「ゴールドカードを持っている=お金持ち」という印象を受ける人は多いかもしれません。確かに、一昔前ならそのイメージに間違いはありませんが、クレジットカード自体が一般的になってきた今では、年収がそこまで高くなくても、選び方に気を付ければ手に入るのが実情です。そこで今回の記事では
- ゴールドカード取得に必要な年収の目安
- 年収が低くてもゴールドカードをあきらめなくていい4つの理由
について解説しましょう。
ゴールドカード取得に必要な年収の目安
最初に、ゴールドカード取得に必要な年収の目安について、考えてみましょう。
昔に比べると水準は下がっている
そもそも、日本においてクレジットカードは、当初は富裕層向けのビジネスとしてスタートしました。日本で最初にクレジットカードのビジネスを開始したのは、当時の日本交通公社(現在のJTB)と富士銀行(現在のみずほ銀行)が合弁で設立した日本ダイナースクラブです。日本ダイナースクラブは会員の勧誘方針として
収入、生活の安定性、将来性の3点を重視し、社会的信用の高い方をお迎えする
出典:ダイナースクラブの歴史 | ダイナースクラブカード 日本で最初のクレジットカード
ことを明確に打ち出していました。このことからもわかるように、少なくとも当時においては、クレジットカードは医師、弁護士などの専門職や経営者、大手企業の社員を対象にした富裕層向けのビジネスだったと考えられます。
また、ゴールドカードが日本で発行され始めたのは1980年のことです。今でもステータスの高いゴールドカードの1つとして認知されている「アメリカン・エキスプレス・ゴールド・カード」が、日本で最初のゴールドカードとなりました。その後、国内のクレジットカード会社の中にも、ゴールドカードの発行を始めるところが現れましたが、やはり「限られた富裕層に向けたもの」だったのには間違いありません。
アメリカン・エキスプレス・ゴールド・カード
カード分類 ゴールドカード
国際ブランド AMEX(アメックス)
申込方法 -
発行スピード 通常1~3週間
年会費(税込) 31,900円
年会費備考 -
ショッピング総利用枠(上限) -
ポイント還元率(下限) 0.50%
ポイント還元率(上限) 0.50%
交換可能マイル ANAマイル(1ポイント=0.5マイル、メンバーシップ・リワード・プラス登録で1ポイント=1マイル(年間参加費 3,300円))
JALマイル(1ポイント=0.3マイル、メンバーシップ・リワード・プラス登録で1ポイント=0.4マイル(年間参加費 3,300円))
スカイマイル(1ポイント=0.5マイル、メンバーシップ・リワード・プラス登録で1ポイント=0.8マイル(年間参加費 3,300円))
ETCカード年会費(税込) 0円
電子マネーチャージ 楽天Edy
海外旅行傷害保険/死亡後遺障害(最大) 10,000万円、家族特約1,000万円
国内旅行傷害保険/死亡後遺障害(最大) 5,000万円、家族特約1,000万円
ショッピング保険/国内利用(最大) 500万円
「審査」「発行期間」口コミ平均DATA
審査通過率
審査通過/申込者数ショッピング
限度額平均キャッシング
限度額平均カード発行
までの日数平均対応
満足度
100%(2/2) 75万円 20万円 12.0日 4.5
しかし、それから40年経つ2020年の現在では、ゴールドカードの審査基準はだいぶ緩和されているのが実情です。さすがに無職やフリーターなど、本人に収入がなかったり、収入があっても安定していなかったりすれば厳しいでしょう。
プラチナ、ブラックなどの上位カードが出現したため
ゴールドカードがサービスを開始した当初に比べ、著しく審査に通りやすくなっている理由の1つとして考えられるのは「クレジットカード会社がプラチナ、ブラックなどのより上位のカードを発行し始めたから」でしょう。
クレジットカードというビジネス自体が一般的なものになるにつれ、相応の社会的信用と利用履歴がある顧客に対する優遇策として、ゴールドカードより高い会員ランク(ステータス)のクレジットカードを発行するクレジットカード会社も現れました。有名なのがアメリカン・エキスプレスです。1984年にはプラチナ・カードを、1999年にはセンチュリオン・カード(ブラックカード)を発行しています。
アメリカン・エキスプレス以外にも多くの会社がこの流れに追随した結果、ゴールドカードの価値が相対的に落ち「昔ほどは審査に通るのは難しくなくなったカード」になったと考えられます。審査に通るのが難しくない、ということは、求められる年収も昔ほどは高くない、と考えていいでしょう。
基準になるのは「平均年収に達しているか」
ゴールドカードの審査に通るためには、年収が具体的にいくらあればいいのか、という数字をクレジットカード会社が明言しているわけではありません。年収が200万円台でも通る人がいる一方で、500万円台でも落ちてしまう人もいます。
しかし、1つの目安として「平均年収に達しているか」をチェックするといいでしょう。国税庁は毎年、民間給与実態調査と言って、民間企業に勤務している人の給料に関する調査を行っています。この中で、年代・性別ごとの給料の平均額を計算しているので、一覧表にまとめてみました。まずは、自分の給料と比較してみましょう。
年齢 | 男性 | 女性 | 合計 |
---|---|---|---|
19歳以下 | 162.4万円 | 114.4万円 | 137.1万円 |
20歳~24歳 | 283.6万円 | 248.6万円 | 267.0万円 |
25歳~29歳 | 404.1万円 | 326.3万円 | 370.2万円 |
30歳~34歳 | 469.5万円 | 314.7万円 | 410.1万円 |
35歳~39歳 | 527.6万円 | 313.8万円 | 447.8万円 |
40歳~44歳 | 570.6万円 | 318.7万円 | 476.3万円 |
45歳~49歳 | 635.2万円 | 313.3万円 | 501.6万円 |
50歳~54歳 | 681.8万円 | 321.5万円 | 528.5万円 |
55歳~59歳 | 685.7万円 | 297.5万円 | 520.4万円 |
60歳~64歳 | 537.0万円 | 242.4万円 | 416.0万円 |
65歳~69歳 | 410.0万円 | 211.1万円 | 325.6万円 |
70歳以上 | 382.0万円 | 206.2万円 | 305.5万円 |
合計 | 545.0万円 | 293.1万円 | 440.7万円 |
参照:標本調査結果|国税庁
もちろん、平均額に達しているから大丈夫、達していないからダメ、というわけではありません。平均額を超えていた方が有利なのは確かですが、実際はそれだけで審査の結果が決まるわけではないので、ここから先で詳しく解説します。
年収が低くてもゴールドカードをあきらめなくていい4つの理由
クレジットカードの審査においては、年収が高ければ高いほど有利なのは確かです。しかし、あなたの年収が平均額を下回っていたとしても、ゴールドカードをあきらめる必要はありません。理由を一言でいうと「年収の高さだけでクレジットカードの審査の結果が決まるわけではないから」です。より分かりやすくするために
- ゴールドカードによって基準になる年収は異なるから
- 「安定継続した」収入であることが重要だから
- クレジットヒストリーの状態にも左右されるから
- 一般カードの利用実績にも左右されるから
の4点に分解して解説しましょう。
1.ゴールドカードによって基準になる年収は異なるから
ゴールドカードと一口に言っても、実際はさまざまなクレジットカード会社が発行しているため、付帯しているサービスや審査の基準が全く異なります。当然、サービスが充実している代わりに年会費や求められる年収の水準が高いゴールドカードもあれば、サービスの充実度はやや劣るものの、年会費が安く、求められる年収の水準も低いゴールドカードもあるのです。
年収が低めなら「提携カードのゴールドカード」を選ぼう
もし、自分の年収が平均年収に達していなかった場合にゴールドカードを申し込むつもりなら「提携カードのゴールドカード」を選ぶといいでしょう。
提携カードとは、国際ブランド(決済システム)を運営する会社が外部の企業と提携して発行するクレジットカードです。
一方、提携カードと対になる概念がプロパーカードです。つまり、国際ブランドを運営する会社が自らの名前を冠して発行するクレジットカードと考えましょう。
例えば、同じJCBが付帯しているゴールドカードでも
- 楽天ゴールドカード(JCB)は「提携カード」
- JCBゴールドは「プロパーカード」
に分類されるのです。
楽天ゴールドカード
カード分類 ゴールドカード
国際ブランド VISA、Mastercard®、JCB
申込方法 -
発行スピード 通常1週間
年会費(税込) 2,200円
年会費備考 -
ショッピング総利用枠(上限) 200万円
ポイント還元率(下限) 1.00%
ポイント還元率(上限) 3.00%
交換可能マイル ANAマイル(1ポイント=0.5マイル、50ポイント以上2ポイント単位)
JALマイル(1ポイント=0.5マイル、50ポイント以上2ポイント単位、月間交換上限20,000ポイント)
ETCカード年会費(税込) 0円
電子マネーチャージ 楽天Edy(オートチャージ可)
海外旅行傷害保険/死亡後遺障害(最大) 2,000万円
国内旅行傷害保険/死亡後遺障害(最大) -
ショッピング保険/国内利用(最大) -
「審査」「発行期間」口コミ平均DATA
審査通過率
審査通過/申込者数ショッピング
限度額平均キャッシング
限度額平均カード発行
までの日数平均対応
満足度
100%(8/8) 113万円 33万円 9.5日 4.6
JCBゴールド
カード分類 ゴールドカード
国際ブランド JCB
申込方法 -
発行スピード 即日発行
※モバイル即時入会サービスはJCB公式サイト経由のみ対象。モバ即の入会条件は以下2点になります。 【1】 9:00AM~8:00PMでお申し込み。(受付時間を過ぎた場合は、翌日受付扱い) 【2】 顔写真付き本人確認書類による本人確認。(運転免許証/マイナンバーカード/在留カード)※モバ即での入会後、カード到着前の利用方法について、詳しくはHPをご確認ください。
年会費(税込) 11,000円
年会費備考 -
ショッピング総利用枠(上限) -
ポイント還元率(下限) 0.50%
ポイント還元率(上限) 10.00%
交換可能マイル ANAマイル(1ポイント=3マイル、500ポイント以上1ポイント単位、交換上限なし)
JALマイル(1ポイント=3マイル、500ポイント以上1ポイント単位、交換上限15,000ポイント)
スカイマイル(1ポイント=3マイル、500ポイント以上1ポイント単位、交換上限なし)
ポイント備考 -
ETCカード年会費(税込) 0円
電子マネーチャージ QUICPay利用、楽天Edy
海外旅行傷害保険/死亡後遺障害(最大) 10,000万円(利用付帯:5,000万円)、家族特約1,000万円
国内旅行傷害保険/死亡後遺障害(最大) 5,000万円(利用付帯:5,000万円)
ショッピング保険/国内利用(最大) 500万円
そして、審査の通りやすさから言えば、プロパーカードより提携カードを選ぶのをおすすめします。
提携カードを発行する目的の1つに「提携先である企業のサービス・商品の利用を促進すること」があるためです。例えば、先ほど例に出した楽天カード(JCB)の場合、主な目的に「より多くの人に楽天市場などの楽天グループが提供するサービスを利用してもらうこと」が挙げられます。この目的を達成するためには、より多くの人にクレジットカードを持ってもらうことが重要になるのです。
一方、プロパーカードの場合「クレジットカード会員が毎月請求額を支払い続けてくれるかどうか」が非常に重要になります。国際ブランドを運営する会社にとっては「自社で発行したクレジットカードを利用してもらって手数料収入を得た上で、請求額を期限通り回収すること」が、長期にわたって安定した収益を上げる上で欠かせないことだからです。
つまり、提携カードの提携先のように、別に売れる商品やサービスがあるわけではないので、クレジットカード事業の成否が会社の存続を直接左右してしまいます。
このような背景を考えると、同じステータス(会員ランク)のクレジットカードであっても、プロパーカードより提携カードのほうが、審査には通りやすいでしょう。
2.「安定継続した」収入であることが重要だから
クレジットカードの審査においては、年収の高さだけではなく、「安定継続した収入が入ってくる立場にあるかどうか」も重視されます。その点では
- 会社員(正社員)
- 地方公務員、国家公務員
- 医師、看護師、弁護士、税理士などの高度専門職
の人はやはり有利です。一方で
- 起業したての経営者
- 芸能人
- いわゆる水商売
- 株、FXなどの専業トレーダー
など、軌道に乗れば高い年収が得られるものの、その逆もありうる職業は不利になります。
年収が高くても審査に通りにくいのは?
Aさん
32歳会社員
大学卒業後にIT関連の会社(一部上場企業)に入社し、今年で10年目
年収は約600万円
Bさん
30歳会社経営者
大学卒業後、広告代理店に6年勤務したのち独立起業(今年で2年目)
年収は約1,500万円
やり取りにもある通り、審査に通りやすいのはAさんです。確かに、年収の高さだけで見れば、BさんはAさんの2倍以上あるため、その点においては有利でしょう。しかし、Aさんは会社員であるという立場が、クレジットカードの審査においては有利に働きます。
一言でいうと「経営者に比べると、継続安定した収入が得られる可能性が高いため」です。日本の法律においては、労働者の権利が保障されているため、本人に明らかな問題があったり、災害が起こったりしたなどごく一部の例外を除いては、会社側から一方的に解雇されることはありません。つまり「そう簡単にクビにならない」という前提で審査が進みます。
それに対し、経営者は自身の努力次第では会社員時代とは比較にならないほどの報酬を得られますが、周囲の環境次第では報酬が全く得られないこともありうる立場です。
同様に「数千万円の年収が入ることもあるが、0になることもある」職業の代表例である芸能人の場合も、クレジットカードの審査においては非常に不利です。テレビで顔を見ない日はない、といわれるほど仕事がある人でも、クレジットカードの審査に長いこと通らない、というのは珍しくありません。
3.クレジットヒストリーの状態にも左右されるから
ある程度の年齢に達している人が新しくクレジットカードに申し込む場合は、クレジットヒストリーの内容が審査に影響することも覚えておきましょう。
クレジットヒストリーとは
つまり
- 長期間にわたって毎月利用している
- 延滞・滞納などのイレギュラーが発生していない
なら、審査において有利に働きます。一方で
- 使っていない月がかなりある
- 延滞・滞納・支払い回数の変更などのイレギュラーが頻発している
と「使ってくれる機会が少なそう」「利用する上でトラブルを起こしそう」などと判断され、審査において不利に働くのです。これまでにクレジットカードを使ってきた中で、何らトラブルを起こさず、毎月ある程度の金額を使ってきたならさほど気にする必要はありません。しかし、そうでないなら、クレジットヒストリーが原因で審査落ちする可能性があることも、頭の片隅に置いておきましょう。
30代以上でクレジットカードを使ったことがない場合は要注意
また、ある程度の年齢(目安は30歳以上)であるにも関わらず、1度もクレジットカードを利用したことがない状態から、いきなりゴールドカードの審査に申し込んでも、通るのは厳しいと考えましょう。いわゆる「スーパーホワイト」と判断されてしまうためです。
個人信用情報には、クレジットカードやローンなど「お金の貸し借りを伴う取引」(信用取引)の取引履歴が記載されます。しかし、これらの信用取引を一回も利用したことがなければ、何も記載されません。
厄介なのは「利用したことがない原因」は記載されない、という点です。
まとめると、スーパーホワイトの原因が
- 過去に一度も信用取引を利用したことがないから
- 過去にトラブルを起こし、信用取引が一定期間利用できなかったから
なのかは、クレジットカード会社の審査担当者には調べられない以上「過去にトラブルを起こし、信用取引が一定期間利用できなかった」前提で審査を進めることになります。
4.一般カードの利用実績にも左右されるから
ゴールドカードの中には、同じクレジットカード会社で発行している一般カードを利用している人のうち、利用実績が一定の水準に達した人に対してインビテーション(招待状)を発して集客を行っているものもあります。有名なのは、イオンカードとイオンゴールドカードです。イオンカードの会員のうち、直近の1年間における利用金額が100万円以上に達した人に対し、イオンゴールドカードの切り替えの案内=インビテーションを送る仕組みが採用されています。