凸版印刷株式会社は、地域における決済サービスをまとめてデジタル化し、1枚のカードやスマートフォンのアプリだけで複数の決済サービスのキャッシュレスな利用を可能にする決済プラットフォーム「地域PayTM(チイキペイ)」の提供を全国の自治体や商店街に向けて2019年5月22日より開始したと発表しました。
地域PayTM(チイキペイ)とは?
地域PayTM(チイキペイ)とは
凸版印刷と富士通エフ・アイ・ピーが共同で運営する決済基盤「サーバ管理型プリペイドASPサービス(ギフトカードやハウス電子マネーの残高管理を行うリアルタイムプロセッシングサービス)」のシステムを活用することで複数の決済サービスをまとめてプラットフォーム化するとのことです。
地域PayTM(チイキペイ)の特徴
商店街ポイントのデジタル化
カードまたはスマートフォンのアプリに表示したQRコードで地域のお店で買い物をした際のポイント付与
地域限定の電子マネー「地域マネー」
地域内の商店のみで使えるプリペイド式の電子マネー
プレミアム商品券や給付金のデジタル化
紙商品券をデジタル化することにより、利用時の回収業務や集計・精算業務を低減するなど運用コストを削減
自治体ポイントのデジタル化
自治体における健康関連やボランティアイベントの参加で付与される健康ポイントやボランティアイベント、行政サービスの利用などをポイント化
観光カード
地域のさまざまな観光施設の入場パスなどとセットになったお得なプリペイド機能付きの観光カードを提供し、地域外からの誘客を支援
地域PayTM(チイキペイ)の考察
具体的なサービスモデルは紹介されていないものの、リリースから推察すると
「地域Pay」を商店街などで使うと
- 地域独自のポイントが貯まる
- 地域独自の割引がある
- 地域のボランティアなどで貯めたポイントで買い物ができる
- 観光客(インバウンド)の需要を地域に取り込む
というものかと推察されます。
仕組み的にはQRコード決済ですので、PayPayやLinePayと同じです。
仕組み的には
- 地域内での消費を促進する
- インバウンド需要を狙う
- 政府から補助金などの支援を狙う
・・・
と、大義名分が並びますが、普及するかどうかは微妙なラインと言えるでしょう。
ボトルネックは
- 地域の商店街で買い物をする高齢者がQRコード決済に対応できるのか?
- 全国対応でないQRコード決済の導入は、全国対応のQRコード決済と比較して敬遠されるのでは?
- 大手のQRコード決済(PayPayやLinePay)に還元率で勝てるのか?
- 大手のQRコード決済(PayPayやLinePay)に利便性で勝てるのか?
・・・
普及させるためには、いろいろな壁があるのではないかと考えられます。
しかも、「地域Pay」をお店が導入するには
サービス運用開始後、導入事業者のキャッシュレス推進支援のため運用コストを抑えて提供します。
と書いてあるものの
・管理運用費:月額 数万円程度~ (プラットフォーム保守・運用費用)
※初期導入費用、カード発行、アプリ開発費用等は別途見積
というコストが発生します。
PayPayのコストは
決済手数料:0円(※2023年9月30日まで)
入金手数料:0円
ですから、いきなり、初期費用や月数万円の管理運用費を取るのであれば、店舗側が敬遠してしまうはずです。商店街の組合から強制的に加入を促進しても、誰も使い始めない状況になれば、普及はかなり難しいのではないでしょうか。
将来的に「ふるさと納税」のキャッシュバックやポイント付与と連動できるのであれば、使い勝手がありますが、まだ将来性は見えにくいQRコード決済サービスと言えます。