海外のATMでキャッシングをするには?
日本で発行されたクレジットカードを使って、海外の空港・ショッピングセンター等に設置されたATMから現金=現地通貨を引き出すことができます。
ただし、注意点として、
- クレジットカードとATMのマークをチェックする
- クレジットカードは複数枚持っていく
の2点があげられるので、詳しく説明しましょう。
1.クレジットカードとATMのマークをチェックする
日本で発行されたクレジットカードのほとんどに、国際ブランドが付帯しています。
現在、以下の7つが7大国際ブランドとして知られています。
- Visa(ビザ)
- Mastercard(マスターカード)
- JCB(ジェーシービー)
- AmericanExpress(アメリカン・エキスプレス)
- Diners(ダイナース)
- Discover(ディスカバー)
- UnionPay(ユニオンペイ、銀聯カード)
国際ブランドについては、この記事で詳しく説明しています!
海外のATMで、日本で発行されたクレジットカードを使ってキャッシングをする際は、ATMについているマークを確認しましょう。マークがついていれば、(基本的には)そのATMから引き出しができるということです。
見たことがないマークがついているけど……?
出典:当社ブランド「Mastercard、Maestro、Cirrus」の詳細
国際ブランド(を運営する企業)は、クレジットカードの決済システムのほかに、
- 各国金融機関ATMのオンラインネットワーク
- 系列のデビットカードブランド
も同時に保有しています。
PLUS | 国際ブランドのVisaに対応する各国金融機関ATMのオンラインネットワーク。 |
---|---|
Maestro | 国際ブランドのMastercardが運営するデビットカードブランド。 |
Cirrus | 国際ブランドのMastercardに対応する各国金融機関ATMのオンラインネットワーク。 |
つまり、
- Visaが付帯したクレジットカードを持っていれば、Visa、PLUSのマークがあるATMで使える。
- Mastercardが付帯したクレジットカードを持っていれば、Mastercard、Maestro、CirrusのマークがあるATMで使える。
ということです。
なお、JCBが付帯したクレジットカードでも、CirrusのマークがついているATMで利用できます。
自分が持っているクレジットカードが、どのマークがあるATMで使えるのかは、カードの裏面を見るとわかりますよ。
2.クレジットカードは複数枚持っていく
キャッシングをする、しないにかかわらず、海外旅行・出張に行く場合は、クレジットカードは複数枚持っていくのをおすすめします。
理由は次の通りです。
- 地域によって使いづらい国際ブランドがある
- 対応したATMが見つからない場合もある
- クレジットカード自体が使えなくなることもある
1.地域によって使いづらい国際ブランドがある
Visa、Mastercardを除いた国際ブランドの場合、地域によって使いづらい場合もあります。例えば、国際ブランドの1つであるJCBの場合、日本人がよくいく観光地や東南アジア・ハワイでは問題なく使えますが、そのほかの地域だとやや使いづらいのも事実です。
フィンランドはJCBカード使えないからみんな気をつけて
— 加藤晃彦 (@ponyoyaki) September 5, 2019
また、AMEXも、地域によっては使い勝手がよくありません。
無事simをゲットしてエアビーへ。毎回思うけど、ウラジオ行く際にはいくらかルーブルは持っておいた方が良い。ただし、成田のレートは非常に悪いのでドルかユーロを持っていって現地で両替するのが良いかと。クレカはAMEXはほとんどの店で使えない。JCBも使えない所が多いのでVISA・MASTERが確実。
— 金髪の達人🇷🇺 (@blondemaster610) September 11, 2019
ダイナースも同様です。
ちなみに フランスでは アメックス(店舗負担手数料が高いそうで)使えない店多いです。
ダイナースOKは、ごくごく稀に奇跡的に存在する程度。
(三つ星レストラン 5つ星ホテルは別として…) https://t.co/H1FCJuGVHw
— recettes de kimiko (@kimiko_france) May 3, 2019
JCB、AMEX、ダイナースをメインカードにしている場合は、VisaかMastercardが付帯したものをサブカードとして持っていきましょう。
2.対応したATMが見つからない場合もある
運次第の部分もありますが、自分が持っているクレジットカードに対応したATMが見つからない場合もありえます。地図やカード会社が提供する検索システム、スマートフォンのナビを使えば見つけられるかもしれませんが、慣れない場所だとうまくいかないのも事実です。探すのに疲れてしまったときに見つけたATMでさっとキャッシングできるよう、クレジットカードは複数枚あったほうが便利でしょう。
なお、Visa、Mastercard、JCBの公式ページで、現在地から対応したATMを探せるサービスも提供されています。
クレジットカード自体が使えなくなることもある
どんなに気を付けていても、クレジットカードを盗まれたり、なくしてしまったりする可能性は0にはできません。また、クレジットカード自体は手元にあっても、実は磁気不良、ICチップ不良で使えない……なんてこともありうるのです。旅行に行く国によっては、不正利用防止のために、キャッシング自体が止められてしまうケースもあります。
そういえばこちらの件、カード会社に確認したところメキシコ行き航空券代金の高額決済でセキュリティで引っかかり、不正防止で海外でのキャッシングが止められてました。それ自体はありだとしても止めた事は事後に報告して欲しかった。結構な不安に襲われたし、海外からの通話の料金も馬鹿にならないし
— 549 (@happy_z0mbie) September 3, 2018
このようなトラブルが起こったときに、クレジットカードを1枚しか持っていなかったら、旅行自体が立ち行かなくなってしまいます。
- クレジットカードは複数枚持っていくこと
- 緊急時の連絡先を控えていくこと
の2点を忘れないようにしましょう。
海外ATMの基本的な操作方法
海外でキャッシングをスムーズに済ませるために、基本的な操作方法を予習しておきましょう。大まかな流れは、次の通りです。
- 使用言語を選択する
- ATMにカードを入れる
- 現地通貨を引き出す
- 操作を完了する
こちらのシミュレーションをもとに説明します!
1.使用言語を選択する
海外のATMは、表示される言語を選択できる機能がついていることがあります。日本語があれば、選択して操作を進めましょう。一方、日本語がない場合でも、英語は入っている場合が多いです。その際は、英語を選択しましょう。
2.ATMにカードを入れる
ATMの順番が来たら、まずはクレジットカードを入れましょう。4桁の暗証番号(PIN)の入力を求められるので、テンキーで入力し、最後に「Enter/YES」を押しましょう。
出典:海外ATM活用パーフェクトガイド | Mastercard®
暗証番号が正しく入力されていれば、画面が切り替わります。
暗証番号が4桁じゃない場合は?
国によっては、ATMで入力を求められる暗証番号が4桁でない場合もあります。主な国名と対処法をまとめました。
中国・香港・台湾・インドネシア・ タイ・韓国・マレーシア・フィリピン・シンガポール |
機種により6ケタの入力表示があるが、4ケタの暗証番号入力後にENTERキーを押すと次に進む。 |
---|---|
ベトナム | 機種により6ケタの入力表示があるが、4ケタの暗証番号入力後に「0」を2回入力し、ENTERキーを押すと次に進む。 |
イタリア | 機種により5ケタの入力表示があるが、4ケタの暗証番号入力後にENTERキーを押すと次に進む。 |
出典:海外のATMの操作方法|クレジットカードなら、JCBカード
3.実際に引き出す
出典:海外ATM活用パーフェクトガイド | Mastercard®
取引内容の選択画面になるので、
- CREDIT CARD WITHDRAWAL(現金お引き出し)
- TRANSFER(振り込み)
- BALANCE INQUIRY(残高照会)
の3つから、CREDIT CARD WITHDRAWAL(現金お引き出し)を選びましょう。
出典:海外ATM活用パーフェクトガイド | Mastercard®
次に、口座の選択画面になるので、
- CHECKING(当座預金)
- SAVING(預金)
- CREDIT CARD(クレジットカード)
から、CREDIT CARD(クレジットカード)を選びましょう。
次に、金額の選択画面に映ります。ATMによって違いはありますが、引き出せる金額の一覧が表示されるので、選び、「Enter/YES」を押してください。
出典:海外ATM活用パーフェクトガイド | Mastercard®
4.操作を完了する
出典:海外ATM活用パーフェクトガイド | Mastercard®
出典:海外ATM活用パーフェクトガイド | Mastercard®
出典:海外ATM活用パーフェクトガイド | Mastercard®
処理が正常に完了すると、
- 現金
- レシート
- クレジットカード
が手元に戻ってきます。忘れ物がないようにしましょう。
また、続けて取引をするかどうか聞かれるので、続ける場合は「Yes」、続けない場合は「No」を選びましょう。
【付録】ATMで使われている英単語のまとめ
英語表示のATMで使われている英単語をまとめました。
ATMで使う英単語集
英語 | 日本語 |
---|---|
BALANCE | 残高照会 |
CHECKING | 当座預金 |
CREDIT | クレジットカード |
ENTER | 入力 |
OTHER | その他 |
PIN | 暗証番号 |
SAVINGS | 預金 |
SELECT DISPENSE AMOUNT | 引き出し金額を選択 |
SELECT SOURCE ACCOUNT | 口座選択 |
TRANSACTION | 取引 |
TRANSFER | 振り込み |
WITHDRAWAL | 引き出す |
両替とキャッシングのどちらが得なのか?
両替手数料の決まり方
海外・日本国内にある両替所で両替をする際は、両替手数料がかかります。前提になる知識として、TTSとTTBについておさえましょう。
TTSとTTB
両替や外貨預金の際に使われる為替相場には、
- 円貨から外貨に両替する際の為替レート(TTS:対顧客電信売相場)
- 外貨から円貨に戻す際の為替レート(TTB:対顧客電信買相場)
の2種類があります。
実際のところ、為替相場は刻々と変化するものです。しかし、それに合わせて両替所や銀行等の金融機関の窓口での交換レートを変えてしまうと、手続きが非常に複雑になってしまいます。
そこで、その日の朝の時点での為替相場を仲値(TTM、Telegraphic Transfer Middle rate)として定め、これに手数料を上乗せしたり、差し引いたりして、両替業務を行っているのです。
出典:為替手数料のしくみを知っておこう | わかっておきたい投資のこと | man@bowまなぼう
手数料を計算してみよう
これは、ある両替業者の2019年9月13日のレートです。
出典:本日のレート / rate|ワールドカレンシーショップ
この日のレートですが、
- TTS(日本円からアメリカドルに替えるときのレート):1ドル=111.05円
- TTB(アメリカドルから日本円に替えるときのレート):1ドル=105.25円
となっています。したがって、仲値は108.15円=1ドルとなります。つまり、1ドルにつき2.9円の両替手数料がかかっているのです。
たとえば、2019年9月13日に、10万円をアメリカドルに両替した場合、何ドル受け取れるか考えてみましょう。
約900ドルとし、両替手数料を計算してみましょう。
同じ条件でキャッシングすると?
一方、ほぼ同じ以下の条件でキャッシングし、帰国後すぐの引き落とし日に一括返済した場合、キャッシング手数料はいくらかかるかも計算してみましょう。
- 借入金額:10万円
- 返済方式:元利一括返済
- 実質年率:18.0%
- 利用予定日:2019年9月13日
- 返済予定日:2019年10月10日
この場合、総返済額は101331円となりました。つまり、1331円がキャッシングの手数料にあたります。
帰国後はすぐに返済すること
海外のATMでキャッシングをしたほうが、日本もしくは海外の両替所で両替をするより、手数料が安いのは事実です。
ただし、日本に戻ってきてすぐに返済すれば、の話です。キャッシングの手数料は、借り入れ日から時間がたつほど、比例して金額が増えていきます。
海外ATMでトラブルに巻き込まれないための6つのポイント
ここまでの内容を踏まえて、海外ATMでのキャッシングをする際に、トラブルに巻き込まれないためのポイントを考えてみました。
1.暗証番号は絶対に忘れないようにする
言うまでもありませんが、ATMでキャッシングをする際は、暗証番号が必要です。暗証番号は絶対に忘れないようにしましょう。
特に、
- 日本国内ではキャッシングをしたことがない
- 普段の買い物はサインで済ませている
人は要注意です。
さらに、暗証番号を忘れてしまったからといって、やみくもに再入力すると逆効果になります。
- 日本を出発する前に暗証番号を確認する
- 思い出せない場合は、再設定手続きを済ませる
- 緊急連絡先等のリストを紙で作る際に、項目として入れておく
などの工夫をしましょう。
また、そもそも忘れにくい暗証番号を設定するのも必要です。
- 家族、好きな芸能人の誕生日
- 勤務先の会社の創立記念日
- 結婚記念日
など、他人からは推測されにくいけど、覚えやすい数字を選ぶといいでしょう。
旅行会社から届いた資料読んでると、準備不足な面も判ってかなり役立つ。両替も現地はレートが悪いので日本でやって、クレジットカードは最低2枚は持っていった方がいいらしいので、もう一枚の暗証番号確認しなくては。。←忘れたw汗
欧州は初めてなので、ワクワクするより、少々緊張気味w笑— 渡ひろこ (@hirorin55) June 5, 2019
2.絶対にATMから離れない
ATMの操作を始めたら、絶対にATMから離れてはいけません。仮に、誰かから話しかけられたとしても(状況次第ですが)、言葉がわからないふりをして無視しましょう。話しかけて気を取られたすきに、現金とクレジットカードを盗むという手口もあるのです。
また、ATMから現金やクレジットカードが戻ってこないときは、
- そのATMの連絡先(銀行やショッピングセンター、スーパーの中にあるときは店員)
- クレジットカード会社
に連絡しましょう。
3.レシートは必ず持ち帰る
海外でも国内でも、ATMでキャッシングをした場合は、レシート(利用明細)が出てきます。万が一、トラブルがあった際に利用履歴を立証する重要な証拠になるので、利用額の引き落としがあるまで取っておきましょう。
4.暗証番号を覗かれないようにする
ATMを操作するときは、周囲を見回し、怪しい人がいないかどうか確かめてください。また、暗証番号を入力するときは、手元を隠すなどして、覗かれないようにしましょう。暗証番号だけでなく、クレジットカード番号や有効期限も見ている可能性があるためです。
「CCTV Operating」などのステッカーが貼ってありますよ!
5.人通りの少ない場所にあるATMは避ける
怪しい人がいそうなところを避ける、という意味では、ATMがある場所も重要です。人通りがあまりに少ない場所にあるATMは、なるべく使わないようにしましょう。
何か起こったときに助けを求められるという点では、昼間に金融機関や空港にあるATMでキャッシングするのが一番安全です。海外のATMでは、日本では考えられないような犯罪が起こる場合もあります。気を付けるに越したことはありません。
ロシアのATMからお金を奪う方法が、プロパンガス爆破(^_^;)
おそロシア!ハイテクじゃないし、原始的
それでこそロシア pic.twitter.com/h0X52Tyv56— とらっち (@toracchii) November 19, 2014
6.多額の現金は引き出さない
どこの国に行くかにもよりますが、高額の支払いをする際は、クレジットカードでの支払いができる場合がほとんどです。現金が必要になるのは、少額のちょっとした支払いのときだけ、というのも往々にしてあります。
このような実情を考えても、多額の現金を持ち歩く必要は、あまりないかもしれません。
- できる限りクレジットカードで払う
- キャッシングをする際は、多額の現金を引き出さない
など使い方を工夫しましょう。
まとめ
海外旅行に行く際は両替……と当たり前に考えてしまうかもしれません。しかし、実際は、
- 空港に着くまでに時間がかかった
- 街中で両替所が見つけられなかった
- 両替所はあったけど、日本円に対応していなかった
など、思うように両替ができない場合もあります。
一方、キャッシングであれば、対応したATMさえ見つかれば、すぐに現地通貨で現金が手に入れられるので、非常に便利です。キャッシングである以上利息はかかりますが、日本に戻り次第、早めに繰り上げ返済するなど、工夫しながら使いこなしましょう!