発行されている数としては非常に少ないですが、デビットカードの中にも、クレジットカードにおけるゴールドカード・プラチナカードに相当するものとして発行されているものが存在します。一般的なデビットカードに比べると年会費も高く、サービスが充実しているのが特徴です。審査がいらないなどのメリットがある反面、クレジットカードにおけるゴールドカード・プラチナカードに比べると、やや見劣りする部分も確かにあります。
そこで今回は
- ゴールドカード以上のデビットカードを作るメリット
- ゴールドカード以上のデビットカードを作るデメリット
- ゴールドカード以上に相当するデビットカード3選
の3つのポイントから、解説していきましょう。
ゴールドカード以上のデビットカードを作る4つのメリット
最初に、ゴールドカード以上のデビットカードを作るメリットとして
- 審査を受ける必要がない
- 様々な特典を受けられる
- 年会費が比較的安い
- 年齢が若くても持てる
の4つを解説します。
1.審査を受ける必要がない
ゴールドカード、プラチナカードも含め、クレジットカードを作る際は、クレジットカード会社による審査(与信審査)を受けなければいけません。さらに、ゴールド、プラチナとカードのステータスが上がっていくにつれ、審査も厳しくなります。
- 年齢が若い
- 年収が少ない
- 学生、主婦など収入がない立場である
- 芸能人、起業したての経営者など収入が不安定である
などの理由があれば、ゴールドカード、プラチナカードの審査に通るのはかなり難しいでしょう。
しかし、デビットカードであれば、審査は基本的にありません。デビットカードを発行している銀行の口座(普通預金口座)さえ開設できれば、まず問題なく、デビットカードも作れます。もちろん、これはゴールドカード以上のデビットカードであっても同じです。
2.様々な特典を受けられる
クレジットカードの場合、ステータス(カードの会員ランク)が上がれば上がるほど、付帯サービスも充実します。
海外・国内旅行保険
例えば、海外・国内旅行保険をとってみても、一般カードであれば、付帯していないのも珍しくありません。また、付帯していたとしても、利用付帯=そのカードを使って旅行代金を払った場合でのみ、補償が受けられるという扱いになっていることも多いです。
しかし、ゴールドカードやプラチナカードであれば、自動付帯=カードを持っているだけで補償が受けられる上に、補償額も各段に高くなるのは、珍しくありません。これは、デビットカードであっても変わりません。
国際ブランドの特典
国際ブランドの1つ、Visaは自社が外部の企業と提携して発行するクレジットカードのうち、ゴールドカードを保有する会員に向け、「Visaゴールド特典」と称し、特典の提供を行っています。
そして、デビットカードの中でも、ゴールドカード以上のデビットであれば、この特典が受けられるものもあるのです。
3.年会費が比較的安い
一般的に、クレジットカードの年会費は、ステータスや付帯サービスの充実度に応じて変動します。ステータスが上に行けばいくほど、付帯サービスは充実すればするほど、年会費も高くなるのです。
例えば、国際ブランドの一角としても知られているアメリカン・エキスプレスの場合、ゴールドカード、プラチナカードの年会費は、以下の通りです。
アメリカン・エキスプレスR・ゴールド・カード | 31,900円(税込) |
---|---|
アメリカン・エキスプレスR・プラチナ・カードR | 143,000円(税込) |
具体的な年会費は国際ブランドやカードの発行会社によってもだいぶ差がありますが「中にはかなり高額になるケースもある」とだけ覚えておきましょう。
一方、デビットカードの場合は、どんなに高くても3万円前後と考えて構いません。日本全国の銀行から発行されているデビットカードのうち、年会費が最も高い水準のものの1つが、ソニー銀行が百貨店大手・髙島屋と提携して発行している「タカシマヤプラチナデビットカード」です。
4.年齢が若くても持てる
クレジットカードの場合、一般カードであっても申し込みができるのは18歳以上(高校生除く)である場合がほとんどです。
しかし、デビットカードであれば、15歳以上であれば持てる場合がほとんどです。
ゴールドカード以上のデビットカードを作る3つのデメリット
一方、ゴールドカード以上のデビットカードにも、デメリットがあるのが事実です。ここでは、デメリットとして
- クレヒスを積み上げるのには役立たない
- クレジットカードのゴールドカードと比較すると特典や優待サービスが弱い受けられる特典の内容に制限があるケースもある
- 場所、加盟店によっては使えないこともある
の3つを解説しましょう。
1.クレヒスを積み上げるのには役立たない
例え、ゴールドカード以上のデビットカードであっても、クレヒスを積み上げるのには役立ちません。
クレヒスとは
クレヒスとは、クレジットヒストリーの略で、クレジットカードやローンの利用履歴のことを指します。つまり、クレジットカードやローンの
- 契約内容
- 申し込みに関する情報
- 利用状況
- 返済履歴
などが登録されていると考えましょう。
当然、クレジットカードを使い、期限通りに支払いを進めていけば、よい利用履歴=クレヒスのみが積みあがっていきます。一方で、延滞を繰り返したり、債務整理をしたら、金融事故情報として登録されるので、クレヒスも悪くなるのです。
そして、デビットカードをどれだけ使ったとしても、クレヒスに反映されることはありません。
デビットカードは、あくまで「銀行口座を開設し、その残高の範囲内で自由に支払いが行える決済用のカード」です。つまり、カード会社・銀行との借入契約は結ばないのが前提である以上、消費者信用取引ではないため、どんなに利用したとしても、クレヒスには反映されません。
ある程度の年齢(目安としては30歳以上)であるにも関わらず、クレヒスがない・乏しい場合
- 住宅ローンが組めない
- 新しくクレジットカードが作れない
- 携帯電話端末を割賦購入できない
など、様々な弊害が生じます。
信用情報にカードやローンの利用履歴がないことから「スーパーホワイト」と称する場合もありますが、この状態だと、カード会社や銀行などの金融機関は「この人に信用力があるのか」を正確に判断できません。
2.クレジットカードのゴールドカードと比較すると特典や優待サービスが弱い
クレジットカードの場合、年会費の金額と付帯サービスには相関関係があります。つまり、年会費が高くなればなるほど、付帯サービスも充実するということです。
ゴールドカード以上のデビットカードの場合、クレジットカードと比較すると年会費はかなり安くなっています。その反面、一部のサービスにおいては、クレジットカードと比べるとやや見劣りがする部分があることも覚えておきましょう。
ラウンジは使えない、もしくは使えても回数制限がある
代表的なのが、国内・海外の空港のラウンジ利用特典の扱いです。例えば、楽天が発行する次の3つのカードについて、ラウンジ利用特典を見比べてみましょう。
楽天ゴールドデビットカード | 特典の付帯なし。 |
---|---|
楽天ゴールドカード | 国内空港ラウンジを利用可能。海外はハワイ(アメリカ)、仁川(韓国)のみ。 |
楽天プレミアムカード | 海外空港ラウンジサービス「プライオリティ・パス」(プレステージ会員)が利用可能。世界1300カ所以上の空港ラウンジが、所定の手続きを行うと利用できる。本会員の場合、年間の回数制限はなし。 |
上の図にある通り、楽天の場合、デビットカードはゴールドカード以上であっても、ラウンジは利用できません。
また、デビットカードでラウンジが利用できる場合でも、回数制限があるケースもあります。例えば、住信SBIネット銀行が発行する
- 住信SBIネット銀行ミライノ デビット PLATINUM(Mastercard)
- ミライノ カード PLATINUM
の2つのカードについても、ラウンジの利用条件を見比べてみましょう。
住信SBIネット銀行ミライノ デビット PLATINUM(Mastercard) | 海外空港ラウンジサービス「ラウンジ・キー」を年間3回まで利用可能。 |
---|---|
ミライノ カード PLATINUM | 海外空港ラウンジサービス「プライオリティ・パス」(プレステージ会員)が利用可能。世界1300カ所以上の空港ラウンジが、所定の手続きを行うと利用できる。本会員の場合、年間の回数制限はなし。 |
年会費も国際ブランドも違うので単純には比較できませんが、海外旅行・出張によく行くなどの理由で、空港ラウンジを使う機会が多いなら、クレジットカードである「ミライノ カード PLATINUM」のほうがやはり便利です。
3.場所、加盟店によっては使えないこともある
- コンビニ、ドラッグストア、スーパーなどでの日用品の購入
- 書籍、化粧品など「1回で支払いが終わる」もののオンラインでの購入
の場合であれば、クレジットカードであっても、デビットカードであってもほぼ問題なく使えます。
しかし、デビットカードは「利用したその場で支払いを行い、同時に利用額を銀行口座から全額引き落とす」という性質上、使えない取引があるのも事実です。
デビットカードで使えない加盟店の例
例えば、住信SBIネット銀行で発行している「住信SBIネット銀行ミライノ デビット PLATINUM(Mastercard)」の場合、Mastercardの加盟店=Mastercardが付帯したクレジットカードが使えるお店であっても、デビットカードでの支払いができないとされています。
Mastercardマーク・Visaマークのある加盟店でも、以下のケースでは利用できません。
高速道路料金
航空機の機内販売
外国為替証拠金取引
コンビニエンスストア等における店頭での公共料金のお支払い
1回あたり1,000円未満のGoogle Payを利用したSuicaへのチャージ
当社判断にて利用を制限している加盟店
※利用を制限している主な加盟店
ecoPayz、Entropay、MPSVGCRESELLER.COM、TSUTAYA DISCAS、U-NEXT、UQモバイル、アット・ニフティ、ケイ・オプティコム、ニコニコ・プレミアム、モバオク、新出光、太陽石油
出典:〔ミライノ デビット〕デビットカードが利用できませんでした。 |住信SBIネット銀行
ゴールドカード以上に相当するデビットカード3選
実際のところ、ゴールドカード以上のデビットカードを発行している銀行は、決して少なくありません。その中には日本各地の地方銀行も多く含まれています。
しかし、これらの地方銀行で銀行口座(普通預金口座)を開設するには
- 自宅、職場の近くに店舗がある
- 「家族、親族が住んでいる」「進学する大学や就職予定の会社から指定された」など合理的な理由がある
ことが必要です。
店頭でお申込みいただく場合には、口座の開設は最寄の支店にてお申込みください
口座の開設は、ご自宅やお勤め先に近く、ご利用に便利な支店にてお申込みください。
この点も踏まえ
- 日本全国どこに住んでいても問題なく口座が開設できる(居住地が口座開設拒否の理由にはなりにくい)
- ゴールドカード、プラチナカードの位置づけとして発行されている
の2つを条件に、おすすめのデビットカードを3つ選びました。
- 楽天銀行ゴールドデビットカード
- 住信SBIネット銀行ミライノ デビット PLATINUM(Mastercard)
- タカシマヤプラチナデビット
を紹介します。
1.楽天銀行ゴールドデビットカード
楽天銀行ゴールドデビットカード(Visa)
発行会社 楽天銀行
国際ブランド VISA
初年度年会費(税込) 5,500円
2年目~年会費(税込) 5,500円
年会費特典 -
発行期間 1週間から10日ほど
キャッシュバック還元率下限 -
キャッシュバック還元率上限 -
ポイント還元率下限 1.00%
ポイント還元率上限 1.00%
1日最大利用限度額 限度額なし
不正利用時の補償 ○
入会資格年齢 16歳以上
おすすめする理由
年会費が5,500円(税込)と、今回紹介するデビットカードの中では、最も安いです。以下のサービスが使えるVisaゴールド特典も利用できるので「まずは気軽にゴールドカードのサービスを体験してみたい」という人でも、抵抗なく使えるでしょう。
Visaプレミアムカーレンタル | 高級車専門のレンタカーサービスが15%オフで利用できる。 |
---|---|
ザ・コンコルド・ワインクラブ | 会員制のワインの頒布会を利用できる。 |
VisaゴールドKaligo | 海外のホテル予約サイト「Kaligo」を利用した際、ポイント(ボーナスマイル)が25%増しになる。 |
Visaゴールド空港宅配 | 出国時、帰国時の自宅~空港間において、荷物を優待価格で配送できる。 |
楽天デビットカードVisaには、楽天銀行シルバーデビットカードも存在します。これは、楽天銀行ゴールドデビットカードから、海外・国内旅行保険を除外した特典が受けられるものです。
おすすめする人
- ネットショッピングは楽天派
- 他にVisaゴールド特典が付帯しているカードを持っていない
- ゴールドカードのサービスをまずは体験してみたい
2.住信SBIネット銀行ミライノ デビット PLATINUM(Mastercard)
住信SBIネット銀行ミライノ デビット PLATINUM(Mastercard)
発行会社 住信SBIネット銀行
国際ブランド MasterCard
初年度年会費(税込) 11,000円
2年目~年会費(税込) 11,000円
年会費特典 -
発行期間 -
キャッシュバック還元率下限 -
キャッシュバック還元率上限 -
ポイント還元率下限 1.00%
ポイント還元率上限 1.00%
1日最大利用限度額 200万円
不正利用時の補償 ○1000万円
入会資格年齢 15歳以上
おすすめする理由
日本国内において発行されている国際ブランドデビットは、VisaやJCBが主流になっています。しかし、このカードは名前にもある通り、数少ないMastercardが付帯した国際ブランドデビットの1つです。
特筆すべきなのは、年会費が11,000円(税込)と、クレジットカードのプラチナカードに比べるとかなり安いにも関わらず、一部のサービスは決して見劣りがしないことでしょう。
例えば、海外・国内旅行保険の場合、自動付帯の状態で、以下の補償が受けられます。
出典:ミライノ デビット PLATINUM(Mastercard) | 商品・サービス | 住信SBIネット銀行
海外空港ラウンジの利用は年3回までと、利用するにあたって注意が必要な部分はあるのは事実です。しかし、それをわかった上で使うと、何かと便利なデビットカードでしょう。
おすすめする人
- Mastercardが付帯したデビットカードが欲しい
- 旅行の度に海外・国内旅行保険を確認するのが面倒だ
- 海外は行っても年1~2回程度
3.タカシマヤプラチナデビット
おすすめする理由
年会費は33,000円(税込)と、今回紹介したデビットカードの中では、最も高額です。名前の通り、百貨店大手の高島屋とソニー銀行が提携して発行しています。
また、デビットカードであるにも関わらず、かなり高いポイント還元率を誇るカードでもあります。髙島屋での利用の場合、利用店舗・内容によって差はありますが、最大で10%のポイントが付与されるのです。
出典:お買い物でのポイント特典|ご利用ガイド/特典|タカシマヤプラチナデビットカード
また、国内のVisaの加盟店でも、利用額に応じて2%のポイントが付与されます。
1つ難点があるとしたら、ポイントが付与されるのは、国内での利用の場合のみです。Visaの加盟店であっても、海外で利用した場合は付与されません。
他にも
- メンバーズサロンの利用特典
- 駐車場の優待サービス 最大5時間無料
- 店内のレストランでドリンクサービスなどの特典
- 購入品は自宅まで無料で配送
など、高島屋をよく使う人であれば、使いこなしたい特典が充実しています。
おすすめする人
- デパートは高島屋派だ
- 基本的に海外で使う予定はない
- 車の運転が苦手、もしくは免許がない(返納した)ので荷物は家まで届けてほしい
- 車で家族を高島屋に連れていく予定がある