日本で初めてゴールドカードが発行されたのは、1980年のことでした。当時はクレジットカード自体が富裕層にターゲットを絞ったビジネスであったため、ゴールドカードの希少価値も今とは比べものにならないくらい高かったのです。しかし、今は(少なくとも日本においては)クレジットカード自体が一般的なものとなり、ゴールドカードの相対的な位置づけも下がりました。しかし、いわゆる一般カードにはないメリット・デメリットがあるのも事実です。そこで今回の記事では、ゴールドカードについて、位置づけ、審査基準、メリット・デメリットなどを詳しく解説します。
クレジットカード全体でのゴールドカードの位置づけとは
最初に、クレジットカード全体を見た場合、ゴールドカードはどのように位置づけられるクレジットカードか考えてみましょう。
一般カードの1つ上のステータス
一般的に、クレジットカードのステータス(会員ランク)は以下のようになっています。
上からブラック→プラチナ→ゴールド→一般と考えましょう。ちなみに、ゴールド、プラチナ、ブラックなどの名前は、クレジットカードの券面によく使われている色に由来します。実際は、ステータスがブラックであるにも関わらず、券面が金色(ゴールド)というクレジットカードもあるので、あくまで参考程度に考えてください。
アメックスまとめ
グリーン→ゴールド→プラチナ→センチュリオン=チタン→クリスタル or スケルトン or パープル— eichan@投資生活 (@tweichan0204) February 28, 2015
ゴールドカードは、一般カードのすぐ上のステータスを有するクレジットカードと考えましょう。
昔ほど審査に通るのは難しくない
冒頭でも触れた通り、昔はクレジットカード自体が一部の富裕層をターゲットとしたビジネスとしての性質を有していました。そのため、一般カードに相当するものであっても、審査に通らないことは往々にしてあったのです。このような状況の中で、ゴールドカードの審査に通るのはかなり難しかったことは、容易に想像がつくでしょう。
しかし、今ではクレジットカード自体が大衆的なものになりました。学生、主婦、年金生活者など、仕事をしていなくても、支払能力に問題がないと判断されれば、十分、クレジットカードを作ることは可能です。また、ゴールドカードのさらに上を行くステータスのクレジットカードとして、プラチナ、ブラックなどの上位カードの発行をしているクレジットカード会社も多く存在します。
提携カードとプロパーカードでも差がある
同じゴールドカードであっても、どんな会社が発行しているかどうかも、審査の難易度に影響することに説明しましょう。
クレジットカードを「どんな会社が発行しているのか」で大きく分けると、提携カードとプロパーカードに分かれます。
提携カード | クレジットカードの国際ブランド(決済システム)を運営する会社と外部企業が提携して、外部企業の名前を冠して発行するクレジットカード |
---|---|
プロパーカード | クレジットカードの国際ブランド(決済システム)を運営する会社が自前で発行するクレジットカード |
提携カードは、提携先である外部企業の商品・サービスの利用につなげるために発行されるクレジットカードです。そのため、経営上許容できる範囲であれば、より多くの人にクレジットカードを持ってもらうことを目指してサービスの運用を行っています。一方、プロパーカードにはそのような目的は基本的にありません。このため「会員から請求額を回収できない」というリスクを低減することを最優先にサービスの運用が進められるのです。当然、同じステータスであれば、プロパーカードのほうが、提携カードに比べると審査は格段に厳しくなります。
ゴールドカードの審査基準とは
ゴールドカードの審査は、昔に比べるとはるかに簡単になっています。実際のところ、どんな基準で審査が行われるのでしょうか。
一般カードよりは厳しい
全体的なことを言うと、一般カードより厳しい=条件が細かくなっている、と考えましょう。例えば、同じ三井住友カードが発行するクレジットカードでも、一般カードに相当するものと、ゴールドカードに相当するものでは、申し込める人の条件がこれだけ違うのです。
一般カード「三井住友カード」 | 満18歳以上(高校生は除く) |
---|---|
ゴールドカード「三井住友カード ゴールド」 | 満30歳以上で、安定継続収入があること |
「継続安定した収入があるか」が最も大事
また、ゴールドカードの審査において重視されるのは「本人に安定継続した収入があるか」です。詳しくは後述しますが、ゴールドカードは一般カードに比べると、利用限度額が高く設定される傾向にあります。そのため、本人に安定継続した収入があるかないかを主眼においた審査が行われます。
ゴールドカードのメリットとは
ゴールドカードの具体的なメリットについて考えてみましょう。次の4点について解説します。
- 付帯サービスが充実している
- 海外旅行保険の内容が充実している
- 利用限度額の上限が高い
- 周囲から好印象を持たれる
1.付帯サービスが充実している
一般カードと比べると、ゴールドカードは付帯サービスが充実していることが多いです。具体例としては
- ポイントの有効期限が無期限になる
- 専用の問い合わせデスクが使える
- ホテル、旅館の優待プランが用意されている
などが挙げられます。
国内空港ラウンジが利用できる
比較的多くのゴールドカードで設けられている特典の1つが、国内空港ラウンジの利用です。例えば、三井住友カード ゴールド/三井住友カード ゴールドの場合、以下の空港のラウンジが利用できます。
地域 | 空港名 |
---|---|
北海道 | 新千歳空港 函館空港 旭川空港 |
東北 | 青森空港 秋田空港 仙台国際空港 |
中部 | 新潟空港 富山空港 小松空港 中部国際空港 富士山静岡空港 |
関東 | 成田国際空港 羽田空港 |
近畿 | 伊丹空港 関西国際空港 神戸空港 |
中国 | 岡山空港 広島空港 米子空港 山口宇部空港 出雲縁結び空港 |
四国 | 徳島空港 高松空港 松山空港 |
九州 | 福岡空港 北九州空港 長崎空港 大分空港 熊本空港 宮崎空港 鹿児島空港 |
沖縄 | 那覇空港 |
海外 | ダニエル・K・イノウエ国際空港(ハワイ) |
2.海外旅行保険の内容が充実している
海外旅行保険が付帯しているクレジットカードは多く存在します。しかし、全体的にゴールドカードのほうが、一般カードに比べると補償内容が充実していることが多いです。
三井住友カードと三井住友カード ゴールドで比較
例えば、三井住友カードと三井住友カード ゴールドの海外旅行保険を比較してみましょう。
担保項目 | 三井住友カード | 三井住友カード ゴールド |
---|---|---|
傷害死亡・後遺障害 | 最高2,000万円(利用付帯) | 最高5,000万円(利用付帯) |
傷害治療費用(1事故の限度額) | 50万円 | 300万円 |
疾病治療費用(1疾病の限度額) | 50万円 | 300万円 |
賠償責任(1事故の限度額) | 2,000万円 | 5,000万円 |
携行品損害 [自己負担:1事故3,000円](1旅行中かつ1年間の限度額) |
15万円 | 50万円 |
救援者費用(1年間の限度額) | 100万円 | 500万円 |
補償内容が格段に違うのがわかるはずです。海外旅行保険の補償額を多くしたいなら、ゴールドカードを選んだほうが満足はいくでしょう。
3.利用限度額の上限が高い
ゴールドカードと一般カードを比べると、ゴールドカードのほうが一般カードに比べて利用限度額の上限は高くなっています。ここでも、三井住友カードと三井住友カード ゴールドについて比べてみましょう。
項目/カード名 | 三井住友カード | 三井住友カード ゴールド |
---|---|---|
総利用枠 | ~100万円 | ~200万円 |
カード利用枠(カードショッピング) | ~100万円 | ~200万円 |
リボ払い・分割払い利用枠 | 0~100万円 | 0~200万円 |
キャッシング利用枠 | – | – |
総利用枠の上限だけとってみても、三井住友カードが100万円であるのに対し、三井住友カード ゴールドの場合は200万円にまでなっています。
4.周囲から好印象を持たれる
海外にも目を向けてみると、貧困層の人がクレジットカードはおろか、銀行口座も持てないというのは珍しくありません。是非はともかくとして、銀行口座やクレジットカードを持つことが、社会的な信用の尺度の1つになっているのは間違いないでしょう。日本も海外ほど露骨ではありませんが、「お金に関すること」が社会的な信用の尺度になっているのは確かです。
ゴールドカードは昔ほど希少価値のあるものではなくなったとは言え、やはり、ある程度「お金にちゃんとした人」でなくては持つことができません。そのため、ゴールドカードを持っている人に対しては、周囲が好印象を抱くのも珍しくないのです。
ゴールドカードを持っているとかっこいいといわれる3つの理由。「かっこいい」と言われたい人におすすめのゴールドカードも紹介
ゴールドカードのデメリットとは
一方、ゴールドカードにもデメリットがあります。ここでは
- 年会費が高い
- 浪費につながることもある
の2つについて、考えてみましょう。
1.年会費が高い
ごくまれに、年会費が無料だったり、格安(2,000円程度)だったりするゴールドカードもありますが、往々にしてゴールドカードの年会費は高いです。1万円程度のものが多いですが、中にはアメリカン・エキスプレス・ゴールド・カードのように、年会費が31,900円(税込)するものもあります。「クレジットカードは使えればいい」という人なら、年会費にそれだけの金額を支払うことに納得がいかないかもしれません。
元を取れるかを考える
これだけ年会費が高いのだから、付帯している特典はできるだけフル活用しないともったいないです。ゴールドカードを作る際は
- 申し込みをする際にどんな特典が付帯しているのかを確認する
- 審査に通ったら、ゴールドカードの特典を実際に使ってみる
などして「宝の持ち腐れ」にならないようにしましょう。
2.浪費につながることもある
具体的な限度額は人によって異なりますが、一般カードよりもゴールドカードのほうが、利用限度額が高くなる傾向にあります。しかし、利用限度額が高くなるということは「手元にお金がなくても高い買い物ができてしまう」という意味でもあるのです。調子にのって買い物をしてしまい、結果として延滞・滞納を繰り返してしまうと、最終的に個人信用情報に異動情報が登録されてしまう恐れもでてきます。
限度額をあえて下げてもらうのもあり
利用限度額を上げてもらうのは、支払能力の調査を行った上でクレジットカード会社が判断を下すことになるので、なかなかうまくいかないこともあります。しかし、逆に利用限度額を下げるのは、事情を話せば比較的スムーズにいくはずです。
海外旅行や引っ越しなど、一時的に出費が増えそうなイベントがある場合は、早めにクレジットカード会社に相談しましょう。
ゴールドカードの選び方とは
最後に、ゴールドカードの選び方について考えてみましょう。選び方にもいろいろありますが、ここでは比較的わかりやすいものとして
- 特典の中身で選ぶ
- ステータス性で選ぶ
の2つについて解説します。
1.特典の中身で選ぶ
ゴールドカードの中には
- 特定の加盟店での買い物の際にポイント還元率がアップする
- 空港の専用カウンターでのチェックインができる
- 携帯電話料金の支払いに使うとポイント還元率がアップする
など、そのカードならではの特典が設けられているものもあります。例えば「自分は旅行が好きだから、旅行に強いゴールドカードが欲しい」という選び方をしてもいいわけです。
2.ステータス性で選ぶ
昔に比べると価値は相対的に下がったとは言え、ゴールドカードを持てるだけの信用がある、というのは周囲からの高評価につながります。そのように「周囲からの信用」を重視してゴールドカードを作るなら、提携カードよりもプロパーカードを選んだほうが、何かとうまくいくでしょう。
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