日本でも、国際ブランドが付帯しているデビットカードを発行する銀行が増えてきました。しかし、年会費は銀行やデビットカードの種類によってまちまちであるため、一概に「無料だからいい・悪い」とは言い切れません。
そこで今回の記事では
- デビットカードの年会費が銀行ごとに異なる2つの理由
- 年会費が無料でも便利なデビットカード
という観点で、デビットカードの年会費について解説しましょう。
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デビットカードの年会費が銀行ごとに異なる2つの理由
デビットカードの年会費が銀行ごとに異なる主な理由として
- 銀行の経営方針が反映される
- 付帯サービスを充実させるための費用に充てる
の2点が挙げられます。
1.銀行の経営方針が反映される
銀行をはじめとする金融機関の大半は、民間企業です。そのため、デビットカードをはじめとして、自社で提供するあらゆるサービスについて
- サービスの提供により収益が見込めるか
- 収益を確保するためにどれだけの費用が必要か
- 費用を賄うために利用者からどれだけ手数料を徴収するか
を考えた上で、実行に移さないといけません。
このような背景があるため、デビットカードの年会費をいくらにするかについても
- 銀行の財務状況
- サービスの提供に要するコスト
- 利用者の獲得を見据えたマーケティング施策
など、様々な事情を反映し、銀行が独自に決めているのが現状です。
一定の条件に当てはまれば無料になるケースも多い
実際のところは、デビットカードの年会費が規定上は有料であったとしても、一定の条件を満たせば無料になるケースも多く存在します。
たとえば、みずほ銀行が発行する「みずほJCBデビット」の場合、年会費は1,100円(税込)ですが、年に1回でも利用していれば無料です。
「みずほJCBデビット」を年1回以上ご利用いただくと年会費1,100円(消費税等を含む)が無料になります。またご利用金額の0.2%がキャッシュバックされます。さらに、「みずほJCBデビット」の毎月のご利用でみずほマイレージクラブのうれしい特典(ATM時間外手数料が無料など)がご利用いただけます。
2.付帯サービスを充実させるための費用に充てる
デビットカードの年会費は、無料もしくは1,000円前後であるケースが多いです。しかし、中には1万円を超える年会費を設定しているデビットカードもあります。このようなデビットカードは、付帯サービスが充実しているのが特徴です。裏を返せば、クレジットカードと同じように、付帯サービスを充実させればさせるほど、高い年会費を徴収しないと、サービスの維持ができなくなります。
具体例として
- 住信SBIネット銀行ミライノ デビット PLATINUM(Mastercard)
- タカシマヤプラチナデビットカード
の2つを挙げて説明しましょう。
1.住信SBIネット銀行ミライノ デビット PLATINUM(Mastercard)
住信SBIネット銀行は、信託銀行大手の三井住友信託銀行とインターネットを介した金融サービスを提供するSBIホールディングスが合弁で設立したネット銀行です。
住信SBIネット銀行は、日本でも数少ないMastercardデビットカードを発行している銀行の1つです。
住信SBIネット銀行が発行するMastercardデビットカードはさらに
- 住信SBIネット銀行ミライノ デビット(Mastercard)
- 住信SBIネット銀行ミライノ デビット PLATINUM(Mastercard)
の2つに分けられます。
このうち、上位のカードである住信SBIネット銀行ミライノ デビット PLATINUM(Mastercard)は、年会費が11,000円(税込)とかなりの高額です。しかし
- 海外旅行保険、国内旅行保険が自動付帯している
- 年間3回まで国内外の空港ラウンジが利用できる
- 指定されたレストランを2名以上で利用し、所定のコース料理を頼むと1名分が無料になる
など、プラチナカード並みのサービスを受けられるのが大きな特徴でしょう。
特に、海外・国内旅行保険は、自動付帯である=カードを持っている限り補償が受けられる上に、補償額もかなり大きいです。「旅行の度に保険を契約するのが面倒」という人でも、検討する価値はあるでしょう。
出典:ミライノ デビット PLATINUM(Mastercard) | 商品・サービス | 住信SBIネット銀行
出典:ミライノ デビット PLATINUM(Mastercard) | 商品・サービス | 住信SBIネット銀行
住信SBIネット銀行ミライノ デビット PLATINUM(Mastercard)
発行会社 住信SBIネット銀行
国際ブランド MasterCard
初年度年会費(税込) 11,000円
2年目~年会費(税込) 11,000円
年会費特典 -
発行期間 -
キャッシュバック還元率下限 -
キャッシュバック還元率上限 -
ポイント還元率下限 1.00%
ポイント還元率上限 1.00%
1日最大利用限度額 200万円
不正利用時の補償 ○1000万円
入会資格年齢 15歳以上
2.タカシマヤプラチナデビットカード
老舗百貨店としても有名な髙島屋と、ネット銀行の草分け的存在として有名なソニー銀行が共同で発行しているデビットカードです。年会費は33,000円(税込)とかなり高額ですが、名前の通り、髙島屋各店舗での優待サービスが非常に充実しています。
- メンバーズサロンの利用
- 高島屋各店舗でのレストラン・喫茶室での優待
- 高島屋各店舗での駐車場の無料利用
- 髙島屋での購入品の無料配送
など「髙島屋グループの各店舗をよく使う人」なら、使いこなしたい特典が充実しています。
出典:タカシマヤでの特典|ご利用ガイド/特典|タカシマヤプラチナデビットカード
また、海外旅行保険が自動付帯しています。
出典:海外・国内旅行傷害保険|ご利用ガイド/特典|タカシマヤプラチナデビットカード
カードのステータスによっても異なるケースがある
一方、同じ銀行が発行するデビットカードであっても、付帯サービスが異なるものをいくつか用意し、その充実度=クレジットカードで言うところの「ステータス」によって、年会費を区分するパターンもあります。この仕組みを取り入れている銀行として
- 楽天銀行
- 住信SBIネット銀行
の2つを紹介しましょう。
楽天銀行の場合
楽天銀行は、国際ブランドとしてVisa、JCBが付帯したデビットカードを発行しています。
このうち、JCBの場合は券面のデザインを選択できるだけで、付帯サービス・年会費に差はありません。
出典:楽天銀行のデビットカード(Visa・JCB)|楽天銀行
一方、Visaの場合、以下の画像のように、券面のデザインも違えば、付帯サービス・年会費にも差があります。大きな差としては、楽天銀行ゴールドデビットカード(Visa)・楽天銀行シルバーデビットカード(Visa)であれば「Visaゴールド優待特典」が受けられることでしょう。
出典:楽天銀行ベーシックデビットカード(Visa)|楽天銀行
「Visaゴールド優待特典」とは、国際ブランドのVisaが、提携カード会社が発行するカードのうち、ゴールドカードに相当するものを保有している会員に対し提供している特典のことです。
楽天銀行ゴールドデビットカード(Visa)・楽天銀行シルバーデビットカード(Visa)の場合、以下の特典が受けられます。
Visaプレミアムカーレンタル | Visaが会員向けに提供しているプレミアム輸入車のレンタカーサービス「Visaプレミアムカーレンタル」を15%引きで利用できる。 |
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ザ・コンコルド・ワインクラブ | 完全会員制のワインクラブで買い物ができる。 |
VisaゴールドKaligo | 海外の宿泊施設予約サイト。予約に応じて付与されるマイルが25%アップする。 |
Visaゴールド空港宅配 | 会員が国際線フライトを利用する際、帰国時は、1個目500円(税込)、2個目以降通常料金より15%OFFで、また、出国時は1個目から通常料金より15%OFFで利用できる。 |
Visaゴールド海外Wi-Fiレンタル | 海外でも利用できるWi-Fi機器のレンタル代が25%オフになる上に、空港受取手数料(550円/件)が無料になる。 |
Visaゴールド国際線クローク | 気温の高いところに行く際にコートを預かってもらうなど、空港の手荷物預かりサービスを割引価格で利用できる。 |
これらの特典は、楽天銀行ゴールドデビットカード(Visa)・楽天銀行シルバーデビットカード(Visa)でなくても、国際ブランドとしてVisaが付帯しているゴールドカードであれば、受けられる可能性があるものです。
既にVisaが付帯したゴールドカードを持っている人は、Visaゴールド優待特典が受けられるかどうかを確認しましょう。他のゴールドカードでVisaゴールド優待特典が受けられるようなら、無理して楽天銀行ゴールドデビットカード(Visa)・楽天銀行シルバーデビットカード(Visa)を作る必要はないかもしれません。
年会費が高くても節約になるケースもある
出典:ミライノ デビット(デビット付キャッシュカード) | 商品・サービス | 住信SBIネット銀行
住信SBIネット銀行は、日本でも非常に数少ない、国際ブランドとしてMastercardが付帯したデビットカードを発行している銀行の1つです。同じMastercardが付帯したデビットカードでも
- 住信SBIネット銀行ミライノ デビット(Mastercard)
- 住信SBIネット銀行ミライノ デビット PLATINUM(Mastercard)
とでは、年会費はもちろん、付帯サービス、ポイント付与率など、様々なことが違うと考えましょう。
ここでは、その差を踏まえて「住信SBIネット銀行ミライノ デビット PLATINUM(Mastercard)」を利用したほうが、実は節約になるという話をします。
スマプロのランクについて
住信SBIネット銀行は「スマートプログラム(スマプロ)」といって、同行との取引状況に応じてランクを判定し、そのランクに応じたATM利用手数料、振込手数料の無料優待を行うシステムが存在します。
出典:スマプロランクについて | スマートプログラム | 住信SBIネット銀行
ランクの判定は、以下の表に示されている条件をもとに行われます。
出典:スマプロランク判定条件について | スマートプログラム | 住信SBIネット銀行
そして、注目してほしいのは、同行が発行するクレジットカード・デビットカードのうち、指定されたものを保有していれば、それだけで2ランクアップするということでしょう。つまり
- 一定額以上の外貨預金残高の保有
- 住宅ローンの借り入れ
- ロボアドバイザーによる資産運用
などがなくても、自動的にランク3以上になります。
住信SBIネット銀行をはじめとしたネット銀行は、自前で店舗やATMを構えず、その分で浮いた人件費・物件賃貸料などのコストを、定期預金の金利、ポイント・キャッシュバック率のアップなどの形で利用者に還元しています。
しかし、自前でATMを構えないということは、他社のATMを借りて運営させてもらうということです。住信SBIネット銀行の場合も、コンビニ(ローソン、セブン-イレブンなど)やスーパー(イトーヨーカドー、イオン)などに設置されているATMや、ゆうちょ銀行のATMを使うことになります。そのため、いつ、どこで引き出しても、手数料はかかるのです。
ネット銀行を使う場合は
- 手数料がかかるサービスをなるべく使わない工夫をする
- 手数料がかかる場合は、どうすれば節約できるかを考える
工夫が必要になります。
ここで、住信SBIネット銀行ミライノ デビット PLATINUM(Mastercard)の会員になり、ランク3になった場合、年間でどれだけ手数料が節約できるか考えてみましょう。
例えば、イオン銀行のATMで住信SBIネット銀行の口座からお金を引き出す場合は「一定回数までは無料、それ以上は1回につき110円」という条件が設けられています。
出典:住信SBIネット銀行ATM |イオン銀行ATMなら平日日中お引出手数料0円
また、住信SBIネット銀行の場合、振込手数料は無料回数を超えた場合、1件につき157円(税込)かかる決まりです。
出典:振込・振替 | 手数料のご案内 | 住信SBIネット銀行
ランク1の場合にくらべ、ランク3になると節約できる手数料は以下の通りです。
ATM手数料の節約分 | ( 月7回 ー 月2回 ) × 110円 × 12カ月 = 6,600円 |
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他行宛て振込手数料の節約分 | ( 月7回 - 月1回 ) × 157円 × 12カ月 = 11,304円 |
つまり、年間で合計17,904円節約できる計算になります。年会費が11,000円なので、7,000円近くお得になるのです。