クレジットカードに比べると、今一歩普及が進んでいないといわれるデビットカード。しかし、支払ったその場で利用額が銀行口座から引き落とされるので、現金払いに近い感覚で利用できるのが大きなメリットです。
そこで今回の記事では
- お店(=実店舗)
- モバイル決済
- ネット
- 海外ATM
でのデビットカードの使い方と、デビットカードが使えない取引について、丁寧に解説します。
お店での使い方
お店=実店舗での買い物にも、デビットカードは使えます。基本的な使い方の流れをまずは押さえましょう。
1.使えるかどうかを確かめる
最初にやるべきことは、「そのお店で自分が持っているデビットカードが使えるかどうかを確かめる」です。クレジットカードが使えるお店であれば、対応している国際ブランドのステッカーが、店内の見やすいところに貼ってあります。
貼っていなかった、もしくは見つけられなかった場合は、店員に聞きましょう。「Visaって使えますか?」「JCBって使えますか?」と聞けば大丈夫です。
2.「クレジットカード一括払いで」と伝える
欲しいものを選んだら、支払いに進みましょう。デビットカードを渡し、「クレジットカード一括払いで」と伝えれば大丈夫です。
やり取りにもあるように、たとえデビットカードで支払う場合でも、「デビットカードで」と言わないほうがいい理由について説明しましょう。日本ではJ-Debitといって、日本国内の銀行・信用金庫等が発行したキャッシュカードを、加盟店での支払いに使えるというサービスが存在します。
出典:J-Debit – キャッシュカードではじめる、キャッシュレス
3.暗証番号の入力もしくはサインを行う
店員に「クレジットカード一括払いで」と伝えたら、デビットカードを渡しましょう。端末に通した上で、暗証番号を入力するか、伝票(またはサインパネル)にサインするかで、決済を済ませます。
モバイル決済での使い方
次に
- QRコード決済
- スマートフォン決済
などのモバイル決済でデビットカードを使う場合の流れを解説しましょう。
QRコード決済とは
- 店舗に掲示されたQRコードを読み取る
- 自身のスマートフォン上のアプリにQRコードを表示させ読み取ってもらう
のいずれかで、決済を行う方法を言います。
一方、スマートフォン決済とは、スマートフォンにインストールされたアプリに、手持ちのクレジットカード・デビットカードの情報を登録し、対応する電子マネー加盟店での支払いを行うサービスのことです。
1.使えるかどうかを確かめる
最初にやるべきことは「自分が使おうとしているモバイル決済でデビットカードが使えるのか」を確かめることです。
サービスごとに対応状況は異なる
実際のところ、モバイル決済におけるデビットカードの扱いに関しては、各サービスごとに対応状況が異なります。中には、デビットカード自体が全く使えないサービスもあるので、事前に確認しましょう。
2.使える場合は設定する
調べた結果、自分が使っているサービスでデビットカードが使えそうな場合は、設定しましょう。設定方法も、対応状況と同様に公式ホームページに記載があるパターンが多いです。
ここから先は、主要なモバイル決済サービスにおける
- デビットカードの対応状況
- 対応している場合の設定方法
について解説します。
PayPayの場合
対応状況
デビットカードの登録 | できる |
---|---|
対応している国際ブランド | Visa、Mastercard |
PayPayは通信大手のソフトバンクとインターネット大手のYahoo!JAPANが設立した、同名の合弁会社にて運営されているQR決済サービスです。
PayPayを使う場合
- 現金、Yahoo!JAPANカードで残高チャージを行う
- クレジットカード、デビットカードの情報を登録する
のどちらかの方法で、加盟店での支払いに使えるようになります。後者の方法であれば、デビットカードをPayPayと紐づけて使うことは可能です。
なお、2019年12月現在、PayPayに登録できるクレジットカードの国際ブランドは、以下の通りです。
登録できるクレジットカードは、以下の3種類です。
ご本人名義のクレジットカードを登録してください。
- VISA
- Mastercard
- JCB(ヤフーカードのみ)
※ヤフーカードは、Yahoo! JAPANカードの愛称です。
出典:登録可能なクレジットカードの種類 – PayPay よくあるご質問
登録の手順
PayPayにデビットカードを登録して使う場合の手順は、以下の通りです。
1.PayPayをインストールする
スマートフォンにあらかじめPayPayをインストールし、設定を済ませておきましょう。
ダウンロードはこちらから
インストール後の設定はこちらから
2.カードを追加する
PayPayのアプリを立ち上げ、「クレジットカードの追加」を選択しましょう。
3.カード情報を読み込ませる
- スマートフォンに内蔵されたカメラでデビットカードをスキャンする
- 16桁のVisaデビット番号を手で入力する
のいずれかを行います。この手続きにより、PayPayにデビットカードの情報が登録されるのです。
出典:PayPayをPayPay銀行で便利に使う。|PayPay銀行
楽天ペイの場合
対応状況
デビットカードの登録 | できる |
---|---|
対応している国際ブランド | Visa、Mastercard |
楽天ペイは、大手インターネット企業の楽天グループが提供するQRコード決済です。2019年12月現在、楽天ペイにはVisa、Mastercardが付帯したデビットカードであれば、登録が可能です。
なお、JCBデビットカードは、2019年12月の時点では対応していません。
参照:楽天ペイアプリに登録できるカードは何ですか? | 楽天ペイアプリ: よくあるご質問
登録の手順
楽天ペイでデビットカードを使いたい場合、支払い元としてデビットカードを指定しましょう。初回設定も含めた登録の手順は、以下の通りです。
1.アプリをダウンロードする
以下のボタンからダウンロードできます。
2.楽天会員に登録する
アプリを立ち上げると、楽天会員への登録画面が出てきます。メールアドレス、ユーザーID、パスワードなど、必要事項を入力しましょう。
3.アプリからログインする
会員情報の登録が済んでいれば、アプリからログインできるようになります。
4.SMSを送信する
本人確認のために、SMS認証が求められます。アプリに電話番号を入力すると、携帯電話のSMS(ショートメッセージサービス)で6桁の認証番号が届くので、入力しましょう。
5.支払い元を設定する
SMS認証が完了すると、支払い元を設定できるようになります。デビットカードの番号等、必要な情報を入力して登録しましょう。
Apple Payの場合
対応状況
デビットカードの登録 | できる |
---|---|
対応している国際ブランド | JCB、Mastercard |
Apple PayはiOSに対応した端末で利用できるスマートフォン決済です。従来は、デビットカードの登録は一切できないサービスでしたが、2019年12月現在は、一部対応しています。
まず、JCBについてですが、みずほ銀行が発行している「みずほJCBデビット」であれば、Apple Payへの登録が可能です。また、Mastercardについてですが、Mastercardコンタクトレスカードであるデビットカードであることが条件となっています。
登録の手順
Apple Payにデビットカードを登録して使う場合の手順は、以下の通りです。
1.Walletを開く
2.画面の案内に沿って新しいカードを追加する
3.「次へ」をタップする
4.確認が終わったら「次へ」をタップする
詳しい手順は、公式アカウントが提供する動画でも解説されています。
Google Payの場合
対応状況
デビットカードの登録 | できる |
---|---|
対応している国際ブランド | Visa |
Google PayはAndoroidに対応した端末で利用できるスマートフォン決済です。2019年12月現在、以下の銀行から発行されたデビットカードであれば、Google Payに登録して使えます。
- PayPay銀行
- ソニー銀行
- 三菱UFJ銀行
- りそな銀行
- 埼玉りそな銀行
- 関西みらい銀行
登録の手順
Google PayにVisaデビットカードを登録して使う場合の手順は、以下の通りです。
1.Google Pay をダウンロードする
Android 5.0以降かつNFCに対応している端末で利用できます。
2.支払い方法を選択する
「クレジット/デビット/プリペイド」を選択しましょう。
3.カード情報を登録する
- カード番号
- 有効期限
- カードの名義
などの情報を登録しましょう。この際、デビットカードの実物(プラスティック製のカード)が必要です。
4.確認コードを入力する
あらかじめ登録したメールアドレス宛に、確認コードが届くので入力しましょう。
5.メインカードに設定する
この操作を行うことで、Google Payを使った場合に、デビットカードからの引落が行われるようになります。
出典:Google Pay|Visaデビットカード|PayPay銀行
ネットでの使い方
オンラインショッピングやホテル・旅館の手配など、オンラインでの支払いにデビットカードを使う場合の注意点について、解説しましょう。
1.使えるかどうかを確かめる
お店=実店舗での支払いと同じく、まずはそのサービスがどの国際ブランドに対応しているかを確認しましょう。例えば、Amazon.co.jpの場合、利用できる国際ブランドについては、以下のように規定されています。
Amazon.co.jp でのご注文には、クレジットカードおよびデビットカードをご利用いただけます。
- Visa
- Mastercard
- American Express
- Diners Club
- JCB
- 銀聯(クレジットカードのみ利用可)
出典:Amazon.co.jp ヘルプ: ご利用可能なクレジットカードおよびデビットカードの種類
2.本人認証サービスの設定を済ませる
オンラインでの利用の場合、サービスによっては、3Dセキュアが採用されている場合があります。
3Dセキュアとは、ネットでのクレジットカード・デビットカードによる支払いを済ませる際に、本人にしかわからないパスワードを入力しないと、支払いが完了しない仕組みのことです。
出典:本人認証サービス(3Dセキュア)|イオンカード 暮らしのマネーサイト
3Dセキュアを利用するためには、あらかじめ設定を済ませる必要があります。設定方法はデビットカードを発行する銀行によって異なるので、別途確認しましょう。
3.クレジットカードと同じように使う
ここまで済んだら、あとはクレジットカードと同じように使いましょう。例として、Amazon.co.jpで買い物をする際に、どのような流れでデビットカードを使うのかを解説します。
1.欲しい商品を選ぶ
今回は、この商品を購入します。「カートに入れる」を選択しましょう。
ショッピングカードに追加されます。「レジに進む」を選択しましょう。
2.支払い手段を変更する
注文内容の確認・変更の画面に移ります。デビットカードを追加したい場合は、支払い方法の隣にある「変更」をクリックしましょう。
画面が切り替わったら、スクロール=下のほうまで移動し、「その他のお支払いオプション」から「クレジットカード」を選んでください。
「カードを追加」の部分をクリックしましょう。カードの情報を入力する画面が出てくるので、必要事項を入力し、「クレジットカードを追加」をクリックしてください。
3.支払いを実行する
「お支払い方法を選択」に戻り、追加したデビットカードを支払い手段にしましょう。「次に進む」をクリックしてください。
注文内容の確認・変更の画面に移るので、問題がないようであれば、「注文を確定する」をクリックしましょう。
画面が切り替われば、無事に注文も完了します。
海外ATMでの使い方
デビットカードの特徴として、海外のATMを使い、日本の銀行にある残高を、現地通貨で引き出せることが挙げられます。基本的な使い方および注意点を解説しましょう。
1.あらかじめ日本円で入金しておく
ATMでの利用も含め、海外でデビットカードを使う予定があるなら、あらかじめ銀行口座に日本円で入金しておきましょう。
2.海外のATMで引き出す
実際に海外に行った際は、空港や街中にあるATMで引き出すことになります。基本的な操作の流れは、どの国際ブランドであっても同じですが、対応するATMの見つけ方が多少異なります。
JCBデビットカードを使う場合
ATMにJCBのロゴが使われたステッカーが貼ってないかを確認しましょう。
また、対応しているATMは、以下のリンクから探せます。
Visaデビットカードを使う場合
ATMにVisaもしくはPLUSのロゴが使われたステッカーが貼ってないかを確認しましょう。
また、対応しているATMは、以下のリンクから探せます。
Mastercardデビットカードを使う場合
ATMにMastercard、Cirrus、Maestroのいずれかのロゴが使われたステッカーが貼ってないかを確認しましょう。
出典:当社ブランド「Mastercard、Maestro、Cirrus」の詳細
また、対応しているATMは、以下のリンクから探せます。
操作の基本的な流れ
海外でATMを使う際の操作の基本的な流れは、以下の通りです。
ステップ | 画面の表示例 | 操作方法 |
---|---|---|
1 | Insert Your Card(挿入口にカードを入れてください) | デビットカードを入れる。※この後、言語を選択する画面が入る機種もある。 |
2 | Enter Your PIN※1,Then Press Enter(暗証番号を入力し、最後にEnterキーを押してください) | 暗証番号(4ケタ)を押し、最後に「ENTER/YES」キーを押す。 |
3 | Select Type of Transaction(ご希望の取引内容をお選びください) | 「WITHDRAWAL」(または「CASH ADVANCE」)を指定。 |
4 | Select Account for Withdrawal(キャッシングの方法をお選びください) | 「CREDIT CARD」を指定。この後、現金(「CURRENCY」)、トラベラーズ・チェックを選択する画面が入る機種もある。 |
5 | Enter Whole Dollar Amount in Multiples of $20 Up to $200,Then Press Enter($20単位で$200までご利用金額を指定し、最後にENTERキーを押してください) | 金額を指定し、最後に「ENTER/YES」キーを押す。 |
6 | Please Take Cash(現金をお受け取りください) | 操作を終了する場合は、「CLEAR/NO」キーを押す。引き続き現金を引き出す場合は「ENTER/YES」キーを押す。 |
7 | Would You Like Another Transaction?(引き続き操作を続けられますか?) | 「ENTER/YES」キーを押すと、画面がSTEP3に戻り、続けて操作することができる。※できない機種もあるので注意。 |
8 | Please Remove Card and Take Receipt(カードとご利用明細書をお受け取りください) | デビットカードとご利用明細書を受け取る。 |
暗証番号が4桁じゃないときは?
一般的に、日本で発行されたデビットカードの場合、暗証番号は4桁に設定されています。しかし、国・地域によっては5桁もしくは6桁での入力を求められる場合があるので、注意しましょう。
中国・香港・台湾・インドネシア・タイ・韓国・マレーシア・フィリピン・シンガポール | ATMの機種により6桁の入力表示がされるが、4桁の暗証番号入力後にENTER(YES)キーを押すと次に進む。 |
---|---|
ベトナム | ATMの機種により6桁の入力表示がされるが、4桁の暗証番号入力後に「0」を2回入力し、ENTER(YES)キーを押すと次に進む。 |
イタリア | ATMの機種により5桁の入力表示がされるが、4桁の暗証番号入力後にENTER(YES)キーを押すと次に進む。 |
日本語表示がなければ英語表示がおすすめ
海外ATMの中には、表示言語として日本語が選択できるものがあります。その場合は、日本語を選択しましょう。一方、選択できない場合は、英語(English)を選択するのをおすすめします。
海外ATMを使う際の注意点
最後に、海外でATMを使う予定がある場合、注意すべき点を4つ解説します。
1.国内で利用できるか確認しておく
デビットカードに限らず、各種カードを使う際に気を付けたいのは、「そのカード自体に問題がないかどうか」です。例えば、デビットカードの場合、内蔵されているICチップや磁気ストライプが傷んでいた場合、端末に差し込んでも読み取ってもらえません。
2.暗証番号は控えておく
また、海外ATMの利用にあたっては、暗証番号が必須になります。暗証番号を忘れたからと言って、あてずっぽうに誤った番号を入力すると、一定回数を超えた時点でロックがかかります。
もし、正しい暗証番号を思い出せる自信がないなら、早めに暗証番号変更の手続きを行いましょう。カードの発行会社に連絡し、対応を仰いでください。手続きが完了するまで1~2週間程度かかるので、余裕をもって手続きをするのをおすすめします。
正しい暗証番号がわかったら、緊急連絡先リストの一部に加えておくなどして、現地に持っていきましょう。
3.利用限度額を確かめておく
デビットカードの利用限度額は、銀行口座の残高までですが、別途、利用限度額を定めることができます。例えば、三菱UFJデビットの場合、利用限度額は、以下の範囲で自由に定めることができます。
4.不審者や状況の変化に注意する
海外でATMを使う場合には、「日本とは勝手が違う」ことを意識しましょう。例えば、海外でのATM利用時のトラブルとして、以下のようなものが報告されています。
1.ボタンの押し忘れ
海外でATMを使う場合は、必要な取引が終わった時点で必ず「取引終了ボタン」を押しましょう。取引を行っている際に暗証番号を盗み見て、そのまま成りすまして取引を行う「ショルダーサーフィン」と呼ばれる手口があるためです。
海外では安全を考慮し、銀行の営業時間内に支店内にあるATMを利用。取引操作は問題なく、無事に口座から出金することができた。現金とデビットカードを財布に保管していると、後ろに人が並んでいる気配を感じたため、そそくさとATMを後にした。食事やショッピングで現金が足りなくなり、再び出金を試みるが、残高不足で口座から出金ができない。不審に思い電話センターへ連絡、自分が現金を受領した後にも出金の事実があることがわかった。現金が出てきた安堵とデビットカードを取り忘れないように気を取られていたこと、順番待ちの人がいて焦ったことなどから、ATM画面の『取引終了ボタン』を押さなかったことが原因で被害にあってしまった。
2.不審なATM
ATMが設置されている場所や人の出入りの状況にもよりますが、ATMにスキマーと呼ばれる装置を仕掛け、情報を不正に盗み出す手口もあります。明らかにおかしいとわかるATMは使わないようにしましょう。
海外旅行先でデビット機能を利用してATMで現地通貨を引き出そうとを試みたが、初めに利用したATMでは暗証番号入力後にエラーメッセージが出て取引ができず、隣のATMで操作すると出金することができた。旅行から帰国してしばらくすると身に覚えのない出金を知らせる取引通知メールが届き、カードが偽造されてしまったことがわかった。
3.カードが吸い込まれた
海外でATMを利用した場合、機械のエラーにより、現金やカードが出てこない場合があります。そのような場合は、まず現地のATMを設置している会社に連絡し、返還・返金交渉をしましょう。
カードが吸い込まれたり、現金が回収されてしまったら
ただちに現地金融機関の係員に状況説明と、返還・返金交渉をしてください。
帰国されてからでは解決が難しい場合があります。(トーク例)The machine has taken my card. Can I get it back?
デビットカードが使えないケースは?
デビットカードは、ほとんどの場合において、クレジットカードと同じように使えます。しかし、クレジットカードでの支払いができる場合であっても、デビットカードは使えないこともあるので、注意しましょう。
- デビットカードが使えない理由
- 具体的なケース
について解説します。
デビットカードとクレジットカードの決定的な違い
デビットカードとクレジットカードには、決定的な違いがあります。それは、「一度、立て替えを行うか」です。
デビットカードは、会員が支払いを行うと同時に、実際の決済金額があらかじめ登録された銀行口座から引き落とされます。しかし、クレジットカードは、会員が支払いを行った後、一度クレジットカード会社が加盟店に対し、利用額相当分を立て替えます。その後、一定期間内における会員の利用額を集計して請求を行い、所定の期日に銀行口座からの引き落としが行われるのです。
このような事情も鑑み、デビットカードを発行する銀行は、「デビットカードが使えない取引」を定め、規約に盛り込んでいます。
具体的なケースとして
- 高速道路の料金は払えない
- ホテル、レンタカーのデポジットには使えない
- 機内販売では使えない
- ガソリンスタンドでは使えない
- 公共料金の支払いには使えない
の5つを紹介しましょう。
1.高速道路の料金は払えない
現在、多くの車にETCが導入されています。つまり、ETCカードと呼ばれる高速道路料金決済専用のカードを車内の装置に入れ、その車で専用のゲートを通過すれば、高速道路の料金が支払われる仕組みです。
ETCはクレジットカードに追加して発行できることになっていますが、ほとんどのデビットカードでは、ETCカードの追加発行が認められていません。
2019年12月の時点では、ETCカードを追加発行できるデビットカードは、北國銀行が発行するもののみとなっています。
2.ホテル、レンタカーのデポジットには使えない
海外のホテルに宿泊したり、レンタカーを借りたりする場合、「デポジット」(保証金)として、一定額の現金またはクレジットカードを預けることがります。
- ホテルでルームサービスを頼んだ
- レンタカーを故障させてしまった
などの理由で、追加の支払いが生じる場合、デポジットを充当する仕組みです。つまり、チェックアウトや車の返却まで、実際はいくらかかるのかが確定しません。そのため、あとから追加の請求がしにくいデビットカードをデポジットの支払いのために利用することはできない、と定めている業者も多く存在します。
また、デビットカードでのデポジットの支払いを受け付けてくれる業者であっても、一度所定の金額を引き落とし、差額があれば返金するという形をとる場合がほとんどです。返金まで手間がかかることもあるので、できる限り、デビットカードを使わないほうが、ストレスはたまらないでしょう。
海外のホテルやレンタカーを利用する場合、宿泊費・利用料を含めた「デポジット(前受金)」を支払わなければならない場合があります。「デポジット」の支払方法は、ホテル・レンタカーによって異なります。
ホテルのチェックインやレンタカーご利用の際に、「Visaデビットカード」を利用すると、「デポジット」が引き落としされます。通常「デポジット」は、ルームサービスのご利用がない場合およびレンタカーの延長利用がない場合等には、宿泊費・利用料との差額が返金されます。なお、宿泊費・利用料のお支払いに本カードをご利用いただいた際の差額の返金はチェックアウト後およびレンタカー返却後、数日から2週間程度かかります。
出典:デポジットを支払った場合いつ返金されますか。 | PayPay銀行
3.機内販売では使えない
飛行機の国際線で主に行われている機内販売でも、デビットカードを使えないとしている銀行は非常に多いです。それには、「機内ならではの事情」が関係しています。
飛行機の機内では、運航に支障をきたすため、通信機器は基本的に使えません。デビットカードで支払った場合、実際に銀行口座から引き落としが行われるのは、地上に降り立った後なのです。仮に、銀行口座からの引き落としの際に、残高不足で引き落としが完了しなかった場合、「商品は引き渡したのに支払いは終わっていない」という事態になりかねません。
4.ガソリンスタンドでは使えない
ガソリンスタンドでも、デビットカードは使えない場合が多いです。クレジットカードを使い、ガソリンスタンドで給油する場合の一般的な流れを考えてみましょう。
- ガソリンスタンドに行き、最初にクレジットカードを渡す
- 給油が終わったらクレジットカードを返してもらう
(先生)なんで、こんな流れかわかりますか?
(女性はてな)うーん、代金取りっぱぐれたら困るからでは?
このような流れになっているのは、ガソリンに「実際に給油してみないと支払額がわからない」という性質があるためです。
仮に、デビットカードを使ってしまうと、「頼まれた量の給油はしたけど、銀行口座の残高が足りなくて、決済が完了しない」という事態も起こりえます。トラブルを回避するために、ガソリンスタンドではデビットカードでの支払いを受け付けていない場合が多いのです。
5.公共料金の支払いには使えない
公共料金についても、デビットカードは支払いに使えない場合が多くなっています。仮に、所定の引き落とし日に、銀行口座の残高が不足していた場合は、支払いが滞ってしまうためです。
しかし、最近では三菱UFJ銀行の「三菱UFJデビット」など、公共料金の支払いに対応しているデビットカードも出てきました。
出典:JCBデビット
6.金融機関の判断によることも
ここで紹介した以外にも、金融機関の判断で、デビットカードが使えない取引が定められているケースもあります。
JCBデビットカードの利用制限について
加盟店様の業態等によっては、金融機関(カード発行会社)の意向によりJCBデビットカードの利用を制限することがあります。
出典:JCBデビットカードのお取り扱いについて|JCBカード
具体的にどのような業態があてはまるかはわかりませんが、「常にデビットカードが使えるわけではない」ことは頭の片隅に置いておきましょう。
まとめ
デビットカードの使い方は、クレジットカードを使ったことがある人なら、難なく理解できるものです。しかし、デビットカードならではの特殊な事情により、使えないことも多々あります。
特に、海外で利用する際は、日本と状況が異なるので、注意が必要です。
- 予備のクレジットカードを持っていく
- 最低限の現金は用意しておく
など、備えを忘れないようにしましょう。