日本の日本航空(JAL)、全日空(ANA)を含め、世界中の航空会社が、マイレージプログラム(フリークエントフライヤープログラム)を導入しています。
このように、なんとなく理解している人は多いであろうマイルとマイレージについて、より詳しく解説しましょう。
マイルとマイレージの基本
最初に、マイルとマイレージについて、基本的な部分を理解しましょう。
マイルとマイレージの違い
マイルとマイレージの違いをまとめると、このようになります。
マイル | 航空会社が顧客向けに提供しているポイントのこと。 |
---|---|
マイレージ | ポイントに応じた特典を付与する、いわゆるポイントプログラムのこと。 |
世界で最初にマイルおよびマイレージを導入したのは、アメリカの航空会社の1つ・アメリカン航空でした。顧客の囲い込み策として、ポイントを顧客に提供し、累計ポイント数に応じた特典を付与したのです。
マイルの価値
詳しくは後述しますが、マイルは
- 国内線、国際線の航空券
- 食品、服飾雑貨などの商品
- 提携ポイント
など、様々な景品に交換できます。
しかし、最もお得に使いたいなら、航空券に交換するのがやはりおすすめです。
国際線航空券に交換した場合のマイルの価値は?
例えば、ANAの飛行機を使って、次の条件で旅行をするとしましょう。(2019年8月29日調査のデータに基づきます。)
目的地 | ハワイ(ホノルル) | |
---|---|---|
日程 | 2019年9月6日(金)出発、2019年9月9日(月、現地時間)帰国 | |
利用便 | 行き NH184便(成田発) 帰り NH183便(ホノルル発) | |
適用料金 | 「Economy Basic」が適用 | |
予約変更、払い戻し | 手数料を支払えば可能 |
この条件で航空券を探したところ、1人当たり107620円かかります。
一方、同じ条件でマイルを使い、航空券を手配した場合、必要なマイル数は50000マイルです。
仮に、マイルを提携ポイントである楽天ポイントに交換したとしましょう。交換レートは10000マイル=10000楽天ポイントであるため、50000マイル=50000楽天ポイントになる計算です。1楽天ポイント=1円とすると、1マイルの価値は1円にまで下がってしまいます。
国内線航空券に交換した場合のマイルの価値は?
一方、国内線航空券に交換する場合はどうなのでしょうか。JALを使って旅行するとして、次の条件を仮定し、調べてみました。(2019年8月29日調査のデータに基づきます。)
目的地 | 札幌(千歳空港) |
---|---|
日程 | 2019年9月6日(金)出発、2019年9月9日(月)帰宅 |
利用便 | 行き JAL511便(羽田発) 帰り JAL508便(千歳発) |
適用料金 | 「大人普通運賃」が適用 |
予約変更、払い戻し | 手数料を支払えば可能 |
この条件で航空券を探したところ、1人あたり70120円かかります。
一方、同じ条件で航空券を手配する場合、必要なマイル数は15000マイルです。つまり、1マイルの価値は4.67円(=70120円÷15000マイル)になります。
航空券に関しては、
- どこの国・地域に行くか
- どこの航空会社を使うか
- いつ出発するか
- 出発便・帰国便の時間帯はいつか
によって、大きく値段が変わってきます。
マイルを貯める方法
マイルを貯める方法として、
- 飛行機に乗る
- クレジットカードで支払いをする
- 提携ポイントから交換する
- ポイントサイトを使う
の4つを解説します。
1.飛行機に乗る
マイルを貯める方法として広く知られているのが、その航空会社および提携航空会社が運航する便に乗ることです。
1回飛行機に乗って獲得できるマイル数は、
で決まります。
区間マイル | IATA(国際航空運航協会)のTPM(運賃計算に使用する区間距離)を基準とし、航空会社が定めているもの。出発地と到着地の組み合わせで決まる。 |
---|---|
マイル積算率 | 航空券の予約クラス(利用する運賃)に応じ、航空会社が定めるもの。マイル積算率の高さは、運賃の高さに比例する。 |
つまり、
- 利用する区間が長い
- 利用する運賃が高い
ほど、マイルはたくさん貯まります。
2.クレジットカードで支払いをする
先ほども触れたように、本来、マイルおよびマイレージは、航空会社の顧客囲い込みの一環として始まりました。当初はその航空会社が運航する便に搭乗することでしかマイルを貯められませんでしたが、今はクレジットカードの利用でも貯まるようになっています。
ここで、国内の主要なクレジットカード会社について、
- ポイント付与率
- ANAのマイルへの交換レート
- JALのマイルへの交換レート
- マイル還元率
をまとめました。
カード会社名 | ポイント付与率 | ANAのマイルへの交換レート | JALのマイルへの交換レート | マイル還元率 |
---|---|---|---|---|
JCB | 0.1%(=1000円で1ポイント) | 1ポイント=3マイル | 1ポイント=3マイル | 0.3%(=1000円で3マイル) |
三井住友カード | 0.5%~2.5%(=200円で1ポイント) | 1ポイント=3マイル~15マイル | 設定なし | 0.3~1.5%(=1000円で3マイル~15マイル) |
ー | * カードの種類、マイル移行コース加入の有無により異なる。 | ー | ー | |
オリコカード | 1%(=100円で1ポイント) | 1000ポイント=600マイル | 1000ポイント=500マイル | ANA:0.6%(=10万円で600マイル) JAL:0.5%(=10万円で500マイル) |
アメリカン・エキスプレス | 1%(=100円で1ポイント) | 2000ポイント=1000マイル | 設定なし | 0.5%(=20万円で1000マイル) |
ー | * メンバーシップ・リワード・プラスに加入していれば、1000ポイント=1000マイル | ー | ー | |
ダイナース | 1%(=100円で1ポイント) | 1000ポイント=1000マイル | 設定なし | 1%(=10万円で1000マイル) |
三菱UFJニコス | 0.1%(=1000円で1ポイント) | 設定なし | 200ポイント=400マイル | 0.5%(=20万円で400マイル) |
ジャックス | 0.5%(=200円で1ポイント) | 1ポイント=0.6マイル | 1ポイント=0.5マイル | ANA:0.3%(=400円で1.2マイル) JAL:0.25%(400円で1マイル) |
セゾンカード | 0.1%(=1000円で1ポイント) | 1ポイント=3マイル | 1ポイント=2.5マイル | ANA:0.3%(=1000円で3マイル) JAL:0.25%(=1000円で0.25マイル) |
ANA陸マイル活動が下り坂となって来たので、良かった頃を思い出して今一度頑張りたいと思います🤔 pic.twitter.com/Sp932aS73c
— クレア🇯🇵🇫🇷🇦🇺🇺🇸 (@anal100000fpp) August 28, 2019
3.共通ポイントから交換する
また、
- 現金
- 電子マネー
- クレジットカード 等
での支払いの際にたまる共通ポイントを、JALやANAのマイルに交換することもできます。
- 楽天ポイント
- Pontaポイント
- dポイント
- Tポイント
の4つについて、交換レートをまとめました。
共通ポイント名/航空会社 | ANA | JAL |
---|---|---|
楽天ポイント | 2ポイント=1マイル | 設定なし |
Pontaポイント | 設定なし | 1ポイント=0.5マイル |
dポイント | 設定なし | 5000ポイント=2500マイル |
Tポイント | 500ポイント=250マイル | 設定なし |
4.ポイントサイトを使う
お買い物をせずに、マイルを貯める方法もあります。
今まで紹介してきた方法は、基本的に「お金を使う」のが前提になっている方法でした。
しかし、ポイントサイトを使い、
- アンケートに答える
- ゲームで遊ぶ
- 簡単な文字入力などのタスクをこなす
などでポイントを貯め、貯まったポイントをマイルに交換することもできます。お金がかからないため、気軽に始められるのが魅力です。
例えば、大手ポイントサイトの「モッピー」では、1000ポイント=500マイルのレートでJALのマイルに移行できます。
ポイ活 2日目
+49ポイント#モッピー#JALマイル pic.twitter.com/bVsmQROH1n— 海外旅行に憧れる30代のおっちゃん (@air_mile_tamel) August 19, 2019
貯めたマイルの使い道
様々な方法で貯めたマイルは、
- 特典航空券に交換する
- パッケージ旅行の代金に充てる
- 各種景品に交換する
- 提携ポイントに交換する
などの方法で活用できます。それぞれについて詳しく説明しましょう。
特典航空券に交換する
マイルの使い道として広く知られているのが、特典航空券に交換することです。
- その航空会社が運航する国内線・国際線の便
- 提携している航空会社が運航している国際線の便
のいずれかに交換するパターンが考えられます。
提携している航空会社を調べるには?
世界各国の航空会社は、航空連合=アライアンスを組み、同じアライアンスに属する会社同士で、
- 国際線の共同運航
- 空港ラウンジの相互開放
- チェックイン業務の委託・受託
- マイルの加算
等を行っています。
2019年現在、
がいわゆる三大アライアンスとして知られています。
また、
- 三大アライアンスに加盟していない
- 違うアライアンスに加盟している
航空会社であっても、独自に提携を結んでいる場合もあるのです。
例えば、JALは
- スカイチームに加盟している大韓航空
- 三大アライアンスに加盟していないジェットスター・ジャパン
と提携を結び、
- 国際線の共同運航
- 空港ラウンジの相互開放
- チェックイン業務の委託・受託
- マイルの加算
などを行っているのです。
仮に、日本からの直行便が出ていない地域に旅行にいく場合でも、提携している航空会社の便も視野にいれれば、マイルだけで旅行に行ける可能性は十分にあります。詳しくは後述しますが、マイレージプログラムに参加する際も、「この会社はどこの航空会社と提携しているか」を調べてみるといいでしょう。
パッケージ旅行の代金に充てる
特典航空券を手配する場合、
- オンライン予約サイトなどでホテルを予約する
- 現地にいる友人の家に宿泊する
など、宿泊先は別途手配する必要があります。
また、
- 空港から市街地に出るために、バス・タクシー・鉄道を使う
- 観光地等は自分で回る
のが前提です。
と思うなら、別の方法も考えましょう。
方法の1つとして、
があります。
JALの場合はJALクーポン、ANAの場合はANA SKYコインという名前で提供されています。
- 国内線・国際線航空券
- 国内・海外パッケージツアー
- 提携ホテル・旅館への宿泊
- 免税品店での利用
- 空港宅配サービス
- 携帯電話、WiFiのレンタル
- コート・手荷物預かりサービス
- 空港送迎サービス
など、旅行に関連した様々なサービスの支払に使えるクーポンです。
なお、JAL、ANAともに、本人以外にも、次の条件に当てはまる家族なら、クーポンを使えます。
- 会員本人
- 会員の配偶者
- 会員の二親等以内の親族
- 義兄弟姉妹の配偶者
各種景品・提携ポイントに交換する
一部の例外を除いて、基本的にマイルには有効期限があります。JAL、ANAの場合、36か月=3年です。
ジャルマイル、11月に失効すると思ってたら、なんと今月末だったから、急遽どこかにマイルに申し込んでみた。
さてどこへ連れてってくれるのかな〜— ポペット (@pock_porn) August 27, 2019
仮に、
- 海外に行く機会が少ない
- クレジットカードを思ったより使わない
場合は、各種景品・提携ポイントに交換しましょう。
さっそくマイルを貯めてみよう!
ここで、実際にマイルを貯める手順に触れましょう。
1.マイレージプログラムを決める
最初にやるべきなのは、どこの航空会社のマイレージプログラムに参加するかを決めることです。日本で暮らしているなら、JAL、ANAのいずれか(もしくは両方)に参加しておけば、普段の生活でマイルが貯められます。また、出張等の理由で海外によく行くなら、スカイチームに加盟している航空会社のマイレージプログラムにも参加しておくといいでしょう。
日本に就航している航空会社だと、
などが該当します。
自分がすでに使っているクレジットカードのポイントが、どの航空会社のマイルに交換できるかも、判断の基準になるはずです。
2.マイレージプログラムに参加する
参加するマイレージプログラムを決めたら、実際に手続きをしましょう。ほとんどの航空会社が、オンラインでの入会を受け付けています。
この時、
- クレジットカード・デビットカード機能付きの会員証
- 付いていない会員証
のいずれかを選びましょう。もちろん、あとで変更することも可能です。
3.飛行機に乗る、各種サービスを利用する
マイレージプログラムに参加したら、
- 飛行機に乗る
- クレジットカードを使う
- 提携ポイントを交換する
- ポイントサイトを使う
などの方法で、マイルを貯めましょう。
クレジットカードでマイルを貯める場合に注意することは?
ここまでの内容を踏まえて、クレジットカードでマイルを貯める場合に注意すべき点について考えてみましょう。
1.クレジットカード選びを慎重にする
本気でマイルを貯めたいなら、クレジットカード選びを慎重にするのが大事です。もし、出張等で頻繁に飛行機に乗るなら、マイルの付与率がいいクレジットカードを選ぶといいでしょう。飛行機に乗ることで得られるマイルと合わせれば、効率的にマイルを貯められます。
一方、そう頻繁に飛行機に乗るわけでもなければ、ポイントの有効期限が長い、もしくは会員でいる限りは有効なクレジットカードを選びましょう。ある程度貯まったところでマイルに交換し、特典航空券を手配するほうが、途中でポイント・マイルが失効してしまうのも避けられるはずです。
2.公共料金、携帯電話等の支払を集約する
ポイント・マイルを手堅く稼ぐには、公共料金、携帯電話等の支払を1枚のクレジットカードにまとめると効果的です。いくらマイルを貯めたいからと言って、必要がないものまで買ってしまうのは褒められたことではありません。
3.各種サービスを上手に使う
クレジットカード会社の中には、ポイントモールといって、「そこを経由して提携先のサイトで買い物をした場合、付与するポイント・マイルが増える」サービスを実施している場合があります。同じものを、同じサイトで買うとしても、ポイントモールを経由するだけで、ポイントやマイルが増えるなら、トライする価値はありそうです。
また、特約店といって、買い物や食事をした際に、代金を所定のクレジットカードで支払うと、付与されるポイント・マイルがアップする実店舗もあります。やり方次第で、手に入れられるポイントは増えるので、うまく活用しましょう。
まとめ
旅行好きな人なら、次にどこに行こうか考えるだけで楽しめるのかもしれません。しかし、実際にどこかに行くには、それなりにお金がかかります。普段の生活でできる工夫をしてマイルをため、それを特典航空券に替えて旅行に行けば、かなりの節約になるはずです。