一般的に用いられているETCカードは、クレジットカードの追加カードとして発行されています。つまり、親カード(支払元になるカード)になるクレジットカードがないと、使えません。
今回の記事では
- ETCカードが作れない理由
- ETCカード以外で有料道路の料金を支払う方法
について、詳しく解説します。
ETCカードが作れない理由
最初に、ETCカードが作れない理由について考えてみましょう。
ETCカードが作れない=クレジットカードが作れない
ETCカードはクレジットカードの追加カードとして発行されるものであるため「クレジットカードが問題なく使えること」が前提になります。そのため、なんらかの理由でクレジットカードが作れない場合は、ETCカードも作れません。
Q.クレジットカードは不要なので、ETCカードだけで発行してほしいのですが、可能でしょうか。
A.クレジットカードに付帯して発行されるカードのため、ETCカードだけの発行はできません。
出典:ETCカードについてよくある質問 Q&A|セゾンカードETCのよくある質問と詳しい説明
あたしはクレジットカードが作れない人なので当然ETCカードも作れない。裏道はあって、デポジットを4万円とか積めば利用できる。あるいは年会費と手数料を払って作れる特殊なETCカードを利用するか。けどそのどっちも嫌だ。
— をぐを@アベ終了祭\(^o^)/ (@oguray) January 25, 2020
クレジットカードが作れない理由
クレジットカードが作れない理由は様々ですが、大まかに分けると
- 収入が不安定
- 個人信用情報に異動情報が登録されている
- これまでクレジットカードを利用したことがない
のいずれかに当てはまります。それぞれの理由について詳しく解説しましょう。
1.収入が不安定
- 起業したての経営者、個人事業主である
- 芸能人、フリーランスなど収入が不安定な仕事についている
- 学生、主婦などフルタイムで働いていない
などの理由で収入が不安定な場合、クレジットカードの審査に通らないこともあり得ます。
2.個人信用情報に異動情報が登録されている
- 利用規約違反などの理由でクレジットカードを強制解約された
- 延滞、滞納を繰り返した
- 任意再生、自己破産などの債務整理をした
などの理由で、個人信用情報に異動情報が登録されている間は、クレジットカードが作れません。
3.これまでクレジットカードを利用したことがない
逆に、ある程度の年齢(目安は30歳以上)になってもクレジットカードやショッピングローン、住宅ローンなど「お金の貸し借りを伴う取引」をしたことがない場合も、クレジットカードの審査には通りにくくなります。
お金の貸し借りを伴う取引=個人信用取引をしたことがない場合も、個人信用情報には何も記載されません。この状態を「スーパーホワイト」と言います。
しかし、個人信用情報に異動情報が登録されている間も、個人信用取引ができないため、履歴は記録されません。
クレジットカード会社の立場からすれば、たとえ理由が何であれ、正確な支払能力が判断できない人に対してクレジットカードを発行するのは、それなりのリスクを負います。
#新成人に送るメッセージ
クレジットカードは作っておけ、せめて、スマホ代を自分名義の口座から支払うようにしておけ、金自体は親持ちでいいから。
やっとかないと30歳で「スーパーホワイト」状態になってブラックリスト入りと同じに扱われ、どこのクレカの申請もローンも通らなくなる。
苦労する。— 下僕その3 (@gebokusono3) January 5, 2019
ETCカード以外で有料道路の料金を支払う方法6選
クレジットカードが作れないため、ETCカードが作れない場合でも、有料道路の料金を払う方法はもちろん存在します。
ここでは
- ETCパーソナルカードを使う
- 法人ETCカードを使う
- 家族カードでETCカードを作る
- 独自の審査基準を用いたクレジットカードを使う
- デポジット型のクレジットカードを使う
- 現金で払う
の6つについて解説しましょう。
1.ETCパーソナルカードを使う
ETCパーソナルカードとは、毎月の平均的な利用額に応じたデポジットを預けることで発行してもらう、有料道路の通行料の支払いに特化した決済用カードです。毎月の通行料は、あらかじめ設定した銀行口座から引き落とされます。
ETCパーソナルカードについては、この記事で詳しく解説しています!
2.法人ETCカードを使う
クレジットカードが作れない経営者、個人事業主向けに、法人ETCカードの発行を起こっている協同組合も存在します。所定の出資金を払って組合員になれば、法人ETCカードを使えるという仕組みです。
3.家族カードでETCカードを作る
家族が問題なくクレジットカードを使えているなら、家族カードおよびETCカードの追加発行をしてもらうのも手段の1つです。
本来、クレジットカードは「支払能力に関する審査を行い、問題がないと判断された場合にのみ、クレジットカード会社から会員に対し貸与されるもの」です。そのため、クレジットカードの券面に記載されている会員本人しか、クレジットカードは使えません。
度々私のETCカードを貸せってうるさいから家族カード作ってETCカード付けてあげたけどこんな速攻で無くすんだったら作らなきゃ良かった…
とりあえず今回は再発行するけど、つぎ無くしたら家族カードも解約するからねって言っておこう。
— Mii & Renge (@emitmie) July 8, 2019
4.独自の審査基準を用いたクレジットカードを使う
クレジットカードの中にも、ごくわずかですが「現在の支払能力」を問わない審査を行っているものが存在します。ETCカードは作れませんが、有料道路の料金所で提示すれば支払いに使えるので、重宝するでしょう。
5.デポジット型のクレジットカードを使う
デポジット型のクレジットカードとは、クレジットカード会社に利用限度額に応じた保証金(デポジット)を預けた上で発行してもらうものです。一定以上の利用限度額であれば、ETCカードも発行してもらえます。
6.現金で払う
有料道路の料金所では、もちろん現金での支払いも受け付けています。一般レーンを通行し、入口でもらった通行券を出口で係員に渡し、支払いを済ませましょう。
ETCパーソナルカードを使うメリット・デメリット
ETCパーソナルカードを使うメリット・デメリットについて解説しましょう。
メリット
ETCパーソナルカードを使うメリットは、通常のETCカードと同様に使えることです。
通常のETCカードと同様に使える
ETCパーソナルカードであっても、ETCマイレージサービスには加入できます。
また
- 深夜割引
- 休日割引
- 東京湾アクアライン割引
など、ETCレーンを通行することで受けられる割引も受けられます。
デメリット
一方、デメリットはまとまったお金を用意しないといけないことです。
まとまったお金を用意しないといけない
ETCパーソナルカードの場合、毎月の平均利用月額に応じたデポジットをあらかじめ預けなければいけません。このデポジットは、5,000円単位で決定された平均利用月額の4倍が必要になります。
平均利用月額 | デポジット額 |
---|---|
5,000円 | 20,000円 |
10,000円 | 40,000円 |
15,000円 | 60,000円 |
20,000円 | 80,000円 |
また、デポジットを20,000円に設定した場合、未払い(引き落としが済んでいない)の利用額が14,000円に達した場合は、デポジットの積み増しを行わないといけません。
法人ETCカードを使うメリット・デメリット
クレジットカードを作れない経営者、個人事業主に向け、法人ETCカードの発行を行っている協同組合が存在します。このような協同組合を利用して法人ETCカードを使うメリット・デメリットについて考えてみましょう。
メリット
メリットは、少ない金額で始められることです。
少ない金額で始められる
経営者・個人事業主向けの法人ETCカードの発行を行っているETC協同組合の場合、申込時・利用継続時に必要な費用は以下の通りです。
●出資金(脱退時返金)
10,000円/1社●カード発行手数料
880円(税込)/1枚●年間手数料
880円(税込)/1枚(年1回)
ETCパーソナルカードに比べると、だいぶ少ない初期費用で始められるのがわかるはずです。
デメリット
一方、デメリットは
- ETCマイレージサービスは利用できないケースもある
- 手数料がかかる
ことでしょう。
1.ETCマイレージサービスは利用できないケースもある
組合規定により、ETCマイレージサービスが利用できない旨が定められている場合
- ETCマイレージサービスに登録し、ポイントを貯める
- 平日朝夕割引などETCマイレージサービスに登録していることが前提のサービスを受ける
ことはできません。
組合規定によりお客様でのマイレージ登録はできません。
2.手数料がかかる
協同組合は、組合員に対し法人ETCカードを発行する際に、信販会社への立替保証を行っています。
また、毎月の通行料の支払いは、協同組合が請求書を作成し、その請求書を使って行います。立替保証に関連する費用や事務手数料に充当するために、毎月利用額のうち、一定の割合をかけたもの(ETC協同組合の場合は5%)が手数料として徴収されることに気を付けましょう。
家族カードでETCカードを作るメリット・デメリット
家族カードでETCカードを作るメリット・デメリットについて考えてみましょう。
メリット
家族カードでETCカードを作るメリットは「簡単に手続きができる」ことです。
簡単に手続きができる
クレジットカードの本会員である家族の利用状況に問題がなければ、家族カードはスムーズに発行してもらえる場合がほとんどです。家族カードの利用による請求は、本会員への請求と併せて行われます。
デメリット
一方、デメリットとしては「家族との関係次第では難しい」ことが挙げられます。
家族との関係次第では難しい場合も
家族カードおよびETCカードを追加するのは、お金のやり取りに関わることです。家族と良好な関係を保っているなら特に問題はありません。事情を説明し、クレジットカード会社に連絡してもらえば大丈夫です。
しかし、家族との関係があまり良好ではない場合、交渉してもまとまらない可能性は十分にあります。お金のやり取りに関することだけに、口論になってしまう可能性もあるのです。誰でも試せる方法とは言い切れないことに注意しましょう。
嫁にルール決めず家族カード渡したら使われまくってケンカ
はぁー— カブライアン@米株IPO (@ka_bryan_jp) January 8, 2020
独自の審査基準を用いたクレジットカードを使うメリット・デメリット
クレジットカードの中には、他のクレジットカードに比べると、現状の支払能力にウエイトを置かないで審査を行うものも存在します。
代表的なのが「ACマスターカード」という、消費者金融のアコムが発行しているクレジットカードです。
メリット
ACマスターカードを使うメリットは「現金を使わなくても支払いができる」ことです。
現金を使わなくても支払いができる
有料道路の料金所では、現金、クレジットカードでの支払いを受け付けています。ACマスターカードももちろん利用可能なので、現金を持ち歩く必要はありません。
デメリット
一方、デメリットとして「ETCカードは作れない」が挙げられます。
ETCカードは作れない
アコムの公式ホームページにも、ACマスターカードを親カードとしたETCカードは扱っていない旨が明記されているので、注意しましょう。
Q.ETCカードはありますか?
A.現在お取扱いしていません。
出典:【アコム公式FAQ】ETCカードはありますか?|カードローン・キャッシングならアコム
デポジット型のクレジットカードを使うメリット・デメリット
デポジット型のクレジットカードとは、利用限度額に応じたデポジット(保証金)を預けることで、通常のクレジットカードと同じように使えるカードが発行されるものをいいます。大手クレジットカード会社のライフカードが発行しているものが有名です。
メリット
デポジット型のクレジットカードを使うメリットとして「通常のクレジットカード、ETCカードと同じように使える」ことが挙げられます。
通常のクレジットカード、ETCカードと同じように使える
預けたデポジットの範囲内であれば、通常のクレジットカードやETCカードと同じように使えるのがデポジット型クレジットカードの特徴です。見た目も通常のクレジットカードと何ら変わりはありません。
デメリット
一方、デメリットとしては「ある程度まとまったお金が必要」ということが挙げられます。
ある程度まとまったお金が必要
これは、デポジット型ライフカードの一覧表です。一覧表の中にもあるように、ETCカードを発行してもらうには、最低でも利用限度額を10万円以上にしなくてはいけません。つまり、利用限度額を10万円にするためには、10万円をデポジットとして預けないといけないことになります。
現金で払うメリット・デメリット
最後に、有料道路の料金所で通行料を現金で支払う場合のメリット・デメリットについて考えてみましょう。
メリット
メリットは「どんな状況であっても支払い手段として使える」ことです。
どんな状況であっても支払い手段として使える
ETCでの支払いには「ETCカードかETC車載器、もしくは料金所のアンテナに問題があった場合、支払いができなくなる」というリスクがあります。
デメリット
一方、現金払いのデメリットとして
- 防犯上問題がある
- 支払いに時間がかかる
の2点が挙げられます。
1.防犯上問題がある
現金の最大の弱点は「盗まれたらまず戻ってこない」ことです。長距離の移動の場合、通行料もそれなりにかかるので、現金で払おうとしたら、相応の金額が必要になるでしょう。しかし、多額の現金を持ち歩くのは、防犯上好ましいとはいえません。
2.支払いに時間がかかる
現金で通行料を支払う場合、料金所の係員に現金を渡すことになります。ちょうどの金額を用意できていれば問題ありませんが、そうでなかった場合、お釣りをもらうまでに時間がかかるのです。状況次第では、かなりの時間のロスになることに気を付けましょう。