気に入って購入したものがひったくられたり、火事で焼けてしまったりなどした場合、ショックなのは間違いありません。しかし「代わりのものを購入する」ことができれば、だいぶショックも和らぐでしょう。そこで活用したいのが、クレジットカードに付帯しているショッピング保険です。
今回の記事では、ショッピング保険について、メリットとデメリットも含めて解説します。
ショッピング保険とは
最初に、ショッピング保険とは何かについて、解説しましょう。
カードで購入したものを補償してくれる
一言でまとめると
保険のことです。
クレジットカード会社によって呼び名は様々
ほとんどのクレジットカード会社で、ショッピング保険の仕組みは導入されています。ただし、クレジットカード会社によって呼び名は様々です。
- ショッピング安心保険
- お買いもの保険
- ショッピング・プロテクション
など、いろいろな呼び名がありますが、ひとまず「クレジットカードで購入したものを補償してくれる」保険であると覚えておけばいいでしょう。
ショッピング保険の内容を知るには?
自分が使っているクレジットカードに付帯しているショッピング保険の内容を知りたければ、クレジットカードが発行された時に交付される「保険のしおり」(付帯している保険の内容や保険金請求の手続きについて解説した冊子のこと)を見るのが一番確実です。
最低限チェックすべき項目
「保険のしおり」を使って、クレジットカードのショッピング保険をチェックする場合、最低限見ておくべき項目を紹介しましょう。
補償の対象とならない場合・物品
詳しくは後述しますが、クレジットカード会社やクレジットカードの種類によっても、ショッピング保険により補償が受けられない場合・物品については、扱いが異なります。Aというクレジットカードでは補償が受けられても、Bというクレジットカードでは補償が受けられないことは多々あるのです。
補償の対象となる支払方法や場所
クレジットカードによっては「日本国内で購入した物品については、支払をリボ払い・分割払いで行った場合のみ、ショッピング保険の対象となる」というように、補償の対象となる支払方法や場所について、指定があるケースもあります。
補償期間
「盗難・破損の被害にあった場合、購入した日から何日以内であれば、ショッピング保険により補償が受けられるのか」という期間です。「購入した日から90日以内」としているケースもあれば、「購入した日もしくは物品を受け取った日のいずれか遅い日から120日間」としているケースもあります。これも、クレジットカード会社によって扱いがまちまちであるので、一度確認しておきましょう。
ショッピング保険のメリット
ここで、ショッピング保険のメリットについて考えてみましょう。
セゾンゴールド・アメリカン・エキスプレス・カード
カード分類 ゴールドカード
国際ブランド AMEX(アメックス)
申込方法 -
発行スピード 最短3営業日
年会費(税込) 11,000円
年会費備考 -
ショッピング総利用枠(上限) 300万円
ポイント還元率(下限) 0.75%
ポイント還元率(上限) 1.00%
交換可能マイル ANAマイル(1ポイント=3マイル、交換上限なし、交換手数料無料)
JALマイル(1ポイント=2.5マイル、交換上限なし、交換手数料無料)
ETCカード年会費(税込) 0円
電子マネーチャージ iD利用、QUICPay利用、楽天Edy
海外旅行傷害保険/死亡後遺障害(最大) 5,000万円
国内旅行傷害保険/死亡後遺障害(最大) 5,000万円
ショッピング保険/国内利用(最大) 200万円
「審査」「発行期間」口コミ平均DATA
審査通過率
審査通過/申込者数ショッピング
限度額平均キャッシング
限度額平均カード発行
までの日数平均対応
満足度
100%(2/2) 75万円 20万円 12.0日 4.5
1.盗難、破損であれば補償してもらえる
ショッピング保険の場合、補償の対象となる事故を必ず定義しています。例えば、今回例として用いるセゾンゴールド・アメリカン・エキスプレスカードの場合、日本国内や海外で発生した火災・破裂・爆発・破損・盗難などの偶然な事故が原因であれば、クレジットカードで購入したものに生じた損害を補償してくれる仕組みです。自分には非がない原因で被った損害であっても、補償してもらえるのは心強いでしょう。
2.高額なものを買い直ししやすくなる
盗まれたり、自分には非がない原因で壊れたりしてしまったものの中には、どうしても買い直しをしないといけないものもあるはずです。そんな時でも、ショッピング保険により補償が受けられれば、買い直しにあたっての経済的負担が減らせるので、助かる人は多いでしょう。
ショッピング保険のデメリット
一方、ショッピング保険にはデメリットがあるのも事実です。ここではデメリットとして、次の6つの項目について解説しましょう。
- 補償が受けられないケースが案外ある
- 品物によっては補償が受けられない
- 必要な書類が揃っていないと補償が受けられない
- 時間が経ってから届け出ても補償は受けられない
- クレジットカードによっては支払方法に制限があるケースもある
- そもそも自動付帯しているとは限らない
1.補償が受けられないケースが案外ある
ショッピング保険の規定を詳しく見ていくと、「クレジットカードで買ったものが壊れたり、盗まれたりした」場合でも、原因次第では補償が受けられないのがわかるはずです。試しに、セゾンゴールド・アメリカン・エキスプレス・カードの場合を見てみましょう。
2. 物品の欠陥・消耗・さび・変色・虫食いなどによる損害
3. 電気的な事故や機械的な事故による損害
4. 使用人の不正、または詐欺・横領による損害
5. カード会員や保険金を受け取る方の故意・重過失による損害
6. 水災・地震・噴火またはこれらによる津波によって生じた損害
7. 戦争・侵略行為、反乱、暴動、国または公共機関の公権力の行使による没収、密貿易、違反行為に起因する損害
8. 核燃料物質その他の有害な特性に起因する損害
9. 物品の誤った使用によって生じた損害
10. 物品の物的損害に起因する一切の間接損害
11. 汚損、かぎ損、擦損、かき傷または塗料の剥がれ等単なる外観の損傷で機能に支障をきたさない損害 など
出典:保険|【公式】セゾンゴールド・アメリカン・エキスプレス・カード
いくつか、重要な点をピックアップして解説しましょう。
まず「紛失・置き忘れによる損害」ですが、自分の不注意で失くしたり、電車の中など特定の場所に置き忘れたりしたことが原因で損害が生じても、ショッピング保険では何も補償は受けられません。
次に「カード会員や保険金を受け取る方の故意・重過失による損害」について解説します。故意というのは「保険金が欲しくてわざとやった」と考えれば大丈夫です。一方、重過失というのは「損害が生じても仕方がないほどうっかりしていた」と考えましょう。
一歩踏み込んだ話をすれば、何をもって重過失=重大な過失とするのかは、最高裁判所により判決が出ています。
わかりやすくするために、過去に裁判で重大な過失が原因で発生した火災であると認められたケースを紹介しましょう。
実際の裁判においては、個別の案件の状況を加味して、重過失かそうでないかが判断されます。クレジットカードに付帯したショッピング保険を利用する場合も、実際に保険金の給付の対象となるかどうかは、その時の状況を加味して判断が行われるのです。
このため、自分では「故意・重過失ではない=わざとやっているわけでも、うっかりしていたわけでもない」と思っていたとしても、クレジットカード会社はそう判断してくれない場合もあり得ます。
2.品物によっては補償が受けられない
ショッピング保険により補償が受けられる物品については、クレジットカード会社(および引受保険会社)によりかなり差があります。重要なのは「自分が使ったクレジットカードの場合はどうなのか」を知っておくことです。セゾンゴールド・アメリカン・エキスプレスカードの場合、以下の物品について、補償の対象にならないとしています。
1. 商品券、航空券、乗車券など
2. 宅配便など(通販などの輸送中の物品)
3. 現金、手形、小切手、その他有価証券、印紙、切手、チケットその他これらに準ずるもの
4. 預金証書または貯金通帳(通帳および現金支払機用カードを含みます。)
5. 食料品・飲料(酒類を含みます。)
6. 船舶(ヨットモーターボートおよびボートを含みます。)、航空機、自動車、原付自動車、自転車、ハングライダー、ラジオコントロール模型およびこれらの付属品
7. 義歯、義肢、コンタクトレンズ、その他これらに類するもの
8. 動物あるいは植物(剥製・ドライフラワーを含みます。)
9. 稿本、設計書、帳簿その他これらに準ずるもの
10. 職業上の商品として購入したもの
出典:保険|【公式】セゾンゴールド・アメリカン・エキスプレス・カード
案外失くしやすいものが含まれていることに注意してください。また、通販などを利用した場合、輸送中に盗まれた場合は、ショッピング保険により補償を受けることはできません。ただし、このようなケースの場合、販売元が運送会社に対し損害賠償請求を行った上で、返金対応に応じてくれることが大半であるため、ショッピング保険を利用しなくても、損害を回復する余地はあります。
スマートフォンの扱いは各社で異なる
買ってから時間が経たないうちにうっかり壊してしまいがちなものの例として、スマートフォン(携帯電話)が挙げられます。しかし、スマートフォンの破損・盗難がショッピング保険により補償されるかどうかは、クレジットカード会社や引受保険会社によって、扱いに差があるのも事実です。
例えば、エポスカードの場合、ショッピング保険(エポスお買い物あんしんサービス)の対象外となる物品に「携帯電話、ポケットベル等の携帯式通信機器、ノート型パソコン、ワープロ等の携帯式電子事務機器およびこれらの付属品」と明記されています。携帯電話の中には当然、スマートフォンも含まれるので、ショッピング保険は使えないと考えましょう。
3.必要な書類が揃っていないと補償が受けられない
世の中には「ショッピング保険は案外使えない」とネガティブな感想を漏らす人もいます。その原因の1つと言われているのが、必要な書類が揃っていないと補償が受けられないということです。
クレジットカード売上票は必須
セゾンゴールド・アメリカン・エキスプレスカードの場合、ショッピング保険により保険金の請求を行うには、以下の書類を揃えないといけません。
保険金請求に必要な書類 | 修理可能な場合 | 修理不可能な場合 |
---|---|---|
カード(コピー) | ◎ | ◎ |
保険金請求書 | ◎ | ◎ |
罹災証明書・事故証明書 | 〇 | 〇 |
クレジットカード売上票 | ◎ | ◎ |
修理見積書・修理代金請求書・修理代金領収書 | ◎ | - |
全損証明書 | - | ◎ |
写真または現物 | ◎ | ◎ |
他保険の保険金請求書 | 〇 | 〇 |
委任状 | 〇 | 〇 |
盗難届(盗難の場合のみ) | ◎ | ◎ |
その他関係書類 | 〇 | 〇 |
(注)◎印は必要な書類、〇印は場合によって必要となる書類
一番のネックになりやすいのが、クレジットカード売上票です。
クレジットカード売上票とは、実店舗でクレジットカードによる決済を行うと、領収書代わりに交付される売上伝票のことです。実店舗に設置されているクレジットカード決済用の端末で処理を行うと「お客さま控え用」「加盟店様控え用」「カード会社送付用」の3枚の売上伝票が発行されます。
しかし、ネットショッピングなど、対面での取引を伴わない取引の場合、クレジットカード売上票は発行されません。そのため、現状ではネットショッピングで購入した物品については、ショッピング保険が使えないと考えていいでしょう。
4.時間が経ってから届け出ても補償は受けられない
ショッピング保険に限らず、クレジットカードに付帯している保険や補償制度を利用する場合に、補償が受けられない原因の1つになっているのが「届出が遅かったこと」です。
クレジットカード会社やクレジットカードの種類によって、扱いに多少の差はありますが、ショッピング保険を利用する際には「事故発生日から〇日以内に所定の書類を提出すること」という決まりがあることがほとんどです。
5.クレジットカードによっては支払方法に制限があるケースもある
ショッピング保険が付帯しているクレジットカードと一口に言っても、実態は様々です。
- どんな支払方法であっても補償が受けられる
- 国内での利用はリボ払い、分割払いのみ、海外ではすべての支払方法について補償が受けられる
など、クレジットカード会社やクレジットカードの種類ごとに、ショッピング保険により補償が受けられる条件は異なります。もし、いざというときのためにショッピング保険の適用が受けられるようにしておきたい場合は、自分が使おうとしているクレジットカードのショッピング利用の条件を必ず確認しておきましょう。
6.そもそも自動付帯しているとは限らない
クレジットカード会社がショッピング保険のサービスを提供するためには、外部の損害保険会社を引受保険会社として指定し、商品を設計しなくてはいけません。そのため、実際にサービスを運営するためには、クレジットカード会社が負担すべき経費に加え、引受保険会社になった損害保険会社が負担すべき経費を賄う必要があります。
このような実情があるため、年会費無料のクレジットカードには、ショッピング保険自体が付帯していないケースも多々あるのです。例えば、国内の大手クレジットカード会社であるオリエントコーポレーション(オリコ)の場合、ショッピング保険(ショッピングガード)は以下のカードにのみ付帯しています。
- Orico Card THE PLATINUM
- Orico Card THE GOLD PRIME
- Orico Card THE WORLD
- ゴールドカード
- Orihime
クレジットカード比較プロで幾度となく紹介している「Orico Card THE POINT」には、ショッピングガードは付帯していません。
Orico Card THE POINT
カード分類 一般カード
国際ブランド Mastercard®、JCB
申込方法 -
発行スピード 最短8営業日
年会費(税込) 0円
年会費備考 -
ショッピング総利用枠(上限) 300万円
ポイント還元率(下限) 1.00%
ポイント還元率(上限) 2.00%
交換可能マイル ANAマイル(1ポイント=0.6マイル)
JALマイル(1ポイント=0.5マイル)
ETCカード年会費(税込) 0円
電子マネーチャージ iD利用、QUICPay利用、楽天Edy
海外旅行傷害保険/死亡後遺障害(最大) -
国内旅行傷害保険/死亡後遺障害(最大) -
ショッピング保険/国内利用(最大) -
「審査」「発行期間」口コミ平均DATA
審査通過率
審査通過/申込者数ショッピング
限度額平均キャッシング
限度額平均カード発行
までの日数平均対応
満足度
98%(41/42) 44万円 20万円 11.0日 3.8
ポイント還元率が常時1.0%以上と、ポイントを貯める上では非常に優れたカードですが、ショッピング保険が付帯していないため、壊れたときのダメージが大きい商品を購入する場合は、他のクレジットカードを使うことも考えましょう。