金=ゴールドという色自体、なんとなく「お金持ち」「豊かな富」「縁起がいい」というイメージが定着しています。そのゴールドを券面に用いていることが多いゴールドカードに対しても、同じようなイメージを抱いている人は多いでしょう。もしかしたら
と期待する人もいるかもしれません。しかし、残念ながらそうは限らないのも事実です。そこで今回の記事は
- ゴールドカードを出しても店員が反応するとは限らない3つの理由
- 海外の場合は店員の反応がいい理由
- ゴールドカードを持つときに気を付けるべきポイント
について解説しましょう。
理由1.ゴールドカード=高ステータスとは限らない
そもそも、ゴールドカードを持っているからと言って、高ステータスであるとは限りません。もっとかみ砕いて言うと
- 年会費の高いゴールドカードを持てるだけの財力がある
- 厳しい審査に通るだけの信用力がある
という証明にはならない、ということです。
昔に比べると価値は下がっている
日本で初めてクレジットカードが発行されたのは1961年のことでした。前年に日本交通公社(現在のJTB)と富士銀行(現在のみずほ銀行)が設立した日本ダイナースクラブが、経営者、医師・弁護士などの専門職、大企業の社員などいわゆる富裕層に向けて発行を開始したのです。
その後、東洋信託銀行(現在の三菱UFJ信託銀行)、日本信販(現在の三菱UFJニコス)、三和銀行(現在の三菱UFJ銀行)によって設立された日本クレジットビューロー(現在のJCB)や住友銀行(現在の三井住友銀行)が設立した住友クレジットサービス(現在の三井住友カード)が日本国内においてクレジットカードの発行を始めました。
そして、まだまだクレジットカードそのものが一般的でなかった1980年に、アメリカのクレジットカード会社、アメリカン・エキスプレスが日本でアメリカン・エキスプレス・ゴールド・カードの募集を開始したのです。高度経済成長を遂げ、世界でも最も豊かな国の仲間入りを果たした日本の富裕層に向けて、これまでのクレジットカードとは一味違うサービスを提供するものとして、注目を集めました。
しかしその後
- クレジットカード自体の発行枚数が増えてきた
- 一般カードの上位カードとしてゴールドカードを発行するクレジットカード会社も増えてきた
ため、ゴールドカードは希少価値を失っていきます。
年度 | 枚数(万枚) |
---|---|
1987 | 11,036 |
1988 | 12,101 |
1989 | 14,447 |
1990 | 16,612 |
1991 | 18,696 |
1992 | 20,300 |
1993 | 21,452 |
1994 | 22,074 |
1995 | 22,751 |
1996 | 22,296 |
1997 | 23,367 |
1998 | 24,491 |
1999 | 24,597 |
2000 | 23,168 |
2001 | 24,459 |
2002 | 25,400 |
2003 | 26,362 |
2004 | 22,640 |
2005 | 23,271 |
2006 | 24,640 |
2007 | 25,279 |
2008 | 26,479 |
2009 | 27,261 |
2010 | 27,405 |
2011 | 27,068 |
2012 | 26,027 |
2013 | 25,979 |
2014 | 26,722 |
2015 | 25,890 |
2016 | 26,600 |
2017 | 27,201 |
2018 | 27,827 |
2019 | 28,394 |
参照:クレジット関連統計|クレジット関連資料|一般社団法人日本クレジット協会
参照:帝国書院 | 統計資料 公民統計 クレジットカードの発行枚数の変化
年会費無料、もしくは格安で作れるゴールドカードもある
今では、ゴールドカードは「一般カードに比べると条件は厳しいものの、飛びぬけて高い年収でなくても持てるもの」と言って構わないでしょう。年会費無料、もしくは数千円程度の格安で作れるゴールドカードも出現しているくらいです。
理由2.プラチナ、ブラックなら店員が反応する
店員が反応する、という意味では、ステータス=会員ランクがプラチナやブラックであるほうが、効果は高いでしょう。
発行枚数も少ない分希少価値が高い
一般的なクレジットカードのステータスは、以下の通りです。一般→ゴールド→プラチナ→ブラックの順に、年会費も審査難易度も上がっていくと考えましょう。すでに触れた通り、一般カードやゴールドカードは比較的多く出回っているので、見る機会もあるはずです。しかし、プラチナやブラックになると、かなり出回る枚数も少なくなるので、見る機会も少ないでしょう。
【パラジウムカード】
発行 ・JPモルガン
発行資格 ・JPモルガンPB部門の顧客
・Chaseに$250,000資産所有
年会費 ・$600
サービス等・プライベートジェットサービス・空港ラウンジへのアクセス
・24時間年中無休のコンシェルジュサービス pic.twitter.com/xooKi5PxW8— 守 家 健 策(Kensaku moriie) (@kensaku4737) February 11, 2018
プロパーのプラチナ、ブラックならよりレア
クレジットカードを「どんな会社が発行しているのか」という基準で分けると、以下の2つに分かれます。
- プロパーカード:国際ブランド(決済システム)を運営する会社が自ら発行するクレジットカード
- 提携カード:国際ブランドを運営する会社が外部の会社と提携して発行するクレジットカード
プロパーカードは、提携カードに比べると審査が難しいといわれています。これは、提携カードが「提携先の会社の商品、サービスの利用促進」を目的の1つに掲げて発行されるクレジットカードであることも関係しているのです。商品、サービスを使ってもらうのが目的である以上、許容される範囲内であれば、ある程度は審査のハードルを下げて「より多くの人にクレジットカードを持ってもらうこと」が求められます。
一方、プロパーカードにはそのような事情はないので「請求額をより確実に回収できるかどうか」を重視した審査が行われるのです。このような背景を考えると、提携カードのほうが、プロパーカードより審査に通りやすいといわれています。
理由3.ゴールドカードが嫌味と感じる人もいる
従来に比べて価値は下がったとは言え、ゴールドカードにはある程度「お金持ち」「生活に余裕がありそう」というイメージも残っているのが事実です。だからこそ、扱いには注意しなくてはいけないことにも触れておきましょう。
尊大な態度はやはりNG
尊大な態度を表す俗語として「ドヤ顔」という言葉があります。
Twitterには「ゴールドカードをドヤ顔で出す人」に対する辛辣な批判が相次いでいます。
お客さんで
ドヤ顔でアメックスのゴールドカード?、金色のやつ使う人よく居るけど多分日本でドヤ顔して海外行ったこと無いんだなーって思っちゃう🥺(笑)
アメックス使えない国めちゃめちゃ多いのに🥺(笑)
— すずか@馬女🐴 (@ywZHL7TElYsG2Cb) April 16, 2020
今日一番笑ったこと。
先輩から聞いた、支払いの時にゴールドカードをチラつかせてドヤ顔してきた男の話😂😂
腹抱えて涙出るほど笑った😂💦
ドヤ顔してチラつかせてきたのがゴールドカードって(笑)
ブラックカードとかプラチナカードでも出してみろっつーの!!と、思ってしまいましたー。←— 撫子 (@nadeshiko828) March 9, 2017
このような批判が出てくる理由について考えてみましょう。1つの理由として考えられるのは「ゴールドカードそのもの」より「他人への尊大な態度」でしょう。かつてはゴールドカードは特別なもの、と考えられていたため、そのイメージから「ゴールドカードを持てる自分は偉い」という錯覚を起こしてしまう人もいるはずです。その錯覚から他人に尊大な態度をとっていたのでは、やはり低評価につながります。
無印良品夫婦の嫁がレジでゴールドカードだして磁気が読み込めんくていや、現金持ってないんで💢てキレてた😆😆😆カード1枚しか持ってないんかお前ゴールドカードでドヤ顔する前に現金持っとけカス
— かわいいかも (@kawaiisdead) August 15, 2018
お金の話をすること自体が好まれない
また、日本においては、自慢するしないにかかわらず、お金の話をすること自体が好まれない傾向があるのも事実です。ゴールドカードを自慢するのも「お金の話をすること」の範疇に含まれるので、その行為自体が嫌、という人もいるでしょう。
出典:金融広報中央委員会 「金融リテラシー調査 2019年」の結果
若年層のゴールドカードへの風当たり
さらに、信じられない話かもしれませんが、年長者の中には「若年層がゴールドカードを持っている」ことに対して、あからさまな嫌悪感を持つ人もいるようです。これまでにも説明した通り、ゴールドカードは従来、年会費も審査難易度も今とは比較にならないほど高いものでした。その時のイメージでとらえてしまうと、若年層が持っているのは明らかに不自然、と考える人がいてもおかしくありません。
しかし、今では事情は全く変わり、ゴールドカードは「一般カードよりは難しいが、社会人として数年働いていれば、まったく不可能というものでもない」程度のものに変化しています。あからさまな嫌悪感を持つ人に対しては、そのような事情を説明して理解してもらうのが一番ですが、無理そうなら「気づかれないようにそっと出す」ほうが、もめごとも少ないでしょう。
ゴールドカードつかうと上司に怒られた って記事よんだけども
社会、生きづらすぎない‥‥‥???— からあげ (@creation_31) December 7, 2019
海外の場合は店員の反応がいい理由
ここまでの話を考えると、少なくとも日本では「ゴールドカードだからといって特別扱いしてもらえるわけでもない」ということが分かったはずです。しかし、海外の場合だとかなり事情が違うので、解説しましょう。
クレジットカードを持てる事実が信頼の証になる
クレジットカードを持つためには、銀行口座が必要なのは、どの国でも変わりません。つまり、銀行口座を作れなければクレジットカードも持てないという意味になります。日本でも銀行口座の新規開設ができないケースはありますが、どちらかといえば振り込め詐欺などの金融犯罪を防止するための措置としての意味合いが強いです。
しかし、外国の場合は若干事情が違います。わかりやすいのがアメリカなので、例にとって説明しましょう。
アメリカで銀行口座を開設するには、SSN(ソーシャルセキュリティナンバー)が必要です。
アメリカには日本のように戸籍制度がないので、個人を識別するための番号として重要な役割を果たしているのです。銀行口座の開設はもちろん、アパートを借りたり、携帯電話を契約したりするときなど、幅広い場面で使えます。しかし、このSSNは「合法的にアメリカで就労する=働く資格がある人」にしか発行されません。違法な手段を用いて入国した移民はもちろん、合法的に入国した場合でも「働く資格のない人」は、SSNがないのです。
つまり、クレジットカードが持てる→銀行口座が持てる→SSNがある、という意味で、法的に認められたアメリカ国民、もしくは合法的に滞在できる人である、と認識されます。このような背景があるため「クレジットカードを持てる=相応の社会的信用がある」とみなされる風潮もやはりあるのです。
移住直後にこんなのもありました。
会社「給与振り込むから銀行口座作っておいで」
銀行「ソーシャルセキュリティナンバーないと口座作らせないよ?」
SSオフィス「SSNは郵送されるから住所ないと受け取れないよ?」
アパート「銀行口座持ってない人には部屋貸さないよ?」
— あひる🇺🇸 (@5ducks5) July 4, 2020
また、クレジットカードを持つことへのハードルが日本とは比較にならないほど高いため、一般カードより上のゴールドカードを持てるのは、ほんのごく少数の人ということになります。日本とアメリカとでは全く事情が違うため一概には比較できませんが「金色のカードを持っている=ゴールドカードである」と認識されるため、ホテルやレストランなどでゴールドカードを使うと、歓待されることも実際にあり得ると考えましょう。
ゴールドカードを持つときに気を付けるべきポイントは?
最後に、ゴールドカードを持つときに気を付けるべきポイントについて考えてみましょう。特に、次の2つには気を付けてください。
- ステータス性の高いゴールドカードを選ぶ
- 礼儀正しい態度をとるようにする
1.ステータス性の高いゴールドカードを選ぶ
一口にゴールドカードといっても、年会費無料のものから数万円するものまで、千差万別です。また、券面に使われているのが金色であるだけで、実際は一般カードというクレジットカードも存在します。「相応のサービスが受けられるゴールドカードが欲しい」と思うなら、まずは情報収集をきっちりとし、ステータス性の高いゴールドカードを選びましょう。
2.礼儀正しい態度をとるようにする
ゴールドカードを出した時に、店員に嫌がられる要素があるとすれば、ゴールドカードそのものより、その時の態度によるところが大きいでしょう。お金の扱い方には、その人の品性が出るといいます。ゴールドカードもお金の一部と考えると同じことです。
- 店員に向かって投げつけるように置かない
- 威圧的な態度をとらない
など、最低限の礼儀はわきまえるようにしましょう。