本来、マイルおよびマイレージプログラムは、航空会社が顧客囲い込みのために始めたものです。そのため、当初は自社の航空便への搭乗でしか、マイルを貯めることができませんでした。
しかし、今では、航空便への搭乗はもちろん、街中の店舗やオンラインショッピングでクレジットカードを利用することで得られるポイントも活用し、マイルを手に入れられます。
クレジットカードでできるマイルの貯め方7選
クレジットカードでできるマイルの貯め方として、
- 加盟店で買い物する
- 公共料金の支払いに使う
- 電子マネーにチャージする
- 特約店を使う
- 飛行機に乗る
- 提携ホテルを使う
- 提携ポイントから交換する
の6つが挙げられます。
それぞれの方法について、詳しく解説しましょう。
1.クレジットカードでで買い物する
JALが発行するクレジットカード=JALカードの場合、付帯している国際ブランド(例:Visa)の加盟店で買い物をするだけでマイルが貯まります。日頃の買い物はできるだけクレジットカードで済ますようにするだけで、1年間で貯まるマイルの数が全く違ってくるはずです。
2.公共料金の支払いに使う
電気、ガス、水道など、毎月発生する公共料金の支払いも、できるだけクレジットカードで済ませましょう。
3.電子マネーにチャージする
- nanaco
- 楽天Edy
- Suica
など、プリペイド型の電子マネーにクレジットカードでチャージすることでも、マイルやポイントが貯まります。
4.特約店を使う
JAL、ANAなどの航空会社も含め、クレジットカードの発行会社の多くは「特約店」のシステムを導入しています。簡単に言うと、「特定の店舗で利用した場合、クレジットカード決済によるポイント・マイルに加えて、追加でポイント・マイルを付与する」システムです。
5.飛行機に乗る
JAL、ANAなどの航空会社が発行するクレジットカードの場合、飛行機の搭乗によってもマイルが付与される仕組みが導入されていることが多いです。より具体的に説明しましょう。
JALカードの場合
JALの場合、JAL運航便への搭乗により付与されるマイルとして、
- 入会搭乗ボーナス
- 毎年初回搭乗ボーナス
- 搭乗ごとのボーナス
の3種類を設けています。
それぞれ、何マイル付与されるのかを表にしてまとめました。
ボーナス/カードの種別 | 普通カード/JALカード navi | CLUB-Aゴールドカード/JALダイナースカード/プラチナ |
---|---|---|
入会搭乗ボーナス 入会後初めての搭乗時に付与される(1回のみ) |
1,000マイル | 5,000マイル |
毎年初回搭乗ボーナス 入会搭乗ボーナス獲得年の翌年以降、 毎年最初の搭乗時にプレゼントされる |
1,000マイル | 2,000マイル |
搭乗ごとのボーナス | フライトマイルの10%プラス | フライトマイルの25%プラス |
ANAの場合
ANAの場合、飛行機への搭乗により付与されるマイルとして、ANA便搭乗ごとの割り増しボーナスマイルが付与されます。付与されるマイルはカードの種類によって決まる仕組みです。カードの種類およびマイルの計算方法を表にまとめました。
対象カード | ANA便搭乗ごとのボーナスマイル |
---|---|
ANAカード一般 | 区間基本マイレージ×クラス・運賃倍率×10% |
ANAワイドカード | 区間基本マイレージ×クラス・運賃倍率×25% |
ANAゴールドカード | 区間基本マイレージ×クラス・運賃倍率×25% |
ANAカードプレミアム | 区間基本マイレージ×クラス・運賃倍率×50% |
6.提携ホテルを使う
特約店と同様、特定のホテルで宿泊した場合、クレジットカード決済によるポイント・マイルに加えて、宿泊によるマイル・ポイントが付与されることがあります。
7.提携ポイントから交換する
クレジットカード会社のポイントから、マイルに交換することもできます。詳しくは後述しますが、クレジットカード会社ごとに対応状況が異なるので、気を付けましょう。
クレジットカードで買い物する際のポイント
日本で発行されるほとんどすべてのクレジットカードには、国際ブランドが付帯しています。その加盟店で買い物をする際のポイントについて、詳しく解説しましょう。
1.ポイント・マイルの付与条件を確認する
クレジットカードを利用して、マイルを貯める際に確認しなければならないのは「マイル還元率」です。
マイル還元率とは
ですので
ということになります。
クレジットカードには
- マイルが直接貯まるクレジットカード
- 貯めたポイントをマイルに交換できるクレジットカード
の2種類がありますが、どちらも「マイル還元率」が計算できるので、できるだけマイル還元率の高いクレジットカードを利用する必要があります。
2.ポイント・マイルの付与率がアップする日・期間を狙う
クレジットカードの中には、特定の日に買い物をすることで、クレジットカード決済によるポイント・マイルの付与率がアップするものがあります。
例えば、日本全国でスーパー、ショッピングモールを運営するイオンのハウスカードであるイオンカードの場合は、毎月10日を「ときめきWポイントデー」に設定しています。毎月10日にイオンカードで買い物をした場合、ポイント付与率が2倍になるのです。
出典:毎日のお買い物でおトクにポイントゲット!|イオンカード 暮らしのマネーサイト
通常 | 利用額200円につき1ポイント(ときめきポイント)付与 |
---|---|
毎月10日 | 利用額200円につき2ポイント(ときめきポイント)付与 |
3.共通ポイントプログラムも確認する
国際ブランドの加盟店で買い物をする際は、そのお店で導入されているポイントプログラムも確かめましょう。ポイントの多重どりができるためです。例えば、ドラッグストア大手のマツモトキヨシの場合、
- マツモトキヨシのポイントプログラム
- dポイント
が全店で導入されています。さらに、JR東日本の駅構内の商業施設に入居しているマツモトキヨシでは、これらに加えてJREポイントも導入されているのです。
やはり、様々なポイントが一度の買い物で獲得できるのに越したことはありません。
公共料金の支払いに使う際のポイント
- 電気
- ガス
- 水道
などの公共料金や
- 住民税
- 所得税
などの税金、もしくは社会保険料をクレジットカードで支払うことで、絶対に支払う必要がある費用でマイルを貯めることができるのです。
ポイントは
- 自治体によっては対応していない場合がある
- 1~2か月ほど時間がかかる場合もある
の2点なので、詳しく解説しましょう。
1.自治体によっては対応していない場合がある
公共料金や税金をクレジットカードで支払いたくても、自分が住んでいる地域がクレジットカードでの支払いに対応していないケースもあります。こちらの表を見てください。
口座振替 | 1,783団体 |
---|---|
1億3,442万件 | |
コンビニ収納 | 1,226団体 |
1億52万件 | |
クレジットカード納付 | 236団体 |
208万件 | |
ペイジー | 98団体 |
1,030万件 |
出典:総務省自治税務局「地方税における収納・徴収に関する取組について」
これは、日本全国の市区町村で使われている「税金の支払い方法」をまとめた表です。
ちなみに、この報告書が出された2019年3月現在、全国には1788の市区町村が存在します。その中で、クレジットカードによる納付を受け付けているのは、約13%にあたる236の市区町村でしかないのです。
2.1~2か月ほど時間がかかる場合もある
先ほどの納付手段の表を見てもわかるように、公共料金や税金の支払いは、口座振替が用いられることがほとんどです。このため、口座振替からクレジットカード納付に切り替える際は、所定の手続きが必要になります。
例えば、国民年金保険料の支払いをクレジットカードで行う際の手続きにかかる時間については、日本年金機構のホームページに記述があります。
納付開始月
手続きに1カ月程度かかります。
納付開始月については、はがき(クレジットカード納付のお知らせ)でご連絡します。
電子マネーにチャージする際のポイント
- 楽天Edy
- nanaco
- Suica
- iD
- QUICPay
などの電子マネーにクレジットカードでチャージをする際のポイントについて解説しましょう。
1.チャージでポイントが付与されるか確認する
マイル、ポイントを貯めることが目的で電子マネーにクレジットカードでチャージをする際に、真っ先に確認すべきことがあります。「電子マネーへのチャージでポイントが付与されるか」です。
例えば、大手家電量販店・ヨドバシカメラのハウスカードであるゴールドポイントカード・プラスの場合、ポイントが付与されないケースとして、以下の説明がなされています。
Q.クレジット決済ポイント(+1%)が還元されない取引はありますか?
A.以下のご利用は、ポイント還元対象外となります。・電子マネー(Edy・nanaco・dカードプリペイド)のチャージ
・募金、寄付
・利息、手数料
・年会費
・キャッシングのお借入
出典:ゴールドポイントカード・プラス GOLD POINT CARD + | 株式会社ゴールドポイントマーケティング
また、電子マネーへのチャージでポイントが付与されるクレジットカードであっても、1カ月のポイント付与対象となる利用金額に上限が設けられているケースもあるので、注意が必要です。、
例えば、リクルートカードの場合は、このような条件が設けられています。
2018年4月16日(月)より、以下の対象となる電子マネーチャージご利用分については、ご利用金額の合算で月間30,000円までがポイント加算の対象となります。 合算で30,001円以上のご利用分はポイント加算の対象外となります。
なお、ご利用金額の対象はそれぞれの電子マネーの合計金額ではなく、すべての電子マネーの合算金額です。※月間集計期間は毎月16日~翌月15日となります。
※2018年4月15日(日)以前のご利用分でも、2018年4月16日(月)以降に売上データがカード会社へ到着した場合、上記の対象となります。対象となる電子マネーチャージ
【JCBブランド】
nanaco(ナナコ)、モバイルSuica
【Mastercard(R) / Visaブランド】
nanaco(ナナコ)、楽天Edy、モバイルSuica、SMART ICOCA
出典:【重要なお知らせ】リクルートカードにおける電子マネーチャージご利用分のポイント加算対象の改定について
2.貯まったポイントがマイルに移行できるか確認する
電子マネーへのチャージによりポイントが貯まったとしても、マイルに移行できるかどうかは、クレジットカード会社により扱いが異なります。JAL、ANA以外の航空会社も含め、考えられるパターンとして、
- JALマイルに交換できる
- ANAマイルに交換できる
- ANA、JAL以外のマイルに交換できる
- どこの航空会社のマイルにも交換できない
の4つがあります。
3.一度に多額をチャージしない
ポイントやマイルと直接の関係はありませんが、電子マネーの扱いについて、注意すべき点があります。それは、「一度に多額をチャージしない」ことです。
万が一、電子マネー(プラスチックのカードもしくはアプリがインストールされたスマホ)を紛失した場合、紛失した時点での残高の扱いについては、各社で対応が分かれます。
例えば、楽天Edyの場合は
楽天Edyに残高が残っている方
楽天Edyカードを紛失した場合、以前のカードの残高を移行することはできません
出典:再発行したクロネコメンバーズ楽天Edyカードが届きましたが、前のカードに残っていた残高を移行することはできますか? |楽天Edy| クロネコメンバーズ | ヤマト運輸
という扱いになっているため、紛失には特に注意が必要です。
特約店を使う際のポイント
JALカード、ANAカードのように、航空会社が発行するクレジットカードを含め、クレジットカード会社の多くで特約店のシステムが導入されています。
この特約店を使う際のポイントについて、
- 日常の買い物を特約店にまとめる
- マイル付与率がアップするプログラムも併用する
の2点から解説します。
1.日常の買い物を特約店にまとめる
ポイント・マイルを効率的に貯めるには、「できるだけ特約店で買い物をする」のが有効です。確かに、節約という意味では、1円でも安いところで買うのも、効果がないわけではありません。
しかし、実際には、
- 小さい子どもや介護の必要な家族がいるので、買い物に時間がかけられない
- いろいろな店を見て歩いていたら、ついついいらないものまで買ってしまった
など、結果として節約にならない可能性もあるのです。
2.マイル付与率がアップするプログラムも併用する
特約店を利用する際に注意したいのは、
どうかです。
例えば、JALカードの場合、特約店で買い物をすると、マイルの付与率が2倍になります。
しかし、マイルの付与率を上げるためには、「ショッピングマイル・プレミアム」というプログラムに別途加入する必要があります。
「支払いはすべてJALカードで済ます」つもりの人なら、加入する価値はあるでしょう。
これとは別に、クレジットカード会社が運営するポイントサイトを経由して買い物をする方法もあります。
ポイントサイトについては、この記事で詳しく解説しています!
例えば、ANAカードのポイントサイトである「ANAマイレージモール」には、ドラッグストアのマツモトキヨシのオンラインストアも掲載されています。
- 実店舗で買い物をし、ANAカードで決済した場合
- ANAマイレージモールを経由してオンラインストアで買い物をし、ANAカードで決済した場合
の2パターンでも、貯められるマイルの数はまったく違うのです。
こちらの図がわかりやすいですよ!
出典:マツモトキヨシ(店舗・オンラインショッピング) | スーパー・コンビニ・ドラッグストア | マイルを貯める | ANAマイレージクラブ
このように、同じ特約店で買い物をする場合であっても、どういうルートをたどるかで得られるマイル・ポイントが変わってきます。自分ができる方法で、最も効率的な方法を探してみましょう。
提携ホテルを使う際のポイント
JALカード、ANAカードの場合、JALもしくはANAが提携しているホテルに宿泊することでも、ポイント・マイルが貯められます。その際に確認すべき2つのポイントとして、
- マイルの付与条件
- ホテルの予約方法
について、詳しく解説しましょう。
1.マイルの付与条件を確認する
例えば、JALカードの場合、提携ホテルの利用によるマイルの付与数の計算にあたっては、次のいずれかの方法が用いられます。
- 「1泊につき200マイル」など、泊数に応じて計算する
- 「利用額1ドルにつき1マイル」などチェックインからチェックアウトまでの総利用金額に応じて計算する
- 宿泊日数、部屋対応、部屋数に関わらず、「1滞在につき500マイル」など、滞在数に応じて計算する
- ホテルチェーン独自のポイントをマイルに交換する
2.ホテルの予約方法を確認する
また、マイルが付与されるホテルであったとしても、
- 公式サイトから予約しなくてはいけない
- 指定されたプランを使わなくてはいけない
など、マイルを獲得するための条件が細かく設けられているのが一般的です。ホテルへの宿泊でマイルを貯めたい場合は、事前に条件を確認しましょう。
なお、提携ホテルではないホテルに泊まる場合でも、航空会社のホームページを経由し、ホテル予約サイトを利用することでマイルが貯まるケースもあります。
例えば、JALの場合、
- JTB
- 楽天トラベル
- じゃらん
- エクスペディア
などの主要な予約ホテルサイトに、JALの公式ホームページからアクセスすれば、各サイトごとの条件に応じてマイルが付与される仕組みです。
提携ポイントから交換する際のポイント
クレジットカード会社のポイントをマイルに交換することもできます。
その際にチェックすべきポイントとして、
- どの航空会社のマイルに交換できるか確認する
- 交換レートを確認する
の2点を解説します。
1.どの航空会社のマイルに交換できるか確認する
日本国内のクレジットカード会社の場合、ポイントのマイルへの交換については、以下の4パターンに扱いが分かれます。
- JAL、ANAともに交換可能
- JALにのみ交換可能
- ANAにのみ交換可能
- JAL、ANAともに不可
自分が使っているクレジットカードが、どれに当てはまるのか、確認しておきましょう。
2.交換レートを確認する
仮に、ポイントをマイルに交換できる場合、「何ポイントで何マイルに交換できるか」を確認しておきましょう。例えば、JCBカードのポイント(Oki Dokiポイント)の場合、JAL、ANAのマイルへの交換レートは、以下の通りです。
JAL | 1ポイント → 3マイル |
---|---|
ANA | 1ポイント → 3マイル |
まとめ
航空会社のマイルおよびマイレージプログラムは、本来は自社便を利用する顧客へのサービスの一環として始まりました。そのため、最初は自社便への搭乗=飛行機に乗ることでしかマイルが貯められませんでした。しかし、時代の変遷とともに発展を遂げ、飛行機に乗る以外の方法でも、マイルを貯められるようになったのです。
また、本気でマイルを貯めるなら、クレジットカード選びも重要です。クレジットカードに精通したFPが選んだ「マイルを貯めるためのクレジットカード」は、ここで解説しています。