ゴールドカードと聞くと
と、総じて「一般カードより審査に通りにくい」というイメージを持たれがちです。確かに、一般カードよりは審査基準は厳しいですが、昔に比べると「普通に会社勤めをしている人なら十分に審査に通る可能性がある」ものになっています。もちろん、審査に通る可能性があるだけで、相応の理由があるなら審査に落ちてしまうため、そこは注意が必要です。
そこで今回の記事では
- ゴールドカードの審査基準
- ゴールドカードの審査に落ちる原因
について、詳しくしましょう。
ゴールドカードの審査基準
ゴールドカードも含めて、クレジットカードの審査においては、3Cが重視されます。
Capacity(資力) | 継続して返済を続けるために一定の収入が定期的にあるかという返済能力を調査する。 |
---|---|
Character(性格) | お金に関しての性格、つまり決められた日にきちんと返済できるかどうか等のまじめさと信頼性を調査する。 |
Capital(資産) | 資産を表し、負債の担保として不動産や車・有価証券・貯蓄があるかを調査する。 |
実際は、これらの3Cと密接に関連する様々な指標を用いて「この人にクレジットカードを発行しても大丈夫か」を判断することになります。ゴールドカードの審査においては、どんな指標を、どんな基準で判断しているのかを、これから詳しく解説しましょう。
- 年収
- 年齢
- 職業
- 勤続年数
- 家族構成
- 居住形態
1. 年収
年収=1年間の収入は、クレジットカード審査においてチェックされると考えましょう。具体的にどんなところが見られているのかを解説します。
「平均年収に達しているか」が1つの基準になる
クレジットカードを申し込む際は、申込書やフォームに必ず年収を記載する欄が設けられています。「一定期間における利用額を後日請求し、後払いしてもらう」のが基本である以上、それに耐えられるだけの支払能力があるか=お金を稼いでいるかが重要になるためです。
1つの判断基準になるのが「平均年収に達しているか」でしょう。国税庁は毎年「民間給与実態統計調査」といって、日本中の民間企業で働く人の平均給与に関するデータを集計しています。平成30年=2018年の民間給与実態統計調査によれば、年齢階層別の平均給与のデータは以下のようになりました。つまり、1人当たりの平均年数は約440万円と考えましょう。
年齢層 | 平均収入(円) |
---|---|
19歳以下 | 1,371,000 |
20歳~24歳 | 2,670,000 |
25歳~29歳 | 3,702,000 |
30歳~34歳 | 4,101,000 |
35歳~39歳 | 4,478,000 |
40歳~44歳 | 4,763,000 |
45歳~49歳 | 5,016,000 |
50歳~54歳 | 5,285,000 |
55歳~59歳 | 5,204,000 |
60歳~64歳 | 4,160,000 |
65歳~69歳 | 3,256,000 |
70歳以上 | 3,055,000 |
合計 | 4,407,000 |
参照:標本調査結果|国税庁
年収200万円代でも通る可能性はある
もちろん、これらの数字は
- 企業規模
- 男女の性別
- 住んでいる地方
を問わず、年齢だけで分類して平均値を出したものです。そのため、実際にいくらなら「人並にもらっているのか」は、その人の置かれた状況によって異なります。極論すれば、年収が200万円台であっても、地方公務員など安定継続した収入を得られる仕事についていれば、ゴールドカードの審査に通る可能性は十分にあるのです。
2.年齢
ゴールドカードによっては、申し込み条件の1つに年齢制限を設けていることがあります。年齢はどれだけ審査において重視されているか、考えてみましょう。
申し込み水準を満たしているかが重要
もし「満30歳以上の方」など、具体的な年齢制限が申し込み条件にあった場合は、まずはその条件を満たすかどうかを確認しましょう。
20代で申し込む場合は「20代専用」「若年層向け」を打ち出しているものを
もし、20代のうちにゴールドカードを手に入れたいと思うなら「20代専用」「若年層向け」など、若い人に使ってもらうことを前面に押し出しているものを選びましょう。そのほうが審査に通りやすいためです。
クレジットカード会社にとって、経営を安定させていく上で重要な課題の1つになっているのが「いかに長く自社のクレジットカードを使い続けてもらうか」ということです。自社のクレジットカードを使い続けてもらえれば、決済手数料が安定的に入ってくるため、長期にわたって経営を安定させることができます。
このような背景があるため、どのクレジットカード会社も、若年層(学生、新社会人)の獲得には注力しているのが実情です。
3.職業
ゴールドカードに限らず、クレジットカードを申し込む際は職業についても記載しないといけません。この点について、掘り下げてみましょう。
最強なのは「正社員」
クレジットカード会社のWebページやパンフレットに掲載されているゴールドカードの案内を読むと、申し込み条件に以下のような文言が書かれているケースが多いです。
この条件を満たす職業の代表例が「会社員(正社員)」です。日本の場合、正社員に関しては非常に厳しい解雇要件が設けられています。つまり、そう簡単にクビにはできないため、継続安定した収入を得やすいと考えられているのです。もちろん、企業の規模が大きければ大きいほど、年収も高い傾向にあるので有利ですが、小規模な企業であっても、毎月コンスタントに給料がもらえているなら、そこまで不利にはなりません。
同様の理由で
- 医師、弁護士などの専門職
- 国家公務員、地方公務員
なども、ゴールドカードの審査においては有利と考えられます。
無職、フリーターだと厳しい
一方「継続安定した収入」という意味で不利なのが、無職やフリーターです。無職の人の場合、そもそも収入自体がありません。また、フリーターも、実際にシフトに入った日の分しか給料が出ないため、本人が体調を崩したり、東日本大震災や新型コロナウイルス感染症のような大規模災害が起こったりした場合は、収入が絶たれてしまうリスクが上がります。
年収が高くてもダメなケースもある
また「継続安定した収入」ではない、という意味では
- 芸能人
- スポーツ選手
- 水商売
- 専業トレーダー
- 起業家
なども不利になります。
4.勤続年数
ゴールドカードを含めたクレジットカードの申込の際には、書類やフォームに勤続年数を書く欄が設けられています。この勤続年数も、審査に大きく影響しているのです。
転職したてならちょっと待った方がいい
結論から言うと、勤続年収が長ければ長いほど、審査においては有利になります。
理由として考えられるのは
- 日本の会社は年功序列であるケースが多く、勤続年数が長ければ長いほど給料が高くなる
- 勤続年数が長いということは、その会社で必要とされてきたためであるので、解雇されるリスクは低い
の2つです。つまり「それなりに給料をもらえる立場である上に、解雇されるリスクも低い」ことから、「継続安定した収入がある」人として扱ってもらいやすいと考えましょう。
もちろん、今は従来に比べると、日本でもキャリアアップを目的とした転職が行われるのも珍しくなくなりました。また、年功序列も崩れ始めているため「勤続年数が長い人のほうが給料は高い」とは言い切れないのも事実です。そのため、勤続年数が短くてもあまり悲観しすぎる必要はありません。
しかし、転職してから半年間は、ゴールドカードも含め、クレジットカードの新規申し込みはしないほうが無難でしょう。
日本の会社には、試用期間が設けられているケースがほとんどです。つまり、会社は「この人はうちの会社でやっていけるかどうか」を見極め、採用された人は「自分はこの会社でやっていけるかどうか」を考えるための「お試し期間」と考えましょう。
試用期間を経てお互いが合意に至れば本採用になる一方で
- 採用された人が「この会社は自分には合わないのでは」と判断した
- 採用した会社が「この人はうちの会社ではやっていけないのでは」と判断した
場合は、本採用は行われないことになります。
- 業務を遂行する能力がない
- 遅刻や欠勤が多く、勤務態度が極めて悪い
- 他の社員と協調できない
- 上記3点について、注意や指導をいくら行っても改善がみられない
- 解雇相当の不正行為があった
- 重大な経歴詐称が発覚した
試用期間は会社や採用された人の状況によって多少の差はあるものの、3カ月から半年程度が一般的です。つまり、転職してから半年以上たってからクレジットカードに申し込めば、クレジットカード会社側にも「本採用してもらった」ととらえてもらえるので、有利になるでしょう。
5.家族構成
家族構成も、ゴールドカードを含めたクレジットカードの審査に影響する要素の1つです。
一人暮らしよりは家族と同居しているほうが有利
結論から言うと、一人暮らしよりは家族と同居しているほうが、プラスには働くでしょう。
- 本人に支払い能力がなくなった場合に家族が代わりに支払ってくれる可能性がある
- 本人に連絡がつかない場合でも、家族を介して連絡を取れることがある
など、家族がいることでクレジットカード会社が請求額を回収できる可能性が残されるためです。
もちろん、仕事をしていれば、単身赴任をしないといけなかったり、実家が遠いため職場のそばに住まないといけなかったりなど、一人暮らしをせざるを得ない事情はいくらでもあります。
6.居住形態
家族構成と同様、居住形態もクレジットカードの審査に少なからず影響を及ぼします。
賃貸よりは持ち家のほうが有利
クレジットカードの審査においては、賃貸よりは持ち家に住んでいるほうが有利と言えるでしょう。
もちろん、賃貸に住んでいるからといって、クレジットカードの審査に通らないわけではありません。
- いわゆる転勤族であるため、持ち家を購入することが現実的に難しい
- 将来的に実家の相続が起こりうる関係で、手元に現金を残しておきたい
など、金融資産や預金残高が十分であっても、賃貸に住んでいる人はたくさんいるのが実情です。他に目立った問題がなければ、賃貸であっても十分にゴールドカードを含めたクレジットカードの審査に通る見込みはあります。
ゴールドカードの審査に落ちる原因は?
それでは、何が原因でゴールドカードの審査に落ちてしまうのか、具体的に考えていきましょう。
【前提】以前に比べると審査には通りやすくなっている
日本では、1960年代から銀行などが出資したクレジットカード会社が会員を募集し、クレジットカードの発行を開始しました。その時、主要な顧客層としてターゲットにされていたのは医師・弁護士などの専門職や経営者、上場企業の社員など「比較的お金を持っていそうな人=富裕層」だったため、クレジットカードを持っていること自体が社会における地位の高さを示していたのです。その後、一般会員よりさらに優遇する目的でゴールドカードの発行を開始するクレジットカード会社が出てきました。クレジットカードが持てる富裕層の中でも、さらに選ばれた人しか持てない、というのがゴールドカードの実態だったのも確かでしょう。
しかし、2020年代の今となっては、クレジットカード自体は学生や主婦、フリーターや年金生活者でも持てるほど、一般的なものになりました。また、クレジットカード会社もゴールドカードよりさらに上の会員ランクに属するクレジットカードとして、プラチナカードやブラックカードを発行しています。相対的に見れば、ゴールドカードが「一部の限られた人のためのもの」から「ちょっと頑張れば手が届くもの」に変化しているのも事実です。
ゴールドカードの審査のハードルは下がったといっても、今の自分の状況に見合っていないクレジットカードだった場合は、やはり審査に通りません。その場合は「今の自分ならどんなクレジットカードを作れるのか」改めて考えてみましょう。
ゴールドカードの審査に落ちる原因
これまでの内容を踏まえて、ゴールドカードの審査に落ちる原因として
- 勤続年数が短い
- 年収があまりに少ない
- クレジットカードの利用に関してトラブルを起こした
- 奨学金の返済や携帯電話の月額使用料を延滞した
- リボ払い、分割払い、キャッシングを利用しすぎている
- 申込書類に不備があった
の6つについて、解説しましょう。
1.勤続年数が短い
既に触れた通り、日本の会社には試用期間が設けられているのが一般的です。試用期間が終わるまでは、その会社に本採用されるのかわからない以上、継続安定して収入が得られる見込みがあるとも言えないのです。
2.年収があまりに少ない
住んでいる地方や業種によっては、もらえる年収が平均年収より大きくかけ離れていることも十分に考えられます。年収があまりに少ない場合は、日々の生活を維持していくだけでも精いっぱいになるのも珍しくありません。
3.クレジットカードの利用に関してトラブルを起こした
一般カードからのグレードアップとしてゴールドカードを考えている場合、注意したいのが「過去のクレジットカードに関連したトラブル」です。債務整理、強制解約など個人信用情報に異動情報が登録されるほどのトラブルはもちろん、クレジットカード会社とのやり取りでもめた場合も、審査においては不利になります。
4.奨学金の返済や携帯電話の月額使用料を延滞した
個人信用情報に異動情報として登録される、という意味では奨学金の返済や携帯電話の月額使用料にも注意しましょう。
クレジットカードやローンなど、お金の貸し借りを前提とする取引(信用取引)の契約・利用にあたっての審査において、金融機関の担当者がデータベースにアクセスし、審査に利用する仕組みです。
そして、クレジットカードの請求額、奨学金、携帯電話の月額使用料(端末の購入代金を含む)などの返済・支払いが滞った場合は、個人信用情報に異動情報として登録されるケースがあります。
これが登録されてしまうと
- クレジットカードの新規発行の見送り
- クレジットカードの強制解約
- ローンの一括返済
などの措置が取られると考えましょう。
5.リボ払い、分割払い、キャッシングを利用しすぎている
ゴールドカードに限らず、他のクレジットカードでリボ払い、分割払い、キャッシングを利用していた場合、新しいクレジットカードに申し込む際は注意が必要です。
2018年6月1日から施行された改正割賦販売法において、クレジットカード会社には支払可能見込額の算定およびそれに基づく利用限度額の設定が義務付けられました。つまり、下記の式で支払可能見込額を算定し、妥当と判断される利用限度額(支払い可能見込み額の90%~100%)を設定するのです。
支払可能見込額 = 年収(※1) - 年間請求予定額(※2) - 生活維持費(※3)
※1:申込者が申告した年収額
※2:指定信用情報機関に登録されている申込者の1年間のクレジット代金支払予定金額
※3:割賦販売法で定められている生活を維持するために必要な1年間の金額
リボ払い、分割払い、キャッシングを利用すると、年間請求予定額は上がります。一方で、支払可能見込額は下がってしまうため
- ゴールドカードを含めたクレジットカードが発行されても、利用限度額が低くなる
- クレジットカードの発行自体が見送りになる
など、審査においては非常になります。
6.申込書類に不備があった
別にゴールドカードに限ったことではありませんが、クレジットカードの申し込みにおいては、申込書類の不備が致命傷になりかねません。
- 年収、居住年数などの数字を正しく書いているか
- 必要な本人確認書類は添付されているか
- 誤字、脱字はないか
などを今一度チェックし、抜け・漏れがないようにしましょう。