デビットカードを普段から問題なく使っていたとしても、何等かのアクシデントが原因で、いきなり使えなくなることは往々にしてあります。この記事では、デビットカードが使えない原因およびその解決法を、ケースごとに解説しましょう。
デビットカードが使えない4つの原因
最初に、デビットカードが使えない4つの原因について考えてみましょう。
大まかには
- 取引の種類に問題がある
- 銀行口座に問題がある
- デビットカードそのものに問題がある
- 操作に問題がある
の4つに分けられます。
1.取引の種類に問題がある
デビットカードは「支払った瞬間に、銀行口座から利用額の引き落としが行われる」カードです。このため「商品・サービスの提供後に最終的な支払い金額が確定する」種類の取引とは、非常に相性がよくありません。
2.銀行口座に問題がある
デビットカードは、支払いを行う際に、銀行口座に相応の残高がないと支払いができません。また、ずっと使っていなかった銀行口座と関連したデビットカードを使おうとしても、銀行側の判断により、銀行口座自体が使えなくなっていることもあります。さらに、振り込め詐欺や違法金融業者の利用などを疑われ、銀行口座の凍結手続きが行われた場合も、デビットカードは使えません。
3.デビットカードそのものに問題がある
デビットカードにはクレジットカードと同じく、ICチップや磁気ストライプが組み込まれています。これらの部品が損傷していた場合は、端末に読み込ませることもできないので、支払いには使えません。また、有効期限が切れていた場合も、支払いには使えないのです。
4.操作に問題がある
デビットカードもクレジットカードと同じく、操作を誤ってしまうと、支払いには使えません。
特に
- 暗証番号
- セキュリティコード
- カード番号
の入力は、間違いやすい部分でもあるので気を付けましょう。
取引の種類に問題がある場合とその解決法
最初に、取引の種類に問題がある場合について、具体的なケースおよび解決法を説明しましょう。
- ガソリンスタンドで使おうとした
- 機内販売で使おうとした
- デポジットに使おうとした
- 加盟店や銀行、カード会社の都合で受け付けていなかった
- 公共料金や携帯電話代金を払おうとした
- 対応していない国際ブランドを使った
- 店員が勘違いしていた
の7つについて、解説します。
1.ガソリンスタンドで使おうとした
ガソリンスタンドでは、デビットカードを支払いに使うことはできません。これは、ガソリンスタンドでクレジットカードを使って支払いを行う際の流れが関係しているのです。
- ガソリンスタンドの店員にガソリンスタンドを入れてもらう場合(有人店舗)
- 自分で操作してガソリンを入れてもらう場合(無人店舗)
の2つの場合について、一般的な支払いの流れを見てみましょう。
有人店舗の場合
- クレジットカードを出す
- 店員が受け取って端末に通す
- 支払回数を聞かれたら答える(1回で、と言えばok)
- 支払額を確認した後、暗証番号入力か署名をする
- その場で決済処理がオンラインで行われて会計終了
- クレジットカードが戻ってきて、レシートを受け取る
無人店舗の場合
- クレジットカードを端末に通す(事前処理あり)
- 燃料の種類、量を選んで確認後給油
- 給油が終わったらカードが戻り、レシートが発行される
基本的に後払い
いずれの場合でも、支払いをするタイミングは「実際にガソリンを入れてから」です。つまり「商品・サービスを提供した後、実際の支払額が確定する」ことになります。
ここで、ガソリンスタンドの支払いの際に、デビットカードが使えたとしましょう。実際の支払額が確定した際に、銀行口座の残高が足りなかったとすると、引き落としができないことになります。そのため、ガソリンスタンド側には、ガソリン代金の未回収が生じてしまうのです。
2.機内販売で使おうとした
飛行機の機内では、計器に影響を及ぼすおそれがあるため、通信機器は基本的に使えません。「その場で支払い情報をカード会社に通信し、銀行口座から引き落とす必要がある」デビットカードも使えないのです。
また、仮にデビットカードで決済を通し、商品を渡したのちに、実は銀行口座の残高が足りなかったことが判明したとしましょう。状況次第では、不足額の回収がきわめて難しくなる恐れがあります。
なお、クレジットカードであっても、通信機器が使えないという特殊な環境であることから、機内販売においては利用に一定の制限が設けられています。
- 高額の支払いになる場合は本人確認を行う
- 着陸後に改めてクレジットカードの有効性を確認する
などの対応がとられているのです。
・クレジットカード会社からの要請により、クレジットカード(ANAカードを除く)にて高額のお支払いをいただくお客様につきましては、パスポート等による本人確認をさせていただく場合がございますのでご了承ください。
・クレジットカードでのお支払いの場合、着陸後に再度当該クレジットカードの有効性を地上にて確認させていただく場合がございますのでご了承ください。
出典:機内免税品販売のご利用について | Service & Info [国際線] | ANA
3.デポジットに使おうとした
国内外問わず
- レンタカー会社で車を借りる
- ホテル、旅館に宿泊する
場合は、デポジット(=保証金)として、一定額の現金もしくはクレジットカードを預ける決まりが設けられている場合が多いです。
- ルームサービスを利用した
- 車の部品が壊れた
など、追加での精算が必要になった場合は、まずデポジットとして預けた分から支払いに回します。
このため
- デビットカードでのデポジットでの支払い自体を受け付けていない
- デビットカードでデポジットを払う場合は、クレジットカードより多めに徴収する
などの決まりが設けられていることは多々あります。
4.加盟店や銀行、カード会社の都合で受け付けていなかった
デビットカードでは対応が難しい「商品・サービスの提供の後に、最終的な支払い金額が確定する」タイプの取引を行っているわけではなくても、加盟店・カード会社・銀行の判断で、デビットカードでの支払いを受け付けていないケースもあります。
例えば、みずほ銀行が発行する「みずほJCBデビット」の場合、以下の店舗・サービスでは利用できません。
5.公共料金や携帯電話代金を払おうとした
公共料金や携帯電話代金をデビットカードで支払えるかどうかは、カード会社および銀行の方針によって異なります。ここで、公共料金や携帯電話代金を支払う際の流れについて考えてみましょう。
公共料金、携帯電話料金は毎月一定の日を引き落とし日と定めて、その日に利用者のクレジットカードや銀行口座に対して引き落とし処理を行います。デビットカードの場合、銀行口座に残高がなければ、引き落としはできません。そのため、残高不足で引き落としができなかった場合は、一時的にせよ、銀行が立て替える必要が出てくるのです。
6.対応していない国際ブランドを使った
デビットカードにも、クレジットカードと同じく、国際ブランドが付帯しています。
クレジットカードやデビットカードが使える店舗であっても、どの国際ブランドに対応しているかはまちまちです。VisaやMastercardが使えてもJCBは使えない、という店舗も珍しくありません。
7.店員が勘違いしていた
支払いの際に「デビットカードで」と伝えると、通じないことがあります。これは、日本では国際ブランドが付帯しているデビットカードに加えて、独自の「J-Debit」というシステムがあるためです。
簡単に言うと
仕組みを指します。
【解決法】クレジットカードを使うのが無難
結局のところ、どんな店舗・サービスで利用できないのかは、デビットカードを発行する銀行やカード会社によって、多少の差があります。デビットカードが支払いに使えるか判断に迷った場合は、クレジットカードを使ったほうが無難でしょう。
銀行口座に問題がある場合とその解決法
銀行口座そのものに問題がある場合も、デビットカードは使えません。
ここでは、銀行口座そのものに問題があるケースとして
- 銀行口座の残高が足りない
- 銀行が何等かの理由で利用を制限している
- 銀行口座自体が凍結されていた
の3つについて解説しましょう。
1.銀行口座の残高が足りない
ほとんどのデビットカードは、銀行口座の残高を超えて決済を行うことはできません。そのため、支払いをしようとしている金額が、その時点での銀行口座の残高を上回っていた場合は、支払えないと考えましょう。
2.銀行が何等かの理由で利用を制限している
また、残高自体には問題がなくても、銀行側の判断で口座の利用が制限されている場合があります。
当行は、口座の不正利用防止の観点から、パワーフレックス取引共通規定第10条第4項に基づき、下記3つの全条件に該当する口座について、当行所定の時期に、円普通預金からの出金を事前通知なく停止いたします(入金・自動引落し等は停止されません)。
・24ヵ月間※、入出金等のお取引がないこと(利息組入れを除きます)
・円貨または外貨の普通預金またはパワー預金のみ保有されていること
・口座合計残高(外貨預金については停止時点の当行所定の外国為替相場による円換算額)が1,000円未満であること
出典:口座不正利用防止のための普通預金出金停止措置について|[新生銀行]
普段から使っているデビットカードであれば考えにくいですが、ずっと使っていなかったデビットカードの場合は注意しましょう。
3.銀行口座自体が凍結されていた
- 債務整理をした
- 銀行口座が犯罪に使われたと判断された
場合は、銀行口座が凍結されます。
このうち、深刻なのは「銀行口座が犯罪に使われたと判断された」ケースです。
考えられるのは
- 振り込め詐欺
- 銀行口座の売買
- 違法貸金業者(闇金)の利用
などでしょう。当てはまる場合、銀行と警察の判断で、銀行口座の凍結手続きが行われます。
【解決法】銀行口座の状態をチェックしよう
最初にやるべきことは
ことです。
特に、今まで問題なく使えていたデビットカードが使えなくなった場合は、注意が必要です。デビットカードと同じ銀行から発行されているキャッシュカードでATMが使えるかどうか、確認してみましょう。
残高は十分にあるのに、引き出しができない場合は、すぐに銀行に行き、状況を調べるのをおすすめします。
デビットカードそのものに問題がある場合とその解決法
デビットカードそのものに何らかの問題がある場合も、当然支払いには使えません。
考えられる理由として
- 有効期限が切れていた
- ICチップや磁気ストライプが破損した
- 銀行が一括変更を行った
の3つについて説明しましょう。
1.有効期限が切れていた
デビットカードにも、クレジットカードと同じように、有効期限が設けられています。
例えば、このデビットカードの場合、有効期限のところに「02/23」と書かれているため、「2023年2月末日まで使える」という意味です。有効期限が過ぎてしまうと、当然使えなくなってしまいます。
デビットカードの利用状況に何らかの問題があった場合を除き、有効期限が近付いてきたら、新しいカードが送られてくるのが一般的な流れです。
2.ICチップや磁気ストライプが破損した
デビットカードには、ICチップや磁気ストライプが組み込まれています。簡単に言うと、これらの部品にデビットカードの情報を記憶させているのです。
しかし
- 磁石やテレビなど、強い磁気を発するもののそばに置いていた
- 水やほこりなどの汚れがついたのに放置していた
などの理由で、ICチップや磁気ストライプがダメになってしまうことがあります。
気を付けるべきポイントとして
- 磁石やテレビなど、強い磁気を発するもののそばに置かない
- 水やほこりなどの汚れがついたらすぐぬぐう
- カードに強い力をかけたり、折り曲げたりしない
- 突起物、固い金属にぶつけないよう気を付ける
- 他のカードと重ねて保存しない
などが挙げられます。
3.銀行が一括変更を行った
銀行によっては、システムの変更・セキュリティの強化を目的として、デビットカードの一括変更を行う場合があります。
通常、そのような一括変更を行う際は
- 新カードへの切り替え
- 発送スケジュール
- 旧カードの使用終了日
などの重要事項について、事前に告知があります。
しかし、何等かの理由で、これらの告知をすべて見逃してしまうこともあるはずです。そうなると「ある日、気がついたら使えなくなっていた」という事態になりうるので、気を付けましょう。
【解決法】新しいものに替えてもらおう
これらの問題の唯一の解決策は
です。
コールセンターやオンラインでも手続きを受け付けている場合が多いので、まずは連絡してみましょう。
また、別のデビットカードを申し込むのも、一つの方法です。
操作に問題がある場合とその解決法
デビットカードを使うときの操作に問題があった場合も、支払いはできません。
ここでは、代表的な例として
- オンラインショッピングで入力を間違えた
- 一定回数以上暗証番号を間違えた
- 1回払い以外を指定した
- 利用可能時間外に利用した
の4つを解説します。
1.オンラインショッピングで入力を間違えた
オンラインショッピングでの買い物でデビットカードを使う場合は
- カード番号
- カード会員の氏名
- セキュリティコード
- 有効期限
を所定のフォームに入力します。このうち、どれか1つでも間違っていたら、決済は通りません。
また、デビットカードによっては、3Dセキュアを導入していることがあります。
3Dセキュアとは、簡単に言うと
システムのことです。
このようなデビットカードの場合、質問と答えの組み合わせを間違えてしまうと、支払いができないことになります。
2.一定回数以上暗証番号を間違えた
店舗によっては、端末にデビットカードを差した状態で、暗証番号の入力を求められることがあります。その際、4桁の暗証番号を入力するのですが、セキュリティの関係上、一定回数以上(目安は3~4回)間違えると、ロックがかかってしまいます。
暗証番号がわからないからといって、やみくもに4桁のが番号を入力するのはやめましょう。
3.1回払い以外を指定した
デビットカードはあくまで「利用金額をその場で銀行口座から引き落とす」仕組みのカードです。
4.利用可能時間外に利用した
デビットカードによっては、システムメンテナンスなどの理由で、利用できる時間に制限を設けている場合があります。例えば、みずほ銀行が発行する「みずほJCBデビット」の場合、以下の曜日・時間帯には利用できません。
【利用不可時間(日本時間)】
土曜日22時00分~日曜日8時00分
毎月第1、第4土曜日3時00分~5時00分
【解決法】自力でわからないならコールセンターに連絡
- 暗証番号がわからなくなってしまった
- デビットカードが使えない時間帯がわからない
- その他、調べてみたけど自分ではわからない
場合は、コールセンターに連絡してみましょう。通常、デビットカードの裏には、銀行のコールセンターの電話番号が書いてあるはずです。その番号に電話をかければ、適切な部署に電話をつないでくれるので、状況を説明しましょう。
まとめ
と焦る気持ちもわかります。しかし、大事なのは「なぜ、使えなくなったのか」を特定し、それに見合った対処法をとることです。お金に関連することだけに、対処法を間違うと、様々な弊害が生じるので注意しましょう。