全東信の破産でクレジットカードはどうなった?止まったのは店の端末で、カードではない

利用者・お店・決済代行・カード会社を横一列に並べ、決済代行のところが止まったことを示したアイキャッチ

いつも使っている店でクレジットカードが通らなくなった。カード会社に問い合わせても、カード自体には問題がないと言われる。2026年7月、こうした状況が各地で起きました。原因はカード会社でも利用者でもなく、決済のつなぎ役だった1社の破産です。この記事では、カード会社5社と自治体が公表した内容から、何が起きて、利用者と店に何が及んだのかを整理します。掲載内容は2026年9月30日時点で各社・各自治体のページに表示されていたものです。

先に結論

  • クレジットカード決済代行サービスを提供していた株式会社全東信が、2026年7月6日付で大阪地方裁判所から破産手続開始決定を受けました。
  • 同社によるサービスは即日中止となりました。段階的な移行期間はありませんでした。
  • セゾンカードは「同社の決済端末を導入している一部店舗においてセゾンカードを含むクレジットカードのご利用ができない状況となっております」と告知しました。
  • 使えなくなったのはその店の端末であって、利用者のカードが止まったわけではありません。
  • JCB・イオン・UCカード・ダイナースクラブ・セゾンの各社が、7月6日から8日にかけて相次いで告知を出しています。
  • 株式会社全東信は令和8年7月31日にセーフティネット保証1号の指定事業者に指定されました。

2026年7月6日に何が起きたか

JCBは2026年7月6日付の案内で、次のように書いています。

クレジットカード決済代行サービスを提供しておりました株式会社全東信が、2026年7月6日付で大阪地方裁判所より破産手続開始決定を受け、同社によるサービスは即日中止となりました。

同じ内容が、各カード会社から相次いで出されました。文面はほぼ共通で、いずれも「加盟店様におかれましては、内容をご確認のうえ対応いただきますよう」と、店側に向けた呼びかけが中心です。

表1|株式会社全東信の破産についての告知(各社の公表日)
告知を出した会社 公表日 告知の表題
JCB 2026年7月6日 株式会社全東信の破産手続開始に伴うご案内
イオン(加盟店向けサイト) 2026年7月7日 株式会社全東信の破産手続開始に伴うお知らせ
UCカード 2026年7月7日 株式会社全東信の破産手続開始に関するお知らせ
ダイナースクラブ 2026年7月7日 株式会社全東信の破産手続開始に関するお知らせ
セゾンカード 2026年7月8日 株式会社全東信の破産手続開始に伴うご案内

ブランドを越えて同じ日付近で告知が並んだ点が、この出来事の性質を示しています。特定のカード会社の問題ではなく、その手前にある共通のインフラが止まったということです。

JCBの株式会社全東信の破産手続開始に伴うご案内のページの画面キャプチャ
JCB「株式会社全東信の破産手続開始に伴うご案内」(2026年7月6日付)。破産手続開始決定と即日サービス中止が記載されている(2026年9月30日確認)

なぜカードが使えなくなるのか。決済代行の位置

店頭でカードを出してから請求が届くまでには、複数の会社が関わります。決済代行会社は、店とカード会社の間に入って、端末の提供・売上データの取りまとめ・入金の取りまとめを担う立場です。

図1|カード決済に関わる会社の並び

  1. ①利用者/店頭でカードを出す。カードはカード会社(イシュア)が発行している。
  2. ②お店(加盟店)/決済端末で読み取る。端末と契約の窓口は決済代行会社であることが多い。
  3. ③決済代行会社/複数のカードブランドとの契約を店に代わってまとめ、売上データを流し、代金を店へ入金する。ここが止まると、②と④がつながらなくなる。
  4. ④カード会社/利用者へ請求し、加盟店側へ代金を渡す。

店が1社ずつカード会社と契約すると手続が煩雑になるため、決済代行会社がまとめて引き受ける形が広く使われています。裏返すと、その1社が止まれば、その店のカード決済はブランドを問わず一斉に止まります。加盟店契約と決済代行の位置づけはカードが使える店はどう決まるかで、割賦販売法の登録制度から整理しています。

カード決済の登場人物そのものの整理は、クレジットカードの仕組みも参照してください。

利用者に何が起きたか。カードは止まっていない

セゾンカードは、利用者向けに具体的な案内を出しています。

株式会社全東信の破産に伴い、同社の決済端末を導入している一部店舗においてセゾンカードを含むクレジットカードのご利用ができない状況となっております。ご利用店舗で本事象によりクレジットカードがご利用できない場合には、他決済手段をご利用いただきますようお願い申しあげます。

ここで重要なのは「セゾンカードを含むクレジットカード」という書き方です。使えなくなったのは特定ブランドではなく、その店の端末を通るすべてのカードです。手持ちのカードに問題があるわけではないので、別のカードに持ち替えても同じ店では通りません。

図2|店でカードが通らないとき、原因はどちら側にあるか

店側の事情

端末や決済代行の障害。どのカードを出しても通らない。同じ店の別の端末なら通ることがある。

この事案はここに当たる。

カード側の事情

利用可能額の不足、有効期限切れ、不正利用検知による停止など。別の店では通ることが多い。

カード会社に問い合わせれば理由が分かる。

切り分けは「別の店で通るかどうか」です。別の店で通るなら店側、どこでも通らないならカード側の事情を疑います。カード側の事情については、利用通知が来ない理由や信用情報の保有期間も手がかりになります。

セゾンカードの株式会社全東信の破産手続開始に伴うご案内のページの画面キャプチャ
セゾンカード「株式会社全東信の破産手続開始に伴うご案内」(2026年7月8日付)。利用者向けの案内と、事業者向けの代替決済事業者の紹介が並んでいる(2026年9月30日確認)

店側に何が起きたか。売上の入金が止まる

影響がより深刻なのは店側です。東京都北区は産業支援のページで、同社を「クレジットカード売上の立替入金サービスを手がける『株式会社全東信』(大阪市)」と説明しています。カードで売れた分の代金は、いったん決済代行会社が受け取り、そこから店へ入金される仕組みです。その会社が破産すれば、入金を待っていた売上の行方が問題になります。

クレディセゾンは、決済が止まって困っている事業者向けに、同社に代わって契約と決済端末の提供が可能な事業者として、STORES株式会社、株式会社ジェイブリッツ、アルファノート株式会社、株式会社USEN FinTechの4社を紹介しました。各社はクレディセゾンと包括代理加盟店契約を締結している正規パートナー企業だとしています。

公的な支援も動いています。東京都北区のページによれば、株式会社全東信は令和8年7月31日にセーフティネット保証1号に規定する指定事業者に指定されました。取引先の倒産により経営に影響を受けた中小企業が、信用保証協会の別枠の保証を受けられる制度です。

同ページは、中小企業・小規模事業者への支援として経済産業省の特別相談窓口、日本政策金融公庫、東京信用保証協会へのリンクも掲げています。

東京都北区のクレジットカード決済代行会社の破産手続き開始情報のページの画面キャプチャ
東京都北区「クレジットカード決済代行会社『株式会社全東信』の破産手続き開始情報」。セーフティネット保証1号の指定事業者に指定されたことが記載されている(2026年9月30日確認)

このあと利用者が確かめておくこと

今回のような事態で、利用者側が自分で確かめられることを整理します。

表2|利用者が確認できること/公表資料からは確認できないこと
項目 確認できるか 確認の方法
自分のカードが使えるかどうか できる カード会社の会員サイト・アプリで利用可能額と有効性を見る。別の店で試す
その店で使える決済手段 できる 店頭の掲示。店が別の決済事業者へ切り替えていれば復旧している
すでに決済が通った取引の請求 今回確認した告知には記載なし カード会社の利用明細で照合する。身に覚えのない請求はカード会社へ照会
決済代行会社の破産手続の進行 公表資料の範囲に限る 各社の告知、自治体の情報提供ページ

今回確認した各社の告知は、いずれも「サービスが即日中止になった」「一部店舗で使えない」「他の決済手段を」という3点が中心で、すでに成立した取引の扱いには触れていません。明細に不明な点があれば、推測せずカード会社へ照会してください。

日常の備えとしては、決済手段を1つに絞らないことが直接の対策になります。現金、別ブランドのカード、コード決済のいずれかを併せ持っていれば、店側の障害で支払いができなくなる場面を減らせます。カードを複数持つときの考え方はクレジットカード2枚目の選び方で扱っています。

全東信の破産とクレジットカードについてよくある質問

私のクレジットカードは使えなくなったのですか。
カード自体は止まっていません。セゾンカードの告知は「同社の決済端末を導入している一部店舗においてセゾンカードを含むクレジットカードのご利用ができない状況」と書いています。使えなかったのはその店の端末であり、別の店では通常どおり使えます。
いつ、どこで決定されたのですか。
2026年7月6日付で大阪地方裁判所から破産手続開始決定が出されたと、JCB・イオン・UCカード・ダイナースクラブ・セゾンカードの各社が告知しています。同社によるサービスは即日中止となりました。
すでに支払った分の請求はどうなりますか。
この記事で確認した各社の告知には、すでに成立した取引の扱いについての記載がありませんでした。利用明細を確認し、不明な点はカード会社に照会してください。公表されていないことを推測して判断しないでください。
店側はどうすればよいのですか。
クレディセゾンは、同社に代わって契約と決済端末を提供できる事業者としてSTORES株式会社、株式会社ジェイブリッツ、アルファノート株式会社、株式会社USEN FinTechの4社を案内しています。資金繰りについては、株式会社全東信が令和8年7月31日にセーフティネット保証1号の指定事業者に指定されており、信用保証協会の別枠保証を検討できます。
決済代行会社とは何をする会社ですか。
店とカード会社の間に入り、決済端末の提供、売上データの取りまとめ、代金の立替入金などを担う会社です。東京都北区は同社を「クレジットカード売上の立替入金サービスを手がける」会社と説明しています。店が複数のカードブランドと個別に契約する手間を省く役割があります。
同じことがまた起きたらどうすればよいですか。
店側の事情でカードが通らないときは、その場で別の決済手段に切り替えるほかありません。別のカードを出しても同じ端末を通るため通らないことが多い点に注意してください。現金やコード決済を併用しておくのが直接の備えになります。

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30枚以上のクレジットカードを保有するFP。一般カードから、ゴールドカード、プラチナカード、ブラックカード、法人カード、デビットカード、ETCカードと様々なカードを持ち、お得にカードを使うためにどうすれば良いのか?楽しく検証しています。マイルやポイントを貯める方法を中心につぶやきます。