インターネット通販サイト「Amazon」を日本において運営するアマゾンジャパンは、同社が2019年10月1日から開始する「キャッシュレス・消費者還元事業」の「キャッシュレス加盟店管理事業者」として登録された旨を発表しました。
キャッシュレス・消費者還元事業とは?
出典:消費者の皆様 TOP | キャッシュレス消費者還元事業
改めて、キャッシュレス・消費者還元事業について復習しましょう。
キャッシュレス・消費者還元事業の概要
キャッシュレス・消費者還元事業とは、
- 対象店舗で
- クレジットカードや電子マネー、バーコード決済などの「キャッシュレス支払い」を用いて買い物をすると
- 最大5%のポイント還元が受けられる制度
です。
消費税引き上げに伴う景気対策でもある
今回、キャッシュレス・消費者還元事業が実施されることになった経緯についても触れておきましょう。2014年4月から、それまで5%だった消費税率が、8%に引き上げられました。しかし、引き上げを実施する前から、「引き上げ後の消費が冷え込み、日本経済に悪影響を及ぼすのではないか」という懸念が持ち上がっていたのです。
この懸念は現実になり、2014年3月までは実質消費支出が急激に上がっていったものの、その後は急激に下がり、2015年から2016年まで、芳しくない状況が続きました。
出典:みずほ総合研究所「消費増税で消費は再び低迷するか 鍵を握るのは家計の体感物価と節約志向」
前回よりさらに高い税率が設定されることになるため、どのように景気対策を行うかが、1つの課題になりました。仮に、景気が冷え込んだ場合、大企業よりも、中小企業の方が、影響を受ける度合いが大きいはずです。
そこで、
- 一定の条件を満たす中小・小規模事業者に対象事業者として登録してもらい
- キャッシュレス決済で買い物をしてもらう動機づけをすることで
- 対象事業者から商品・サービスを購入してもらう
仕組みとして、キャッシュレス・消費者還元事業の実施が決まりました。
Amazonで買い物してポイント還元を受けるには?
Amazon出品サービスを利用する
一言で、「Amazonで買い物をする」と言っても、「どこから買うのか」で、厳密には次の2つに分かれます。
- Amazon.co.jpが販売・発送する
- Amazonに出店登録した外部の業者が販売・発送する
後者の場合、外部の業者は「Amazon出品サービス」を使います。
簡単に言うと、
- Amazonに手数料を支払う
- Amazonは出店者に対し、代金回収、商品登録、海外の購入者への販売などを代行する
サービスです。
対象となる事業者は?
つまり、Amazonで買い物をし、5%のポイント還元を受けるには、
- あらかじめ、Amazon出品サービスで登録した
- 中小・小規模事業者からキャッシュレス決済で商品を購入する
のが必要ということになります。
今回のニュースに関する考察
アマゾンジャパンがキャッシュレス・消費者還元事業の決済事業者として登録決定されたのは、キャッシュレス・消費者還元事業を推し進めていく上で、画期的な出来事になるでしょう。
中小・小規模事業者での買い物は難しい?
キャッシュレス・消費者還元事業の対象となるのは、次の条件を満たす中小・小規模事業者とされています。
1)旅館業は資本金5千万円以下又は従業員200人以下、ソフトウェア業・情報処理サービス業は資本金3億円以下又は従業員300人以下とする。
2)資本金又は出資金が5億円以上の法人に直接又は間接に100%の株式を保有される中小・小規模事業者は補助の対象外とする。
3)事業協同組合、商工組合等の中小企業団体、農業協同組合、消費生活協同組合等の各種組合は補助の対象とする。
4)一般社団法人・財団法人、公益社団法人・財団法人、特定非営利活動法人は、その主たる業種に記載の中小・小規模事業者と同一の従業員規模以下である場合、補助の対象とする。
出典:キャッシュレス・消費者還元事業について- Amazon.co.jp
「昔ながらの電気屋さん」をイメージするとわかりやすいかもしれません。実際にこのようなお店で買い物をしたくても、
- どこにあるかわからない
- 営業時間が短い
など、思っている以上に簡単にいかない可能性もあります。
Amazonが突破口に
しかし、これらの中小・小規模事業者がAmazonに出店すれば、
- Amazonで対象業者を探せばいい
- インターネットさえあればどこでも買い物ができる
ので、問題は解決されるのです。
キャッシュレス・消費者還元事業自体が、国としても初めての取組となるため、今後の動きがどうなるかはわかりません。