくらいいるでしょう。
そこで今回の記事では、
- マイルとは何か
- マイルを貯める方法
- マイルの使い道
- 無料航空券を手に入れるのに必要なマイル数
- 効率よくマイルを貯める方法
の5点から、マイルについて詳しく解説します。
1.マイルとは何?
日本の日本航空(JAL)、全日空(ANA)を含め、マイレージプログラムを提供している航空会社は、世界中に数多く存在します。ここでは、マイルとマイレージプログラムについて、詳しく解説しましょう。
もともとは航空会社の顧客サービスの一環
マイレージプログラムとは、航空会社が行う、総搭乗距離数に応じた顧客サービスを行うポイントプログラムのことです。
が貯まるのが基本的なマイレージプログラムの仕組みです。
もともとは、アメリカの航空会社・アメリカン航空が「AAdvantage」(アドバンテージ・プログラム)という名前で1981年に開始しました。
その際、顧客サービスの付与の基準として、総搭乗距離数を用いたことから、運航距離を表す単位として一般的な「マイル」をポイントの名称にしました。
- マイル:本来は運航距離を表す単位だが、転じてポイントを指す言葉として使われる。クレジットカード会社のポイントの交換先としても用いられる
- マイレージプログラム:航空会社で導入しているポイントプログラム
と考えるとわかりやすいでしょう。
現在は各国の航空会社で導入
今では、世界各国の航空会社が顧客獲得のためにマイレージプログラムを導入しています。日本の場合、当時のJALとANA、そしてJAS(日本エアシステム)が1997年に本格的にマイレージプログラムを導入しました。
現在では、自社の航空便への搭乗のみならず、
- 提携各社への航空便の搭乗
- 航空会社が発行するクレジットカードの利用
- 他のクレジットカード会社のポイントからの交換
- 提携ホテルの利用
など、様々な方法でマイルを貯めることができる形で進化を遂げています。
2.マイルを貯めるには?
既に触れた通り、マイレージプログラムは、本来は航空会社の顧客囲い込みの一案として始まりました。そのため、始まった当初は「その航空会社の便に搭乗すること」でしかマイルが貯められなかったのです。
しかし、今では日頃の買い物でもマイルを貯めるチャンスはたくさんあります。
そこで、マイルを貯めるための基本的なやり方を解説しましょう。
1.マイレージプログラムに加入する
最初に、航空会社が提供するマイレージプログラムに加入しましょう。航空会社のホームページから申し込みできます。
マイレージプログラムの選び方
これは、「マイルを貯めてどこに行きたいか」によって答えが変わってきます。正直なところ、国内旅行が目的でマイルを貯めるなら、JALでもANAでも大差はありません。
しかし、海外旅行に行く場合、行きたい目的地次第でJALとANAのどちらにするかは変わってきます。
- どこに就航しているか
- どの航空会社と提携しているか
が全く異なるためです。
アライアンス(航空連合)とは?
実際には、JALやANAだけで世界中の都市に就航するのは不可能です。そのため、世界各国の航空会社と提携関係を結び、
- 共同運航
- チェックイン手続きの代行
- マイルの相互交換
などで協力を図っています。これらの提携関係は、同じアライアンス(航空連合)の中でなされるのが通常の流れです。
2019年10月現在、以下の3つがいわゆる「3大アライアンス」と呼ばれています。
名称 | 主な所属航空会社 |
---|---|
スターアライアンス | ANA(日本)、ユナイテッド航空(アメリカ)、シンガポール航空(シンガポール)、タイ国際航空(タイ)、ニュージーランド航空(ニュージーランド) |
ワンワールド | JAL(日本)、カンタス航空(オーストラリア)、アメリカン航空(アメリカ)、カタール航空(カタール)、キャセイパシフィック航空(香港) |
スカイチーム | デルタ航空(アメリカ)、大韓航空(韓国)、チャイナエアライン(台湾)、エールフランス(フランス)、KLMオランダ航空(オランダ) |
例えば、「マイルを貯めてオーストラリアに行きたい」ということであれば、JALのマイレージプログラム(JALマイレージバンク)に加入しましょう。
実際は、マイレージプログラムへの加入自体は無料である場合がほとんどです。そのため、日本に住んでいる人だったら、
- JAL
- ANA
- スカイチーム加盟航空会社のうち、日本への便を就航させている会社
の3つのマイレージプログラムに加入しておけば、かなり多くの行き先をカバーできるでしょう。
2.マイルを貯める
マイレージプログラムに加入したら、さっそくマイルを貯めていきましょう。一般的な方法として、
- 飛行機に乗る
- クレジットカードを使う
- クレジットカードのキャンペーンで貯める
- 提携ホテルを利用する
- 電子マネーにチャージする
- 他社ポイントから交換する
が挙げられます。詳しく説明しましょう。
飛行機に乗る
- 自社が運航する国内線、国際線
- 提携航空会社が運航する便
に搭乗することで、マイルが貯められます。
飛行機に乗ってマイルを貯める場合、マイルの数は、
で決まります。
航空会社では、
- 座席クラス(エコノミー、ビジネス、ファースト)
- 予約変更の可否
- 搭乗時期
などによって、細かく運賃を分けています。
そして、搭乗するごとに獲得できるマイル数は、この「運賃に応じた倍率=積算率」をかけて決まる仕組みです。
なお、飛行機への搭乗でマイルを貯めたい場合、チェックインの際にマイレージプログラムの会員証を出せば大丈夫です。必要な手続きはカウンターにいる係員がすべてやってくれます。
クレジットカードを使う
実は、クレジットカードの利用でも、マイルは貯められます。
この場合、
- クレジットカードの利用で貯めたポイントをマイルに交換する
- クレジットカードの利用で直接マイルが貯まる
の2パターンあるので、自分が使おうとしているクレジットカードが、どちらに当てはまるかは事前に確認が必要です。
また、前者のパターンである場合は、
- 対応している航空会社
- ポイントからマイルへの交換率
- マイルへの交換が完了する時期
についてもチェックしましょう。
クレジットカードのキャンペーンで貯める
ANA、JALなどの航空会社が発行するクレジットカードで多く採用されているのが、「入会時、継続時にカードの種類に応じたマイル・ポイントを付与する」キャンペーンです。
出典:ANA JCBカード 入会キャンペーン | クレジットカードなら、JCBカード
例えば、こちらの画像にもあるように、ANAカードのうち、国際ブランドとしてJCBが付帯したものの場合は、
- 通常入会ボーナスマイル
- JCB主催キャンペーンにより付与するマイル
の2つを重ねて受取れます。マイルを貯めるために新しくクレジットカードを作ったり、自分がすでに持っているクレジットカードよりステータスが高いものに切り替える場合は、これらのキャンペーンも上手に利用しましょう。
提携ホテルを利用する
マイレージプログラムでは、提携ホテルへの宿泊によっても、マイルを付与しています。
その際のマイルの積算方法ですが、
- 泊数に応じて積算する
- 利用金額に応じて積算する
- 1滞在につき積算する
- ホテルの会員プログラムのポイントを交換する
の4つのパターンが主流です。
ANAマイレージクラブの提携ホテルはこちらから検索できます。
JALマイレージバンク提携ホテルはこちらから検索できます。
電子マネーにチャージする
電子マネーへのチャージによりポイントが貯まるクレジットカードの場合、そのポイントをマイルに交換することもできます。また、チャージされた電子マネーを用いた支払いで貯まるポイントを、マイルに交換するのも可能です。
他社ポイントから交換する
- クレジットカード会社のポイント
- 共通ポイントプログラムのポイント
をマイルに交換することも可能です。共通ポイントプログラムごとに、ANA・JALのどちらのマイルに交換できるかまとめました。
交換先のマイル | 共通ポイントプログラム名 | 交換レート |
---|---|---|
ANA | 楽天スーパーポイント | 2ポイント→1マイル |
Tポイント | 500ポイント→250マイル | |
JAL | Ponta | 2ポイント→1マイル |
dポイント | 5000ポイント→2500マイル |
3.貯めたマイルは何に使える?
貯まったマイルの使い道として有名なのは、
- 無料航空券
- 座席のアップグレード
など、航空便に関連した特典に引き換えることです。
しかし、それ以外にも、
- 商品券、ギフト券、各種アイテムなどの商品
- 電子マネーへのチャージ
- 寄附
など、様々な使い道があります。それぞれについて、詳しく説明しましょう。
1.無料航空券に引き換える
- その航空会社が運航する便
- 提携航空会社が運航する便
の無料航空券に引き換えるのは、貯まったマイルの使い方として非常に有名です。
ものすごい気迫ですね……
ただし、
- 搭乗する時期
- 目的地
- 座席クラス
によって、かなり早い段階でマイルからの交換の枠が埋まってしまう便もあるので、予定が決まった時点で早めに手配をしましょう。
2.座席のアップグレードに使う
- エコノミーからビジネスへ
- ビジネスからファーストへ
というように、マイルを使って座席のアップグレードをすることもできます。
3.商品に交換する
- 商品券、ギフト券
- 家電製品
- 国内外のホテルの宿泊券
- バッグ等の服飾雑貨
など、航空会社が設定している商品に交換できます。
また、航空会社が運営する通販サイトで買い物をする際に、マイルで支払いをすることも可能です。
4.電子マネーにチャージする
貯まったマイルは、電子マネーにチャージして利用することも可能です。どこのマイルからどの電子マネーにチャージできるか、対応表を作りました。
ANAのマイル → 楽天Edy | 10000マイル → 10000円分 |
---|---|
JALのマイル → WAON | 10000マイル → 10000円分 |
5.寄附をする
「有効期限が近付いているマイルがあるけど、少ししか余っていない」場合には、寄附をしましょう。国内外でボランティア活動を行っている様々な団体に寄附ができます。自分が支援したいと思う団体がリストにあれば、ぜひ協力しましょう。
おすすめなのはやはり航空券関係
ここまで、貯めたマイルの様々な使い道を紹介してきました。しかし、一番おすすめなのは、やはり無料航空券や座席のアップグレードなど、「航空券に関連する特典」に交換することでしょう。
例えば、ANAのマイルを使って、次の条件で片道航空券を手配したとします。
搭乗日 | 2020年1月16日 |
---|---|
搭乗区間 | 東京~沖縄(那覇) |
搭乗便 | ANA995便(9時15分東京発12時15分沖縄着) |
適用運賃 | フレックス(予約変更、払い戻し共に可能) |
画像からもわかる通り、この場合の料金は44510円です。しかし、マイルで交換する場合は、7000マイルで交換できます。つまり1マイルの価値が「44510円 ÷ 7000マイル = 約6.35円」にもなるのです。
4.無料航空券を手に入れるには、マイルはどれだけ必要?
このやり取りにもあるように、無料航空券を手配する際に必要なマイルは、搭乗する時期や目的地によって、まったく異なります。基本的な調べ方と併せて、必要なマイルを見てみましょう。
なお、
- 国内線:ANA
- 国際線:JAL
を例として用いて説明します。
国内線の場合
ANAの場合、必要なマイル数は、以下のように調べます。
1.シーズンチャートを確認する
マイルで手配する場合も含めて、搭乗する時期によって、航空券の運賃は異なります。ANAの場合、
- L(ローシーズン)
- R(レギュラーシーズン)
- H(ハイシーズン)
の3つに分類されているので、自分の旅行期間がいつに当たるかを調べましょう。
2.必要マイルチャートを確認する
次に、必要マイルチャートを確認しましょう。これは、片道の距離と対象路線をもとに、片道航空券の手配に必要なマイルを一覧表にしたものです。
出典:シーズン・必要マイルチャート | ANA国内線特典航空券 | マイルを使う | ANAマイレージクラブ
例えば、東京から沖縄(那覇)の場合、801~1000マイル区間になるため、必要なマイル数は
- L:7000マイル
- R:9000マイル
- H:10500マイル
が必要になります。
国際線の場合
次に、JALの場合の調べ方を説明しましょう。
「必要マイル早見表」をチェックする
以下のリンクから、必要マイル早見表をチェックしましょう。
例えば、JALのマイルを使ってシドニーに行く場合、基本マイル数として18000マイル必要です。
出典:JAL国際線特典航空券PLUS 各路線の必要マイル数 – JALマイレージバンク
PLUSとは、正式には「JAL国際線 特典航空券PLUS」と言います。
簡単にまとめると、
- 本来のマイルでの航空券の手配可能枠がいっぱいであっても
- 追加でマイルを支払うことで航空券が手配できる
システムです。
出典:JAL国際線特典航空券PLUS導入のお知らせ – JALマイレージバンク
5.効率よくマイルを貯める方法は?
最後に、効率よくマイルを貯める方法について考えてみましょう。
- マイル還元率の高いクレジットカードを利用する
- 公共料金の支払いをまとめる
- できるだけ同じアライアンスの飛行機で移動する
- ポイントサイトを使う
- 特約店を使う
の5つについて説明します。
1.マイル還元率の高いクレジットカードを利用する
マイルを貯めるという観点から、最初に取り組んでほしいのは「マイル還元率の高いクレジットカードを利用する」ことです。日頃の買い物の支払いをクレジットカードに切り替えることで、着実にマイルが貯められるようになります。
マイル還元率の高いクレジットカードは、この記事にまとめています!
2.公共料金の支払いをまとめる
- 電気
- ガス
- 水道
- 税金
など、公共料金の支払いは、できる限りクレジットカードで済ますようにしましょう。毎月必ず払わなくてはいけないものなので、効率的にポイントが貯められます。
また、アパート、マンション等を借りている場合、不動産会社によっては、家賃のクレジットカード払いに応じてくれるケースもあります。
3.できるだけ同じアライアンスの飛行機で移動する
特に、海外旅行・出張によく行く人に意識してほしいのが、できるだけ同じアライアンスの飛行機で移動することです。
先述した通り、JALはワンワールドに、ANAはスターアライアンスに所属しています。
4.ポイントサイトを使う
ポイントやマイルを貯める上では、ポイントサイトを使うのも有効な手段です。
同じ買い物であっても、さらにポイントを貯められるので、一度試してみましょう。
ポイントサイトについては、こちらの記事で詳しく書いてあります。
5.特約店を使う
JAL、ANAが発行するクレジットカードの場合、特約店が設けられています。
JALカード、ANAカードについて、特約店の一例をまとめました。
JALカードの場合 | ・ イオン ・ ファミリーマート ・ 大丸松坂屋 ・ ロイヤルホスト ・ ディノス 等 |
---|---|
ANAカードの場合 | ・ セブン-イレブン ・ マツモトキヨシ ・ 大丸松坂屋 ・ 阪急百貨店 ・ ENEOS 等 |
まとめ
マイルというと、「海外出張や旅行が多い人のためのもの」というイメージを持つ人もいるかもしれません。しかし、普段の生活で気を付けるだけで、マイルは着実に貯められます。日々の生活でできる工夫を取り入れて、コツコツ貯めていきましょう!