Visaと匹敵する国際ブランドとして有名なMastercardも、実はデビットカードを発行しています。しかし、日本国内の銀行では扱っているところが極端に少ないため、あまり知られていません。
この記事では
- Mastercardデビットカードとは
- Mastercardデビットカードのメリット・デメリット
- おすすめのMastercardデビットカード
について解説します。
Mastercardデビットカードとは?
最初に、Mastercardデビットカードについて説明しましょう。
国際ブランドとしてMastercardが付帯している
国内外のMastercardの加盟店=Mastercardが使える店舗で支払いに使えます。
カードの券面に何が書かれているのか、トマト銀行で発行しているMastercardデビットカードの画像を用いて説明しましょう。
表面の記載事項
表面の記載事項は、以下の通りです。
- コンタクトレス決済のマーク:このマークがついているので、コンタクトレス決済が使えます。
- カード番号:通常のクレジットカードと同様、カード1枚1枚に番号が振られています。
- 有効期限:実際はここに有効期限が「月/年」の形で入ります。
- カード名義人:カード会員の名前が入ります。
- ロゴ:Mastercardのロゴマークです。
裏面の記載事項
裏面の記載事項は、以下の通りです。
- 署名欄:カードを受取ったら名前を書きましょう。
- セキュリティコード:3桁の数字が用いられています。
Mastercardデビットカードを扱っている銀行一覧
2019年現在、Mastercardデビットカードを発行している銀行は、次の2つです。
- 住信SBIネット銀行
- トマト銀行
トマト銀行とは、岡山県にある地方銀行です。
支店のほとんどが岡山県に集中しているため
- 岡山県で暮らした経験がある
- 銀行をはじめとした金融業界で働いた経験がある
人以外は、あまりなじみがないかもしれません。
Mastercardデビットカードの7つのメリット
Mastercardデビットカードのメリットとして
- 国内外で幅広く使える
- 海外ATM手数料が比較的安い
- Kyashとも紐づけられる
- 支払いの手間がかからない
- ApplePayと相性がいい
- 家族カードも持てる
- ステータスの高いカードもある
の7点を詳しく解説しましょう。
1.国内外で幅広く使える
Mastercardは、Visaと肩を並べる国際ブランドと言われています。こちらのグラフは、いわゆる7大国際ブランドのシェアを取引額ベースで表したものです。
出典:Card and Mobile Payment Industry Statistics | The Nilson Report Archive of Charts & Graphs
Mastercardは、Visa、Unionpay(銀聯カード)についで、世界3位のシェアを誇ります。
世界的にも高いシェアを有することからもわかるように、国内外で幅広く使えるのが、Mastercardのメリットです。もちろん、Mastercardデビットカードであっても、それは変わりません。
特に、日本人があまりに訪れない地域・国に行く予定がある人なら、Mastercardが付帯したクレジットカード・デビットカードを持っていくのはほぼ必須です。
もちろん、Visaデビットカード、JCBデビットカードと同様に、海外ATMでも現地通貨で現金を引き出すことが可能です。Mastercardが付帯したクレジットカードと同様、以下のマークがついているATMを使いましょう。
参照:当社ブランド「Mastercard、Maestro、Cirrus」の詳細
2.海外ATM手数料が比較的安い
Mastercardデビットカードを発行している住信SBIネット銀行、トマト銀行の海外ATM利用時の手数料は、以下の通りです。
住信SBIネット銀行 | 海外事務手数料として、引き出し額の2.50%がかかる。 |
---|---|
トマト銀行 | 海外事務手数料として、1回の操作につき200円がかかる。 |
仮に、以下の条件で
- JCBデビットカード
- Visaデビットカード
- Mastercardデビットカード
を比べてみましょう。
例)以下の条件で海外ATMで現金200ユーロを引き出した。
- 1ユーロ = 120円とする。
- 海外ATM設置会社による手数料は計算に含めないものとする。
結果は、以下の通りです。
JCBデビットカード(三菱UFJデビット)の場合
- 海外ATM利用手数料:1回につき110円
(※一部ATMにおいて、別途現地金融機関所定の使用料がかかる場合あり) - JCBが指定した海外事務手数料:利用額の1.6%
- 三菱UFJ銀行に支払う海外事務手数料:利用額の3.05%
の3種類の手数料がかかるため、手数料の総額は以下の通りとなります。
Visaデビットカード(三菱UFJデビット)の場合
- 海外ATM利用手数料:1回につき110円
- 三菱UFJ銀行に支払う海外事務手数料:利用額の3.05%
の2種類の手数料がかかるため、手数料の総額は以下の通りとなります。
Mastercardデビットカード(住信SBIネット銀行ミライノ デビット(Mastercard))の場合
住信SBIネット銀行に支払う海外事務手数料として、利用額の2.50%がかかるため、手数料の総額は以下の通りとなります。
実際のところ、銀行が徴収する事務手数料は、どこの銀行を利用するかにもよって異なるので、単純に比較はできません。
3.Kyashとも紐づけられる
Mastercardデビットカードも、Visaデビットカードと同様に、Kyashに紐づけられます。
出典:Kyash (キャッシュ) – いつものカードがもっと便利に
Kyash Visaカード
発行会社 | 株式会社 Kyash |
国際ブランド | VISA |
カード種類 | プリペイドカード |
登録可能カード | クレジットカード(VISA、Mastercard)、デビットカード(VISA、Mastercard) |
リアルカード | ○ |
バーチャルカード | ○ |
モバイル決済 | ○QUICKPay |
年会費(税別) | 0円 |
審査 | なし |
発行期間 | リアルカード:数日 バーチャルカード:即時発行 |
登録可能カード枚数 | 5枚 |
ポイント還元率下限 | 0.50% |
ポイント還元率上限 | 1.00% |
ポイント有効期限 | 180日 |
リアルタイム送金 | ○ |
1日最大利用限度額 | リアルカード:5万円 バーチャルカード:3万円 |
1カ月最大利用限度額 | リアルカード:12万円 バーチャルカード:12万円 |
Kyashを使う際は
- コンビニエンスストアのレジ
- 銀行ATM
- クレジットカード、デビットカード
を使ってチャージしましょう。その際に使うクレジットカード、デビットカードは国際ブランドとしてVisaかMastercardが付帯していれば大丈夫です。
Kyashについては、こちらの記事でも詳しく書いています。
4.支払いの手間がかからない
デビットカード、クレジットカードを含め、Mastercardでもコンタクトレス決済の導入を推し進めています。
出典:Mastercard(R)コンタクトレス | Mastercard(R)
コンタクトレス決済とは、対応したデビットカード、クレジットカードを専用の端末にかざすだけで、決済が完了する仕組みのことです。
支払いに手間をかけたくない人こそ、コンタクトレス決済は使いましょう。
5.ApplePayと相性がいい
出典:Mastercard(R)コンタクトレス | Mastercard(R)
また、モバイル決済の1つ、ApplePayともMastercardデビットカードは非常に相性がいいです。MastercardはApplePayに対応しているので、簡単な手続きで取りこむことができ、国内外での支払いに使えます。
6.家族カードも持てる
- 高校生の子どもに持たせたい
- 家計管理のために家族カードを使いたい
という場合でも、Mastercardデビットカードは使えます。
家族カードを発行したい場合は、トマト銀行のインターネット支店(ももたろう支店)に申し込みましょう。最大10枚まで発行できます。
ももたろう支店に関しては、岡山県内およびその周辺に住んでいることが、口座開設の必須条件ではありません。日本国内に住所を有している18歳以上の人であれば、誰でも申しこめます。
トマト銀行のATM以外にも、全国の提携ATMからお金を引き出すことが可能です。
- ゆうちょ銀行
- イオン銀行
- セブン銀行
などのATMに対応しています。
7.ステータスの高いカードもある
という人にも、Mastercardデビットカードはおすすめです。
住信SBIネット銀行で発行されている「ミライノ デビット PLATINUM(Mastercard)」は、デビットカードでありながらも、一般のプラチナカードに相当するサービスを受けられるカードです。
- 海外空港のラウンジが利用できる
- 海外Wi-fiサービス「Boingo(ボインゴ)」がついてくる
- 国内・海外旅行傷害保険が自動付帯している
など、海外旅行が好きな人におすすめの特典がたくさんついているにも関わらず、審査は不要です。
Mastercardデビットカードのデメリット
一方、Mastercardデビットカードには、デメリットもあります。
- 扱っている金融機関が少ない
- GooglePayには対応していない
の2点について解説しましょう。
1.扱っている金融機関が少ない
Visaデビットカード、JCBデビットカードに比べると、Mastercardは扱っている金融機関が極端に少ないです。
そして、Mastercardデビットカードを扱っている銀行も、やや特殊です。
トマト銀行は、旧名を山陽相互銀行ということからもわかるように、ほぼ岡山県でのみ事業を展開してきた地方銀行です。
また、住信SBIネット銀行は、三井住友信託銀行とSBIホールディングスが共同で設立した「ネット専業の銀行」です。そのため、実店舗はありません。
結論としては
のが、Mastercardデビットカードかもしれません。
2.GooglePayには対応していない
Mastercardデビットカードは、ApplePayとの相性はいいですが、GooglePayとの相性は全くよくありません。2019年11月現在、MastercardデビットカードはGooglePayに対応していないためです。
Androidのスマートフォンを使っている人が、デビットカードを連携してGooglePayを使いたいなら、Mastercardデビットカード以外のものを選ぶのをおすすめします。
おすすめのMastercardデビットカード2選
ここまでの内容を踏まえて、おすすめのMastercardデビットカードを2つ紹介します。
住信SBIネット銀行ミライノ デビット(Mastercard)
住信SBIネット銀行ミライノ デビット(Mastercard)
発行会社 | 住信SBIネット銀行 |
国際ブランド | MasterCard |
初年度年会費(税込) | 0円 |
2年目~年会費(税込) | 0円 |
年会費特典 | - |
発行期間 | - |
キャッシュバック還元率下限 | - |
キャッシュバック還元率上限 | - |
ポイント還元率下限 | 0.80% |
ポイント還元率上限 | 0.80% |
1日最大利用限度額 | 200万円 |
不正利用時の補償 | ○1000万円 |
入会資格年齢 | 15歳以上 |
年会費
永年無料
ポイント還元率、キャッシュバック率
住信SBIネット銀行ミライノ デビット(Mastercard)の利用額に応じて、ポイントの還元が受けられます。
スマプロポイント | 利用額1,000円ごとに8ポイント還元。1ポイント = 1円相当で現金に交換できる。JALのマイルに交換することも可能。 |
---|
おすすめする理由
住信SBIネット銀行ミライノ デビット(Mastercard)をおすすめする理由は
- スマプロによる優待が受けられる
- スマプロポイントをJALのマイルに交換できる
の2点です。
スマプロとは
ランクごとの無料回数は、以下の通りです。
ランク | ATM利用手数料無料回数 | 振込手数料無料回数 |
---|---|---|
ランク4 | 月15回 | 月15回 |
ランク3 | 月7回 | 月7回 |
ランク2 | 月5回 | 月3回 |
ランク1 | 月2回 | 月1回 |
ランクの判定は、主に住信SBIネット銀行との取引状況により判定されます。それぞれのランクの判定条件を表にまとめました。
ランク | 条件 |
---|---|
4 | 次のうち、いずれかに該当すること。 Ⅰ:外貨預金と仕組預金の月末残高合計が、500万円以上 Ⅱ:外貨預金と仕組預金の月末残高合計が、300万円以上 かつ 住宅ローンを利用 |
3 | 次のうち、いずれかに該当すること。 Ⅲ:総預金の月末残高が300万円以上 Ⅳ:ロボアドバイザー資産運用残高の合計が月末時点で100万円以上 Ⅴ:住宅ローンを利用 Ⅵ:以下の条件のうち3つ以上該当 ・外貨預金(普通・定期)の月末残高あり ・仕組預金の月末残高あり ・SBIハイブリッド預金の月末残高あり ・純金積立月末時点でご契約あり ・給与、賞与または年金の月内ご入金あり ・目的ローンまたは不動産担保ローンの月末残高あり ・カードローンの月末残高あり(50万円以上2つにカウント) ・BIG・toto購入または公営競技ご入金の月内合計が2万円以上 ・ミライノ デビットの月末時点の確定金額が合計1万円以上(3万円以上2つにカウント) ・クレジットカード「ミライノ カード(JCB)一般」の引落口座を当社に設定かつ当月確定(翌月引落)金額が1万円以上(5万円以上2つにカウント) ・当社口座からプリペイドカード「JAL Global WALLET」への円貨チャージの月内合計金額が1万円以上(3万円以上2つにカウント) |
2 | 次のうち、いずれかに該当すること。 Ⅶ:総預金の月末残高が30万円以上 Ⅷ:ロボアドバイザー資産運用残高の合計が月末時点で10万円以上 Ⅸ:以下の条件のうち2つ該当 ・外貨預金(普通・定期)の月末残高あり ・仕組預金の月末残高あり ・SBIハイブリッド預金の月末残高あり ・純金積立月末時点でご契約あり ・給与、賞与または年金の月内ご入金あり ・目的ローンまたは不動産担保ローンの月末残高あり ・カードローンの月末残高あり(50万円以上2つにカウント) ・BIG・toto購入または公営競技ご入金の月内合計が2万円以上 ・ミライノ デビットの月末時点の確定金額が合計1万円以上(3万円以上2つにカウント) ・クレジットカード「ミライノ カード(JCB)一般」の引落口座を当社に設定かつ当月確定(翌月引落)金額が1万円以上(5万円以上2つにカウント) ・当社口座からプリペイドカード「JAL Global WALLET」への円貨チャージの月内合計金額が1万円以上(3万円以上2つにカウント) Ⅹ:30歳未満 |
1 | 上記のいずれにも該当しないこと。 |
出典:スマプロランクについて | スマートプログラム | 住信SBIネット銀行
また、住信SBIネット銀行ミライノ デビット(Mastercard)の利用以外にも、所定の取引を行うことで、スマプロポイントが付与されます。
ポイント対象商品・サービス | 条件 | 獲得ポイント |
---|---|---|
外貨預金・仕組預金 | 月末残高合計300万円以上 | 100pt/月 |
ミライノ カード(JCB) | 月内引落金額合計5万円以上 | 100pt/月 |
給与受取・年金受取・定額自動入金 | いずれか利用 | 30pt/月 |
口座振替(銀行引落) | 1件以上引落しあり | 5pt/月 |
外貨積立 | 月1万円以上積立 | 10pt/月 |
純金積立 | 月5,000円以上積立 | 10pt/月 |
出典:スマプロポイントについて | スマートプログラム | 住信SBIネット銀行
スマプロポイントの交換先
そして、貯まったスマプロポイントは
- 現金
- JALのマイル
のいずれかに交換できます。
- 現金を持ち歩くのは最低限にする
- 必ず現金で支払わなくてはいけない支出は、給料日など一定の日におろしてあらかじめ振り分けておく
などの工夫もすれば、さらに効率よく貯まるはずです。
こんな人におすすめ
- JALのマイルを貯めている
- 資産運用に興味がある
- 現金はあまり持ち歩かないし、必要な支出があれば給料日に振り分けておける
住信SBIネット銀行ミライノ デビット PLATINUM(Mastercard)
住信SBIネット銀行ミライノ デビット PLATINUM(Mastercard)
発行会社 | 住信SBIネット銀行 |
国際ブランド | MasterCard |
初年度年会費(税込) | 11,000円 |
2年目~年会費(税込) | 11,000円 |
年会費特典 | - |
発行期間 | - |
キャッシュバック還元率下限 | - |
キャッシュバック還元率上限 | - |
ポイント還元率下限 | 1.00% |
ポイント還元率上限 | 1.00% |
1日最大利用限度額 | 200万円 |
不正利用時の補償 | ○1000万円 |
入会資格年齢 | 15歳以上 |
年会費
年間11,000円(税込)
ポイント還元率、キャッシュバック率
住信SBIネット銀行ミライノ デビット PLATINUM(Mastercard)の利用額に応じて、ポイントの還元が受けられます。
スマプロポイント | 利用額1,000円ごとに10ポイント還元。1ポイント = 1円相当で現金に交換できる。JALのマイルに交換することも可能。 |
---|
おすすめする理由
住信SBIネット銀行ミライノ デビット PLATINUM(Mastercard)は、住信SBIネット銀行ミライノ デビット(Mastercard)と同様に
- スマートプログラムによる優待が受けられる
- 利用によりスマプロポイントが貯まる
のに加え、プラチナカード(クレジットカード)に相当するサービスが受けられます。
LoungeKey(ラウンジ・キー) | 世界1,000カ所超の空港ラウンジを年間3回まで利用できる。 |
---|---|
ダイニング by 招待日和 | 提携している全国の有名レストランで、2名以上で所定のコースを予約した場合に、1名分が無料になるサービス。ただし、利用は会員1人につき毎月2回まで。 |
保険 | 海外旅行保険、国内旅行保険、ショッピングガード保険が付帯している。 |
Boingo(ボインゴ) | 世界100カ国以上で利用できるWi-Fiサービスを無料で使える。 |
国際線手荷物無料宅配 | 海外出張・旅行時に往復各2個まで荷物を無料で送ってくれる。 |
そして、プラチナカードに相当するサービスを受けられるにも関わらず、審査はありません。
こんな人におすすめ
- プラチナカードが欲しいが、審査に通るかが不安
- 海外旅行は行っても年1~2回程度
- 海外旅行の帰りの荷物は宅配したい
- 家族や友達と食事に行くのが好き
まとめ
Mastercardデビットカードは、VisaデビットカードやJCBデビットカードに比べると、発行している銀行が非常に少ないです。しかし、住信SBIネット銀行ミライノ デビット PLATINUM(Mastercard)のように、代金の支払い以外の機能も充実しているカードも存在します。
他のデビットカードについても調べるならこちらからどうぞ!