「旅行用の保険=海外旅行傷害保険や国内旅行傷害保険がついている」という触れ込みのクレジットカードは多く見かけますが
- どんなトラブルをカバーしてくれる保険なのか
- トラブルが起こった時にいくら保険金が下りるのか
- その保険だけでカバーできない場合はどうすればいいのか
まで理解している人は、あまり多くないかもしれません。しかし、これらは実際にトラブルに巻き込まれた場合に、非常に重要になります。事前に調べておかないと、いざトラブルが起こっても、旅行傷害保険が何も役に立たなかったということになりかねません。そこで今回の記事では
- 自動付帯と利用付帯とは
- クレジットカードに保険が自動付帯している場合の上手な使い方
- クレジットカードに保険が自動付帯していることのメリット・デメリット
の3つのテーマから「クレジットカードについている保険」について解説します。
自動付帯と利用付帯とは
クレジットカードに海外旅行傷害保険がついているといった場合「どういう人が保険による保障を受けられるのか」を基準に分けると、自動付帯と利用付帯の2つに分けられます。それぞれについて、細かく説明しましょう。
自動付帯は「持っているだけでOK」
もっと簡単に言うと「クレジットカードを持ってさえいれば、何かあったときに保険が使える」と考えましょう。
有効期限切れ、強制解約の場合はアウト
もちろん、自動付帯の場合、あくまで「クレジットカードの会員であること」が保険による保障を受けるための条件です。そのため、有効期限が切れてしまったり、強制解約になったりなどして、会員資格が喪失された場合は、クレジットカードに付帯している海外旅行傷害保険による保障は受けられないので注意しましょう。
この記事を読んでいる人の中には、クレジットカードに付帯している海外旅行傷害保険で海外旅行中のトラブルをカバーしようとしている人もいるはずです。しかし、日本を離れている間にそのクレジットカードの有効期限が切れてしまうと、保障は受けられないので気を付けましょう。
利用付帯は「条件を満たすように使わないとダメ」
つまり、持っているだけではダメ、とまずは理解しましょう。
さらに、海外旅行傷害保険が利用付帯しているクレジットカードの場合、保障を受けるためにはクレジットカード会社が定める利用条件を満たしていないといけません。
例えば、楽天カードの場合、海外旅行保険による保障を受けるためには「楽天カードを使い、自宅から空港までの交通費または海外旅行代金を、日本出国前に支払うこと」が条件になります。
大分類 | 具体例 | 出国前の決済 | 出国後の決済 |
---|---|---|---|
公共交通乗用具に該当する移動手段 | 空港に向かうための電車・バス・タクシーの代金、地方空港から国際空港への航空券代 | 対象 | 対象外 |
海外旅行代金に該当するもの | 海外パッケージツアーや海外航空券の代金 | 対象 | 対象外 |
その他の費用 | 自家用車のガソリン代、レンタカーの使用料、前泊・後泊の国内ホテル代、個人手配した海外のホテル代、空港使用料 | 対象外 | 対象外 |
つまり、楽天カードの場合
- 楽天カードで海外パッケージツアーの代金を払った:保障が受けられる
- 楽天カードで払ったのは個人手配した海外のホテル代だけで、あとは別のカードで手配した:保障が受けられない
ということになります。
クレジットカードに海外旅行傷害保険が自動付帯している場合の上手な使い方
利用付帯と自動付帯について理解したところで、クレジットカードに海外旅行傷害保険が自動付帯している場合の上手な使い方=スムーズに保障を受けるために必要なことについて、考えてみましょう。
1.「保険のしおり」は必ず読むこと
クレジットカードを新しく申し込み、無事に審査に通ると、クレジットカード本体とともに、付属書類一式が必ず送られてきます。海外旅行傷害保険を含め、保険が自動付帯しているクレジットカードであれば「保険のしおり」などの名前で
- 付帯している保険の内容
- 保険事故=トラブルがあった場合の連絡先
- 保険金請求の流れ
などが書かれた冊子がついているはずです。付帯している保険による保障を受ける上で重要な情報になるので、もらった時点で必ず目を通すとともに、海外旅行に行くときなどは、必ず持っていくようにしましょう。
エポスカード
カード分類 一般カード
国際ブランド VISA
申込方法 Web申込み、郵送申込み、店頭申込み
発行スピード 通常1週間
店頭申込(マルイ各店カードセンター)の場合、即日発行(最短30分)
年会費(税込) 0円
年会費備考 -
ショッピング総利用枠(上限) -
ポイント還元率(下限) 0.50%
ポイント還元率(上限) 0.50%
交換可能マイル ANAマイル(1ポイント=0.5マイル)
JALマイル(1ポイント=0.5マイル)
ETCカード年会費(税込) 0円
電子マネーチャージ QUICPay利用、楽天Edy
海外旅行傷害保険/死亡後遺障害(最大) 500万円(自動付帯:500万円)
国内旅行傷害保険/死亡後遺障害(最大) -
ショッピング保険/国内利用(最大) -
「審査」「発行期間」口コミ平均DATA
審査通過率
審査通過/申込者数ショッピング
限度額平均キャッシング
限度額平均カード発行
までの日数平均対応
満足度
2.「何があったらいくらもらえるか」を理解すること
海外旅行傷害保険を含め、保険において一番重要な情報であるのは「何があったらいくらもらえるか」です。
- 何があったら=保険事故の範囲
- いくらもらえるか=給付される保険金の金額
は正確に理解しておきましょう。
例えば、エポスカードの場合、自動付帯している海外旅行傷害保険の保険金の金額は、保険事故に応じて以下のように定められています。
保険の種類 | 保険金額 |
---|---|
傷害死亡・後遺傷害 | 最高500万円 |
傷害治療費用 | 200万円(1事故の限度額) |
疾病治療費用 | 270万円(1疾病の限度額) |
賠償責任(免責なし) | 2,000万円(1事故の限度額) |
救援者費用 | 100万円(1旅行・保険期間中の限度額) |
携行品損害(免責3,000円) | 20万円(1旅行・保険期間中の限度額) |
この表をもとに「何があったら保険金の給付の対象になり、保険金の金額はいくらになるのか」を詳しく読み解いていきましょう。
傷害死亡・後遺傷害
具体例としては「ハワイへの旅行中に、現地でレンタカーに乗っていたら交通事故を起こし、亡くなってしまった(下半身不随になった)」などが考えられます。
傷害治療費用
具体例としては「ロンドンへの旅行中に、ホテルの階段から落ちて足を打撲し、現地の病院で診察を受けた」などが考えられます。
疾病治療費用
具体例としては「シンガポールへの旅行中に、腹痛を起こしたので病院で診察を受けたら盲腸と診断され、そのまま入院・手術をした」などが考えられます。
賠償責任
例としては「パリへの旅行中に、ホテルの床を水浸しにしてしまい、修理代を払わないといけなくなった」などが考えられます。
救援者費用
具体例としては「台湾への旅行中に心筋梗塞で倒れて入院。家族が現地に駆け付けた」などが考えられます。
携行品損害
具体例としては「海外旅行に持っていったカメラを落として壊した」などが考えられます。
免責とは
つまり「免責3,000円」とあった場合は「損害額が3,000円を超える場合にのみ、保険金を支払う」という意味です。
「保障が受けられない場合」にも注意すること
保険全体に言えることですが、故意、もしくは重過失がある場合は、保険による保障は受けられません。つまり、本人がわざとやったことだったり、事故に巻き込まれても仕方がないくらいの落ち度があったりした場合は、保険金も支払ってもらえないということです。
また、戦争や犯罪に巻き込まれたことにより被害を被った場合も、保険金の支払い対象外になるとしている保険会社がほとんどです。
例えば、エポスカードに付帯している海外旅行保険の場合、以下の状況にあてはまるようであれば、保険金の給付は受けられません。
- 保険契約者・被保険者・保険金受取人の故意または重大な過失によるケガ。
闘争行為・自殺行為・犯罪行為によるケガ。 - 戦争・外国の武力行使、放射線照射・放射能汚染によるケガ。
- 無資格・酒気帯び・麻薬等使用中の運転によるケガ。
- 医学的他覚所見のないむちうち症・腰痛。
- 山岳登はん(ピッケル、アイゼン、ザイル、ハンマー等の登山用具を使用するものおよびロッククライミング等をいいます。)、リュージュ、ボブスレー、スカイダイビング、ハンググライダー搭乗、超軽量動力機(モーターハンググライダー、マイクロライト機、ウルトラライト機等)搭乗、ジャイロプレーン搭乗等の危険な運動を行う場合。
- 被保険者による自動車、原動機付自転車、モーターボート等の競技・練習・試運転中の事故。
- 職務以外で航空機(グライダー・飛行船を除く)を被保険者が操縦している間の事故。
- 被保険者の妊娠、出産、流産、外科的手術その他の医療処置。
- 被保険者に対する刑の執行。
- 被保険者の脳疾患、疾病、心神喪失。 など
出典:保険金をお支払いできないおもな例|クレジットカードはエポスカード
3.必要に応じて複数のクレジットカードや保険を使うこと
クレジットカードに自動付帯している保険が、十分な保障であるかどうかは、その人が置かれた状況により異なります。もし、保障が十分でないと感じた場合は、他の保険が付帯しているクレジットカードや、損害保険会社が販売している海外旅行傷害保険商品も併せて使いましょう。併用する場いて、どれだけ保険金が給付されるのか、計算する方法を解説します。
保険金給付額の計算方法
複数の海外旅行傷害保険に加入していた場合
- 傷害死亡保険金、傷害後遺障害保険金
- それ以外の保険金
について、扱いが異なります。また、加入している海外旅行傷害保険が
- クレジットカードに付帯しているものだったのか
- 損害保険会社が商品として販売したものだったのか
によっても、扱いが異なるので注意しましょう。
計算例1「損害保険会社の海外旅行傷害保険+海外旅行傷害保険が付帯したクレジットカード」
この組み合わせの場合
- 傷害死亡、後遺障害の場合:両者を合算した金額
- それ以外の場合:合計の保険金額を限度として、その金額の範囲内で実際の損害額を按分して支払う
ことになります。
具体的な数字を用いて考えてみましょう。次のような組み合わせで、海外旅行傷害保険に入っていたとします。
- A.損害保険会社の海外旅行傷害保険:傷害死亡時の保障額は最高5,000万円、傷害治療費の保障額は最高500万円
- B.クレジットカードに自動付帯している海外旅行傷害保険:傷害死亡時の保障額は3,000万円、傷害治療費の保障額は最高300万円
この組み合わせの場合、死亡時、傷害により治療を受けた場合(治療費は400万円)の保険金の最高額は、以下のように計算されます。
傷害死亡の場合の保険金 | 8,000万円(= 5,000万円 + 3,000万円) |
---|---|
傷害治療を受けた場合の保険金 | Aからは250万円(= 400万円 × 500万円 ÷ 800万円) Bからは150万円(= 300万円 × 500万円 ÷ 800万円) |
計算例2「複数の海外旅行傷害保険が付帯したクレジットカードを保有していた場合」
この組み合わせの場合
- 傷害死亡、後遺障害の場合:最も高い保険金額として設定されている金額が支払われる
- それ以外の場合:合計の保険金額を限度として、その金額の範囲内で実際の損害額を按分して支払う
という扱いになります。
具体的な数字例を用いて考えてみましょう。例えば、次のような組み合わせで、海外旅行傷害保険が自動付帯したクレジットカードを持っていたとします。
- A:傷害死亡時の保障額は最高1億円、傷害治療費の保障額は最高500万円
- B:傷害死亡時の保障額は最高3,000万円、傷害治療費の保障額は最高300万円
この組み合わせの場合、死亡時、傷害により治療を受けた場合(治療費は400万円)の保険金の最高額は、以下のように計算されます。
傷害死亡の場合の保険金 | 1億円 ※ 1億円 > 3,000万円であるため、高い方の金額で計算 |
---|---|
傷害治療を受けた場合の保険金 | Aからは250万円(= 400万円 × 500万円 ÷ 800万円) Bからは150万円(= 300万円 × 500万円 ÷ 800万円) |
クレジットカードに保険が自動付帯していることのメリット・デメリット
最後に、クレジットカードに保険が自動付帯していることのメリット・デメリットについて考えてみましょう。
メリット
メリットとして、次の2点が挙げられます。
- 保険に加入する手間が省ける
- 保険料を節約できる
1.保険に加入する手間が省ける
クレジットカードに保険が自動付帯しているのであれば、わざわざ海外旅行や出張の度に、加入手続きを行う必要はありません。年に1~2回程度であれば大した手間にも感じないかもしれませんが、毎月出張で出国するような人の場合、いちいち加入手続きをしていたら大変です。
また、日本に住んでいる人が、海外旅行傷害保険に加入できるのは、日本を出国する前までです。空港のチェックインロビーや出国後の待合スペースでも、海外旅行傷害保険のカウンターや自動契約機があるので、それを使う方法もあります。しかし、当日バタバタしていると、その手続きすら忘れてしまうことも往々にしてあるはずです。保険に入らなかったとしても、何もトラブルがなく帰国できれば別に問題はありませんが、トラブルが行ったときに大変なことになります。
2.保険料を節約できる
損害保険会社が販売している海外旅行傷害保険の場合、保険に加入するごとに、旅行・出張の日程に応じた保険料を支払わなくてはいけません。年齢や日数、目的地によって異なりますが、無料で済むのは考えにくいです。
一方、クレジットカードの中には、年会費が無料であっても、海外旅行傷害保険が自動付帯しているものがあります。保険料を節約したいのなら、このようなクレジットカードに入会したほうが結果として安上がりになるはずです。
デメリット
一方、次のようなデメリットもあります。
- クレジットカードによっては保障が十分でないこともある
- 持病がある場合は対応できない
- 長期の渡航の場合は保障が受けられない場合もある
1.クレジットカードによっては保障が十分でないことも
細かい部分に関しては、個々のクレジットカードによって違いがありますが、大まかな傾向として
ことが挙げられます。つまり、同じ「保険が自動付帯しているクレジットカード」であったとしても、年会費が高ければ高いほど、給付される保険金の額が高くなり、カバーできるトラブルの種類も増えると考えましょう。
もちろん、保険による保障がどれだけ必要かは、その人が置かれた状況によっても異なります。学生など、万が一のことがあった場合でも家族にまとまった金額を遺す必要がなければ、クレジットカードに付帯している海外旅行傷害保険で十分かもしれません。
しかし、小さい子どもや高齢の家族がいるなどの理由で、まとまった金額を遺さないといけない事情がある場合は
- 年会費やステータスが比較的高いクレジットカードを作る
- 海外旅行傷害保険に別途加入してから出発する
など、対策を講じた方がよさそうです。
2.持病がある場合や危険なスポーツをする場合は対応できない
海外旅行傷害保険も含めた保険は「保険事故(保険金の請求の対象になるトラブル)が起こる可能性が高いほど、保険料は高くなる」という法則があります。つまり、何かトラブルを起こす可能性が高いが保険を使いたい場合は
- 保険加入自体を断る
- 保険への加入はできるが、免責事項(保険金を支払いできない理由)を設ける
- 保険への加入は許可するが、保険料を割り増しする
などの対応をとるのです。クレジットカードに付帯している海外旅行傷害保険の場合「保険金をお支払いできない主な場合」を設けることで、保険事故を起こす可能性が高い層が保険を利用できないようにしているのです。
具体的には、以下の条件に当てはまるようであれば、クレジットカードに自動付帯している海外旅行傷害保険での保障を受けるのは難しくなります。
- もともと持病があった人が、海外旅行先でその病気が原因で体調を崩した
- 海外旅行先でスカイダイビングのアクティビティに参加したら、装備の整備不良が原因で亡くなってしまった
3.長期の渡航の場合は保障が受けられない場合もある
クレジットカードに海外旅行傷害保険が付帯している場合であっても、どのぐらいまで保障が受けられのかは様々です。日本を出国する前に「保険による保障を受けられる期間はどのぐらいか」を必ず確認しておきましょう。
例えば、エポスカードの場合、保険期間は「1旅行につき最大90日間とされています。つまり、世界一周旅行など旅行期間が90日を超える長い旅行になる場合は、90日を超えた分に関しては、保険による保障が受けられません。