クレジットカードのポイントプログラムとは?
最初に、クレジットカードのポイントプログラムとは何か、説明しましょう。
基本的な仕組み
クレジットカードのポイントプログラムとは、簡単にまとめると、
- クレジットカード会員の利用額に応じて、クレジットカード会社が定めるポイントが付与される。
- ポイントは、共通ポイントや電子マネーへのチャージ、商品券・商品など様々な景品に交換できる。
ものです。ほとんどのクレジットカード会社で導入されています。
国内の主要クレジットカード会社・航空会社のポイントプログラム名を表にまとめました。
JCB | Oki Dokiポイント |
---|---|
三井住友カード | Vポイント |
オリコカード | 暮らスマイル |
アメリカン・エキスプレス | メンバーシップ・リワード |
ダイナース | ダイナースクラブ リワードプログラム |
三菱UFJニコス | わいわいプレゼント |
ジャックスカード | ラブリィポイント |
セゾンカード | 永久不滅ポイント |
日本航空(JALカード) | JALマイレージバンク |
全日空(ANAカード) | ANAマイレージクラブ |
JCBカードのOki Dokiポイントってやつが知らないうちにめっちゃ溜まってて、それをアマゾンで使えるって今初めて知った…。
さらにディズニーの宿泊チケットに交換できるなんて知らなかった…。— ぢる (@megudiru1202) July 29, 2019
なぜ、ポイント還元が受けられる?
前提となる知識として、クレジットカード決済の流れをおさらいしましょう。クレジットカード決済は、以下の流れで行われます。
出典:【図解】クレジットカード決済とは?仕組みを分かりやすく解説します|ネットECの基本|通販・ECの決済代行サービス|ヤマトフィナンシャル
- 加盟店でクレジットカード会員が買い物をする。
- 加盟店から情報が到着次第、クレジットカード会社は加盟店手数料を差し引いた額を、加盟店に対して立て替え払いする。
- クレジットカード会社は一定期間の利用額を集計し、クレジットカード会員に対して請求を行う。
- 所定の引落日に、クレジットカード会員の銀行口座から、請求額が引き落とされる。
この流れからもわかるように、クレジットカード払いをすると、結果としてクレジットカード会社は加盟店から手数料を受取れます。
- 加盟店手数料の一部をポイントとして還元し、
- クレジットカード会員にクレジットカードを継続して使ってもらう動機づけをする
ための制度が、ポイントプログラムと考えるとわかりやすいでしょう。
還元率はクレジットカードによって違う
なお、ポイント還元率は、クレジットカードによってまちまちです。理由として、
- クレジットカード会社や加盟店の業態ごとに手数料率は異なる
- 「年会費を安くして、多くの会員を集めたい」「年会費は高いけど、付帯サービスを充実させるので、少数の会員を獲得できればいい」など、クレジットカード会社の顧客獲得方針も異なる
ことがあげられます。
クレジットカードのポイント還元についてもっと知ろう
クレジットカードのポイントプログラムに関するWeb記事、雑誌や本の文章を読んでいると、「ポイント付与率」「ポイント還元率」という言葉が出てきます。
付与率と還元率の違いを知る
付与率と還元率の違いを簡単にまとめると、以下のようになります。
- 付与率は、利用額に対して何ポイントが付与されるのか?を表す割合
- 還元率は、利用額に対して、何%が金銭的に還元されるかを表す割合
なお、付与率・還元率はそれぞれ次の数式で求められます。
- 付与率=1ポイント÷1ポイントが付与される金額×100%
- 還元率=付与されたポイント数×1ポイントの現金価値(※)÷利用額
※ 1ポイントの現金価値=現金価値のあるもの÷交換できるポイント数
より分かりやすくするために、2つの異なるクレジットカードを想定し、付与率と還元率の違いがどう影響するかを考えてみましょう。
以下の2つのクレジットカードがあるとします。
付与率 | 還元率 | |
---|---|---|
A | 1%(100円で1ポイント) | 1%(1ポイント=1円) |
B | 0.5%(200円で1ポイント) | 1.5%(1ポイント=3円) |
仮に、1000円をクレジットカードで支払った場合、もらえるポイントと、ポイントの交換相当額は、次のようになります。
もらえるポイント | ポイントの交換相当額 | |
---|---|---|
A | 10ポイント | 10円 |
B | 5ポイント | 15円 |
ポイントの還元率だけで見れば、Bを選んだほうが断然お得です。
ポイントの価値を知るには?
ポイントの還元率=価値を知る方法の1つとして、「具体的に、何円相当の商品に交換できるか」を調べることがあげられます。わかりやすい例として、共通ポイントや商品券を考えてみましょう。
先ほど登場した国内の主要クレジットカード会社のポイントプログラムについて、
- ポイント付与率
- 共通ポイントへの交換レート(*)
- ポイント還元率
をまとめました。なお、どのクレジットカードにおいても、ポイント・マイルの付与率がアップするプログラムには参加していないものとします。
カード会社 | ポイント付与率 | 交換レート | 還元率 | |
---|---|---|---|---|
JCB | 0.1%(1000円で1ポイント) | 1ポイント=4楽天ポイント | 0.4%(=4円相当÷1000円) | |
三井住友カード | 0.5%(200円で1ポイント) | 1ポイント=5楽天ポイント | 0.5%(=5円相当÷1000円) | |
オリコカード | 0.1%(1000円で1ポイント) | 1ポイント=5楽天ポイント | 0.5%(=5円相当÷1000円) | |
アメリカン・エキスプレス | 1%(100円で1ポイント) | 3000ポイント=1500楽天ポイント | 0.5%(=1500円相当÷(3000ポイント×100円)) | |
ダイナース | 1%(100円で1ポイント) | 2500ポイント=1000楽天ポイント | 0.4%(=1000円相当÷(2500ポイント×100円)) | |
三菱UFJニコス | 0.1%(1000円で1ポイント) | 1000ポイント=Amazonギフト券4000円分 | 0.4%(=4000円相当÷(1000ポイント×1000円)) | |
ジャックスカード | 0.5%(200円で1ポイント) | 1ポイント=1楽天ポイント | 0.5%(=1円相当÷200円) | |
セゾンカード | 0.1%(1000円で1ポイント) | 200ポイント=Amazonギフト券1000円分 | 0.5%(=1000円相当÷(200ポイント×1000円) | |
JALカード | 0.5%(200円で1マイル) | 10000マイル=10000Pontaポイント | 0.5%(=10000円相当÷(10000マイル×200円)) | |
ANAカード | 0.5%(1000円で5マイル) | 10000マイル=10000楽天ポイント | 0.5%(=10000円相当÷(10000マイル÷5マイル×1000円)) |
ここで紹介したクレジットカード会社の場合、0.4%~0.5%で推移しているようです。節約、という意味では還元率が高ければ高いほど効果的でしょう。
また、同じクレジットカードであっても、共通ポイントの種類によって、交換レートが異なる場合もあります。例えば、セゾンカードの場合、永久不滅ポイントを
- Amazonギフト券
- Tポイント
に交換する場合の各交換レートは以下の通りです。
Amazonギフト券 | 200ポイント=1000円分(1ポイント=5円相当) | |||||
---|---|---|---|---|---|---|
Tポイント | 100ポイント=450Tポイント(1ポイント=4.5円相当) |
よって、還元率はこのようになります。
Amazonギフト券を選んだ場合 | 0.5%(=1000円÷(200ポイント×1,000円)) |
---|---|
Tポイントを選んだ場合 | 0.45%(=450円÷(100ポイント×1,000円)) |
付与率とクレジットカード選びの関係
ここまで取り上げてきた話以外にも、クレジットカードを選ぶ際にチェックしたいポイントについて、付与率との関係から触れておきましょう。
キャンペーンや提携店の有無もチェック
クレジットカード会社では、キャンペーンを行ったり、特定の店舗と提携を結んだりすることで、ポイントの付与率・還元率を高く設定することも行っています。例えば、セゾンカードで提供している「セゾンポイントモール」では、
という仕組みを設け、ポイントの付与率を高くしているのです。当然、ポイントも早くたまるので、よりお得になります。
/
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\
セゾンポイントモール経由でお買物いただくと #永久不滅ポイント 5倍。
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— クレディセゾン (@kaori_saison) August 4, 2019
付与率が高くても注意すべき3つのケース
一方、いくらポイントの付与率が高い=早く貯まるといっても、以下の3つのケースでは、注意が必要です。
- ポイントを有効活用できない
- ポイントは貯まるけど、その後の支払に無理が生じる
のが主な理由と考えましょう。
1.景品のラインナップが乏しい
ポイントを貯める目的の1つは、「自分の好きな商品に交換すること」という人も多いはずです。
しかし、
- 自分の好きな商品が景品として扱われていない
- 共通ポイントに交換することもできない
としたら、ポイントを貯める意味はなくなってしまいます。
たとえ、新しく作ったクレジットカードが期待外れだったとしても、次々と申し込むのは、個人信用情報との兼ね合いからおすすめはできません。
2.ポイントの有効期限が短い
ポイントの有効期限は、クレジットカード会社によって扱いに差があります。
そして、ポイントの有効期限を1年と短くしているからこそ、還元率を高くしているクレジットカードも確かに存在します。せっかく貯めたポイントも、使えなければ何の意味もありません。
- ポイントの有効期限は必ずチェックする
- 有効期限が近づいてきたら、できるだけ早めに特典に交換する
など、自分でも対策を講じましょう。
また、「有効期限なんて考えないで、ポイントをじっくり貯めたい」という人には、セゾンカードが採用している「永久不滅ポイント」をおすすめします。名前の通り、有効期限がない(対象カードの会員である限りはいつまでも有効)のが特徴のため、本当に自分が欲しい特典が手に入るまで、焦らずに取り組めるのが大きなメリットです。
3.リボ払い専用だった
クレジットカード会社の立場に立って、考えてみてほしいことがあります。
リボ払いとは、毎月の支払額を一定にし、本来の支払額と利息を合計した残高の返済を行っていく払い方を指します。クレジットカード会社にとっては、利息を受け取れるというメリットがあるのです。
確かに、ポイントはたくさん貯まりますが、毎月の支払額が一定であるという性質上、ついつい使いすぎてしまうのがリボ払いの欠点です。
還元を受けたポイントの使い方を考えよう
クレジットカード会社から還元を受けたポイントは、いろいろなものに交換できます。
- 交換できる商品例
- おすすめの使い方
- おすすめしない使い方
について説明しましょう。
ポイントの使い方の例
具体的にどんな風にポイントが使えるかは、クレジットカード会社やクレジットカードの種類により、多少の差があります。ここでは一般的な例として、
- ギフトカード・商品券に交換
- 商品に交換
- 利用料金の割引・キャッシュバックを受ける
- 電子マネー・共通ポイント・マイルに交換
- 投資をする
- 寄付をする
の6つを説明しましょう。
ギフトカード・商品券に交換
- クレジットカード会社が発行するギフトカード
- 全国百貨店共通商品券
- ビール券
- クオカード
など、金券に交換できるクレジットカードは多く存在します。家族やごく親しい友達であれば、そのままあげることもできるので、使い勝手は悪くないでしょう。
商品に交換
- 化粧品
- ワイン、お肉などの食品・飲料
- バッグなどの服飾雑貨
など、商品に交換できるクレジットカードも多いです。
クレカのポイントで交換した電気圧力鍋届いたー(*´艸`)
ずっとほしかったのー!
まずは無水カレーつくりたい🍛 pic.twitter.com/ZK12sPNuF0— むぎ@靴下王子 (@mugimeme) August 25, 2019
利用料金の割引・キャッシュバックを受ける
一方、具体的な商品ではなくて、たまったポイントで利用料金の割引やキャッシュバックを受けられるクレジットカードも存在します。「景品はいらないから、その分安くしてほしい」という人なら、このようなクレジットカードを選ぶのも選択肢の1つでしょう。
電子マネー・共通ポイント・マイルに交換する
- 楽天Edy、nanaco、Suicaなどの電子マネーへのチャージ
- Tポイント、dポイントなどの共通ポイントへの交換
- JAL(日本航空)、ANA(全日本空輸)などのマイルへの交換
ができるクレジットカードも、多く出回っています。
投資をする
最近、一部のクレジットカードで出てきた特典が、「貯めたポイントを運用する」ものです。セゾンカードで行っている「永久不滅ポイント ポイント運用」は、提携先であるマネックス・バンガード投資顧問が運用する投資信託の価格に合わせてポイント数が増減します。なお、実際に投資を行うには、一度ポイント運用口座にポイントを移す必要があります。また、ポイントを使いたいときは、すぐに通常のポイントに戻せる仕組みです。
おはようございます(^。^)
セゾンカードの永久不滅ポイントのポイント運用、VOOにしてたんだけど、久しぶりにログインしたらプラスになってた(*’ω’*)
今日も一日頑張りましょう٩( ᐛ )و pic.twitter.com/4yLafXBSkU— m i z o r e (@mieezore) April 16, 2019
寄付をする
国内外のNPO・NGO法人や一般社団法人・財団法人などに寄付を行う際に、ポイントが使えるケースもあります。活動内容を見て、「ここは支援したい」と思える団体があれば、ぜひ寄付をしてみましょう。少ないポイントからも寄付を受け付けている場合も多いので、「ちょっとだけ余ったポイントをどうにかしたい」という場合にも使えます。
カード支払いでたまったポイントの存在を最近忘れていたらしく、凄い事に。有効に使えるわ♪
寄付なんかにも利用できるの、凄いよね。— 置鮎龍太郎 ヘロQ『冒険秘録 菊花大作戦』9.28~ (@chikichikiko) August 19, 2019
おすすめの使い方3選
ここまでの内容を踏まえて、たまったポイントの使い方で、おすすめしたいものを3つ選びました。
- ギフトカード・商品券に交換
- 電子マネーにチャージ
- 割引・キャッシュバックを受ける
について、おすすめする理由とともに話しましょう。
1.ギフトカード・商品券に交換
ギフトカードや商品券であれば、自分が欲しいものに交換ができる上に、人にあげることもできます。使い道の広さという点では、他の使い方より優れているはずです。
2.電子マネーにチャージ
クレジットカード会社のポイントを共通ポイントに交換し、さらにそれを電子マネーにチャージするのもおすすめです。電子マネーでの支払いによるポイントも、同時に受取れます。
例えば、楽天ポイント加盟店で1,100円(税込)の買い物をするとして、
- 楽天ポイントをそのまま支払いに充てる
- 楽天ポイントを一度楽天Edyにチャージして、支払いに充てる
の2つのケースで、新たに受け取れる楽天ポイントを計算してみました。なお、加盟店では、100円につき1楽天ポイントが付与されるものとします。
そのまま | 楽天ポイントカードの提示:1000円÷100円×1ポイント=10ポイント |
---|---|
楽天Edyに一度チャージして支払う | 楽天ポイントカードの提示:1000円÷100円×1ポイント=10ポイント |
楽天Edyでの支払い:1000円÷200円×1ポイント=5ポイント |
このように、支払い方次第で新たにポイントが獲得できるので、方法の1つとして覚えておくといいでしょう。
3.割引・キャッシュバックを受ける
クレジットカードのポイントに限らず、ポイントを景品に引き換えるのを忘れていたら、いつのまにか失効していた経験はありませんか?
わーーーーーん
ショック!!!
docomoポイント20000円分、8月の始めに失効してたああああ
使い方がよくわからず、そのうち使おうと思ってたら、20000円もおおおおおお用途限定って、一体何に使えたんだろう。いいもの買えたのかな、美味しいもの食べられたのかな💸💸💸
つら
🥶🥶🥶😱😱😱🤮🤮🤮 pic.twitter.com/itVo74edv5
— 🌴☀️🐳千秋👙⛱🌈 (@cirol777) August 14, 2019
もし、身に覚えがあるなら、ポイントを割引・キャッシュバックに充てるのがおすすめです。支払額が結果として安くなるので、失効させるよりはずっといいでしょう。
商品への交換はおすすめしない
一方、ポイントの使い方としてあまりおすすめできないのが、飲料・食品、服飾雑貨、化粧品などの商品に交換することです。
限定商品でなければ避けるべき
理由は簡単で、「ほかのところでも買えるものならわざわざポイントで交換する意味に乏しい」からです。今はAmazonや楽天市場などのオンラインショッピングモールや、家電量販店が発達しています。下調べをする手間さえ惜しまなければ、同じものであっても、安く手に入れることは十分に可能です。
まとめ
結局のところ、クレジットカードに何を求めるかは人それぞれです。ポイント還元1つをとっても、中には「そんなみみっちいこと考えたくない」と思う人もいるでしょう。
ポイント変換を”駆使”して”効率的”に陸マイル貯めて特典航空券云々みたいなのはみみっちいなあと思います
— ケツンクス (@0S03667) August 25, 2019
しかし、工夫次第で節約できて、しかも毎日の生活を快適にできるなら、検討する価値はあるはずです。
- 自分が使っているクレジットカードのポイント付与率・還元率
- ポイントの使い道
は必ず調べた上で、「どう使いわけるのが一番いいのか」を考えてみてください。